静止画だけじゃもったいない!ソニーαで動画撮影に挑戦 Vol.1 ~おすすめカメラ・レンズ編~

木村琢磨
静止画だけじゃもったいない!ソニーαで動画撮影に挑戦 Vol.1 ~おすすめカメラ・レンズ編~

まずは手持ちの機材で動画を撮影してみよう

動画撮影を始めたいけど機材は何を使えばいいの?そんな疑問を抱えている人はきっと多いのではないでしょうか。私自身、最初に動画を撮ろうと思い立った時どんな機材を使えばいいのか全く分かりませんでした。今ではフルサイズミラーレスカメラが主流となり動画を撮る環境はかなり楽になりました。

ソニーのαシリーズはどの機種でも動画を撮影するには十分すぎるスペックを有しています。ここではαシリーズのボディ、レンズラインナップがどのようなスペックを有しているのかを解説していきたいと思います。

ボディ編

まずは以下のαシリーズ ミラーレスカメラの動画性能について解説していきます。過去に解説させていただいた記事も併せてみていただくと個性がよりわかりやすいと思います。

α7 III

バランスに優れたベーシックモデルの人気の機種。後継機種のα7 IVが発売された今でも愛用している方は多いのではないでしょうか。動画性能も4K30pをカバーしているので通常の撮影では十分すぎるスペックだ。一眼レフスタイルなのでハンドリングも良くファインダーを使った撮影はもちろん、背面液晶がチルト式なので光軸がズレることなく撮影できるのも人気の一つ。
同じベーシックモデルのα7 IVと比べると価格もリーズナブル(Gレンズ1本分ほどの差額)なので入門編としてもちょうどよく、予算はそこまでないけれどレンズも欲しいという人はα7 IIIは良い選択肢だ。

α7C

αシリーズフルサイズモデルの中でも最もコンパクトな一台。小型軽量はシャッターチャンスにも強くカメラを持ち出す理由にもなるため気軽に撮影したい方にはもってこいの一台。小型ボディにも関わらずファインダーを搭載しているのがポイント。一眼レフスタイルのボディと比べるとファインダーの倍率は低いがファインダーが搭載されているかいないかの差は大きい。背面に外開きのバリアングルモニターを搭載しているのでモニターの可視範囲は広い。自撮りも可能だ。光軸はズレてしまうが自由度の高いモニターだ。
動画性能も4K30pをカバーしているため気軽に動画撮影を楽しみたい人にはピッタリだ。

α7 IV

ベーシックモデルの最新機種。ベーシックモデルという位置付けだが動画性能はかなり高め。前2機種と比べてもAFの精度も高く搭載されているEVFの見え具合も「プロ機並み」だ。4K60pにも対応しているが1.5倍にクロップされてしまうため4K60pを多用する場合は広角ズーム「FE PZ 16-35mm F4 G」との組み合わせは非常に相性が良い。α7Cと同じく背面に外開きのバリアングルを備えているため自撮りも簡単にできる。

スチルとムービーの切り替えダイヤル

スチルとムービーの切り替えが専用ダイヤルとしてモードダイヤル下に配置されているため瞬時に撮影モードを切り替えることが可能だ。専用ダイヤルのおかげでスチルを撮影していて動画も撮りたいとなったらすぐに切り替えられる。αシリーズの中で最もハイブリッドな一台だ。

レンズ編

次に以下のG、GMシリーズのレンズの動画性能について解説していきます。こちらも過去記事も併せてご覧ください。

FE 24-105mm F4 G OSS

定番の標準ズーム。焦点距離24mm〜105mmまでカバーしているためなんでも撮影したい人にとってはおすすめ。ワイド端からテレ端まで安定した描写なのでスチルでも動画撮影でも安心して使用できる。F4.0と適度なF値であるため日中の動画撮影では暗いと感じることはないだろう。解像感、カバー焦点距離、サイズ感と全体的にバランスがいいレンズなので最初の一本としてもおすすめです。


