【その3】 紅葉のキホン的な撮影術とは?
さてさて、ここは信州のとある紅葉の名所。インターネットで紅葉情報を綿密にチェックしたLet'sフォト美は、今週末 温泉旅行もかねて泊りがけでやって来ました。秋の澄んだ空気は何とも気持ちがイイなぁ・・・と、ひとまず大きく深呼吸をしてから撮影に挑みます(これぞ、森林浴、森林浴!)。それでは、紅葉を撮影するにあたり、基本的な撮影方法や心構えをご紹介しましょう。

1.ロケハン命!
"美味しい料理を作るヒケツは、旬で新鮮な食材を用いること"と言われますが、写真の世界でも全く同様。被写体が良くなければ、どんなにテクニックを駆使して撮影したところで、最高傑作には至りません。そこで、撮影地に出かけたら、とにかくピークを迎えた紅葉スポットを探し当てましょう。ひとつの名所と言えども、その範囲は広く、低地と高地の高度差も数10メートルに及ぶところも少なくありません。逆に言えば、お目当てのスポットに着いたらまだピーク前だった...と、思いがけずタイミングを外したとしても、そこよりも高度の高いスポットへ移動することで、見事に色付いた紅葉にめぐり合える確率は高いのです。
ちなみに、ロケハンとは、「ロケーションハンティング」の略。一般的には、撮影場所の下調べに使われる言葉でもありますが、要するに撮影スポット探しのこと。

2.ここぞ!というシーンは、オートブラケットで押さえよう
これまでフォト美は、シャッターチャンスや構図を意識することはあっても、露出に関してはカメラ任せでした。それは、一般的なデジタルカメラは、オートフォーカスでピントを固定したと同時に露出も自動的に決めてくれていたからです。しかし、写真撮影において最も重要な露出。とくに、今回の紅葉風景や山の写真は、撮影シーンの明度差が大きいため、カメラ任せの露出では全体的に暗すぎたり明るすぎたりと、イメージ通りの写真にならないことも予想されます。そこで、この「露出」についても少しこだわってみましょう。
←オートブラケットによる撮影例

EV値を0.5ずつずらした3コマ。
この場合、最も色に深みの出た-0.5EVに軍配が。

露出補正 +0.5EV 露出補正 ±0 露出補正 -0.5EV
まず、デジタルカメラには露出補正という機能があります。これは、カメラが自動的に設定した露出を±0とした場合、カメラのモニターで確認しながら+0.25(-0.25)EV、+0.5(-0.5)EV、+0.75(-0.75)EV...というように、プラス(オーバー)側、マイナス(アンダー)側とも一定のステップで露出を補正できる機能です。通常、ピントを固定したときにモニターで確認しながら露出補正を行い、それからシャッターボタンを押すという使い方が一般的ですが、シャッターボタンを押しつづけている間、-0.5EV、±0、+0.5EVと3段階の露出で、連続3コマを撮影できるオートブラケット機能もあります(EVステップの値は変更可能)。つまり、これは!と思ったシーンに出会った瞬間、オートブラケットで撮影すれば、同じシーンを3段階の露出で記録し、その中から一番出来の良い写真を後から選択できるというわけなのです。要は、失敗のないよう押さえの写真も同時に撮っちゃうということですね。

3.紅葉の撮影には、PLフィルターが定番なのだ
PLフィルターとは、カメラのレンズ表面に装着するフィルターの一種で、これを使用して撮影した場合、クリアーで立体感のある描写になり、鮮やかな被写体を本来の色に再現するという効果があります。紅葉の撮影では、定番中の定番。画面に紅葉と青空(スカイブルー)を入れてコントラストを利かせた構図にすれば、なお効果的です。

PL(偏光)フィルター
PL(偏光)フィルタ(Polarizing Filter)は、被写体の表面反射(テカリなど)を防いで色彩のコントラストを高める効果があります。一般のPLフィルター(リニア)とサーキュラーPLフィルターの2種類があり、AE/AF機構搭載型の一眼レフやデジタルカメラでは、主に、サーキュラーPLフィルターを使用します。デジタルカメラの機種によっては、専用のフィルターも用意されています。→商品情報へ

一脚
山歩きの撮影など、なるべく軽装で行きたいときは、三脚の代わりに一脚でも良いでしょう。ちょっと険しい山道では、ステッキ代わりになって重宝しますよ。→商品情報へ


4.雨でもメゲるな!
早速リズムに乗って撮影を開始すると、あれ?ポツリ、ポツリと雨粒が・・・。えぇーうっそー!せっかく撮影のために休暇をとってやって来たのにぃぃ!と、雨が降り出した途端、思わずフォト美はふくれっ面になってしまいました。
しか〜し、諦めることなかれ。雨が降っている間はしばし休憩とし、雨が上がった瞬間が更なるシャッターチャンスでもあるのです。というのも、雨上がりの濡れた質感と色はとても情緒豊か。こういうときは、画面から空を排除し紅葉だけに注目して撮影してみるのもオツなものです。紅い葉っぱの先についた水滴をマクロで撮るのもGOOD。ただし、雨上がりはとくにブレやすいため、せめて一脚だけでもホシイところですね。

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