ソニー E 35mm F1.8 OSS × ペット|小川晃代
はじめに
ソニー E 35mm F1.8 OSS の魅力は何といってもコンパクトで軽量なレンズである事。今回は話題のZV-E10と組み合わせて撮影しましたが、私が今まで経験した中でも間違いなく最軽量。この組み合わせだと超コンパクトなのでカメラバッグは不要なほど。普段のお洒落バッグにポンと入れて持ち歩いても重さやボリュームは気になりません。これであればいつでも気軽に持ち歩けるので出かける時の良き相棒になります。また、高価である事が多い単焦点レンズですが、E 35mm F1.8 OSS レンズはお値段がお手頃なのにもびっくりしました!
ペットとの距離感がちょうど良いレンズ
本レンズはAPS-Cフォーマット専用となっていて撮影すると35mm換算で52.5mm相当の撮影画角となります。風景込みのスナップ撮影やボケを生かしたポートレート撮影まで幅広く使えるレンズです。このあたりの標準前後の焦点距離のレンズを使用する時に私が一番に確認するのはレンズの最短撮影距離です。ペット撮影では最短撮影距離は短い方が何かと使いやすいので、まずはじめにここをチェック。このレンズの最短撮影距離は30cmと短いので一人でペット撮影するのにもバッチリです。ペットの生き生きした様子を撮りたい場合には、一緒に遊ぶのが一番です。そのため右手にカメラ、左手におもちゃを持ってペットと遊びながら撮影をします。この時、ペットとカメラの距離はとても近くなるため、レンズの最短撮影距離は短い必要があるのです。
猫じゃらしを使って撮影した写真はコチラ。にゃんことの距離はちょうど30cmくらい、猫じゃらしをレンズ前にひらひらとさせたのでバッチリカメラ目線になりました。
自由きままな外猫の撮影では、猫たちに気づかれないように遠くからこっそり撮影する事が多いのですが、猫たちの息づかいを感じながら近くで撮影するのも良いもの。人慣れしている猫の場合は猫の方から人間に寄って来ます。このレンズであれば最短撮影距離が短いので、例え猫がカメラに向かって来ても大丈夫。カメラ前を通りすぎる所だってそのままパシャパシャと撮影出来ちゃいます。このような時に最短撮影距離の長い望遠レンズで撮っていると後ずさりしながらの撮影になってしまうのですが、E 35mm F1.8 OSS では後ずさりすることもなくこの近い距離感で撮れるのでむしろ猫に寄って来てほしいとさえ思ってしまいました。
高速AFでストレスフリー
屋外で過ごすにゃんこ達は性格も様々で自由きままです。カメラを向けると怖がって逃げてしまう子もいれば、近づいてくる子もいたりといろいろですが、半野生の彼らはペットと違い「待って」は通用しません。普段から猫たちをよく観察して、次の動きを予測しながら撮影をしていますが、写真映えしそうな良いシチュエーションで、かつ良いポーズで居てくれるのはほんの一瞬です。カメラを向けて瞬時に構図を決めてシャッターを押しますが、ピント合わせの遅いレンズを使うと一瞬を逃してしまいますしストレスも溜まります。その点E 35mm F1.8 OSS は素早くピントが合ってくれるのでストレスフリーでした。
美しいボケ感
そして肝心なのは何といってもボケ味。小型で軽量なのでボケ味もそこまでなのでは?と疑ってしまいがちですが、この通り。ナチュラルでキレイなボケ味です。ボケ味が良いので主役のわんこがくっきりと引き立ち、立体感のある仕上がりに。そして色味も良いのでこの場の空気感をしっかりと伝えてくれます。
こちらは子猫写真。ふわふわした柔らかい毛の様子がしっかりと伝わる写真に仕上がっています。このしっとりと落ち着いた空気感をしっかり描写してくれるのもうれしいです。開放で撮るとピントの合った部分がきりっとシャープでそれ以外はふんわりと優しいボケ味が得られます。
何でもない場所でも素敵に描写してくれるので、片付いていないお部屋の中でも安心して撮影出来ちゃいます。ペットの何気ないシーンや撮りたい瞬間って急に来ますが、背景がいまいちだと撮ろうかどうしようかと迷ってしまいがちです。でもキレイにぼかしてくれるなら背景とか場所とか気にする事なく撮影出来るので嬉しいですよね。
お部屋撮影だけでなくお外でもそうです。例えばスカスカのお花畑や、特段絵にはならなそうな空間であっても、柔らかいボケ味が写真に加わるだけで一気に作品度がアップします。
こちらは夏の終わりに撮った写真です。暑さもやわらぎ秋になりかけの頃、遅咲きのひまわりがほんの少しだけ咲いていました。見る限りスカスカだったので最初は撮るのをためらいましたが、ひまわりを背景に開放値で撮影。すると小さいひまわり達の黄色いボケ感が良い感じに写り華やかな作品になりました。
開放値F1.8の実力
最後に暗い場所で撮影した1枚を見ていただこうと思います。こちらは光がほとんど差し込まない木々の空間で撮影した1枚です。光が無い場所ではただでさえ撮りにくいのに、さらにそこに動きのある動物が入り込むと難易度がぐんとアップします。光が無い場所ではピント合わせが難しくなかなか被写体にピントが合ってくれません。使用するレンズによってはピントが合わず結局撮れなかったという事もあるほどです。しかし開放値1.8であるE 35mm F1.8 OSS は暗い場所にも強く、猫がカメラ目線を見せた瞬間を逃さずにピントを合わせてくれました。F値は開放のF1.8、ISO640で1/250秒で撮影。そういえばこのレンズ、光学式手ブレ補正が内蔵されているのでもう少しシャッター速度を落としても大丈夫だったなと後から気づきました。これよりもさらに暗い場所でも撮れると思うととても心強いレンズです。
まとめ
軽量コンパクトで常に持ち歩きたくなるE 35mm F1.8 OSSは嬉しことにお値段もお手頃です。APS-Cセンサーサイズのボディとキットレンズを買われた方の次のステップアップレンズとしてもおすすめの1本です。普段使いから美しい風景の中でのペットのポートレート撮影まで幅広く使えるので是非使ってみてくださいね。
■写真家:小川晃代
トリマー・ドッグトレーナー資格を保持し、ペットや野良猫等小さな生き物撮影を得意とするペトグラファー。2006年に動物に特化した制作会社とペット&キッズ専門の写真スタジオ「アニマルラグーン」を設立。現在はカレンダーやカタログ、写真絵本の撮影をはじめ、写真教室の講師やペットモデルコーディネーターとしても活躍。