フルサイズの場合F4.0でもかなり被写界深度が浅いため簡単にボケを活かした撮影ができる。基本となる焦点距離がこれ一本でカバーできるためまずはこの一本を使ってみて自分がよく使う焦点距離を見つけるのも良いだろう。

FE 24mm F1.4 GM

人気の高い24mmのGMレンズ。F1.4の明るさは森の中や曇りの日、日暮れでも感度を上げずに撮影ができる。F1.4のF値は明るさだけでなく広角レンズとは思えないボケを楽しむことができるためパースを生かしつつ背景をぼかした撮影も簡単だ。

単焦点ということで「ズームができない=不便」と思われがちなのだが、ズームができない分割り切って撮影ができるため実はズームレンズよりもシャッターチャンスに強かったりもします。なにより単焦点だから実現できるF1.4の明るさはそれだけでも使う価値ありです。マクロにも強く広角レンズとは思えない被写界深度を楽しめる。


FE PZ 16-35mm F4 G

小型軽量のパワーズームレンズ。初めて手に取った時にその軽さと小ささに驚いた。小型軽量となると画質を気にする人も多いかもしれないが動画はもちろん静止画でも驚くべき解像感を堪能できる。グレードはGレンズだが、正直言って解像感はGM並みだ。

パワーズームということで動画用と思われがちだがスチル撮影でも活躍してくれる一本なのは間違いない。パワーズームは映像表現でも重要なテクニックの一つであり、手動でもできなくはないがパワーズームの滑らかさは誰もがプロのようなズーミング表現が可能となる。一度その滑らかさを体験してしまうとパワーズーム以外考えられなくなってしまうだろう。


FE 24-70mm F2.8 GM II

標準ズームの最高峰と言っても過言ではないレンズ。I型よりも大幅に小型軽量化されただけでなく、最短撮影距離の改善に加え描写性能もさらに磨きがかかっている。FE 24-105mm F4 G OSSと悩む人もいるかもしれないが、F2.8の明るさと最高の描写性能を求める人にとってはFE 24-70mm F2.8 GM II一択だろう。

性能をフルに引き出すのであればα7 IVとの組み合わせがオススメだ。AF速度も素晴らしく、F2.8の浅い被写界深度でも正確なピントを合わせ続けることが可能なα7 IVとの組み合わせは思い描いた動画イメージを実現してくれる。


まとめ

今後メインで解説していくカメラボディとレンズを紹介していきましたが、動画の場合もレンズを選ぶ際はスチルと同じく焦点距離か、F値か、どちらかに重きを置いて選択していくことになります。私の場合はF値よりもカバーする焦点距離が重要となることが多いためズームレンズを使うことが多いです。

同じズームレンズでも広角か標準か、常に選択の連続です。一番はどのような動画を撮影したいのかをイメージすることが大切で、普段自分がどのようなスチルを撮影しているのかを振り返ってみましょう。スチルの延長線上のムービーを撮影するのであれば同じ機材での撮影がベストです。GレンズもGMレンズもラインナップが充実しているためボディとレンズの組み合わせのバリエーションはかなりの数となります。

特にボディを選ぶ基準として今後の業界標準となる「4K60p」が必要であるのかどうかは重要となります。動画の場合は動画の規格がアップデートされるのに合わせて編集環境もアップデートする必要があるのでその辺りも合わせて考える必要があります。まずは焦らず、手持ちのカメラ機材を使って動画撮影を始めていきましょう。

「静止画だけじゃもったいない!ソニーαで動画撮影に挑戦 ~撮影編~」が公開されていますのでこちらの記事を参考にまずはRecボタンを押すところからスタートしてみてください。

 

■写真家:木村琢磨
1984年生まれ。岡山県在住のフリーランスフォト&ビデオグラファー。広告写真スタジオに12年勤務したのち独立。主に風景・料理・建築・ポートレートなどの広告写真の撮影や日本各地を車で巡って撮影。ライフワーク・作家活動として地元岡山県の風景を撮影し続けている。12mのロング一脚(Bi Rod)やドローンを使った空撮も手がけ、カメラメーカー主催のイベントやセミナーで講師を務める。

 

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