ママカメラマン山ちゃんの写真教室 コラム・ギャラリー
私の地元では11月だとまだ紅葉は始まっていませんが、ちょっと山のほうに行けば11月中にちょうどいい紅葉を撮ることができます。いつもは近場の森林公園やお寺などで紅葉の写真を撮っているのですが、昨年はちょっと山の方まで行ってみました。観光地なので日本庭園がある美術館があり、そういうところなら庭はきれいだろうし、紅葉も撮りやすいのではないか、と思ったからです。あいにく天気は小雨が時々降ってくる状態でしたが、この天気なら人も少ないだろう、と前向きに考えることにして出かけました。今回は庭園で撮る紅葉の写真の話をしたいと思います。
庭園にはその場のイメージに合ったアイテムがたくさんあります。私が行った庭園には苔むした岩や池、小さな滝などもありました。庭園内を歩くための遊歩道もアスファルトなどではなく石畳でしたし、池にかかる橋も木製で(見えるところは)紅葉の脇役として十分なものがたくさんありました。作例1はカエデの木の下にあった鉢を一緒に撮りました。木をくりぬいた鉢に水が溜まっていて(わざとだと思いますが)苔むした岩と一緒に撮ると風情があります。主役はカエデなのでピントはカエデに合わせましたが、フレーミングは鉢がちょうどいい具合に入るように考えて撮りました。また、作例2は橋を背景に入れてカエデを撮っています。
本当はもうちょっと高い位置から撮ったほうが橋とカエデの重なり具合がよいはずなのですが、私の身長ではこの高さが限界でした。庭園で脚立を持ち出すわけにもいきません。庭園の場合脚立だけでなく制約がある場合があります。場所によっては三脚もNGな場合がありますし、禁止されていなくてもほかのお客さんや庭園を管理する人たちに迷惑がかかるようなことはやめておきましょう。
庭園内に小さな滝が作ってあり、池に流れ込むようになっていました。この滝を脇役にして撮ってみたのが作例3と作例4です。カエデにピントを合わせて撮ると滝がボケます。水を撮るとき高速シャッターで撮る方法もありますが、作例3のように滝が中途半端にぼけるくらいならスローシャッターにして白く流したほうがきれいに見えます。作例4は1/30秒のシャッター速度で撮っています。三脚が使える場所ではなかったので手持ちで撮りましたが長いレンズを使っていたので手ぶれ補正機能を使ってもこれくらいにしたほうが無難かな、と思います。見てわかる通り作例4の方は水がぶれて白く流れています。このほうが脇役としては目障りにならないと思います。三脚が使えるような状況であればさらに低速シャッターを使ってもっと柔らかい感じでブラすことができます。このように庭園では周りの人への配慮が必要ですが、小さなスペースの中に絵になる風景がたくさんあるので写真を楽しむにはいい場所だと思います。紅葉のタイミングを見計らって楽しく撮ってみましょう。
無理して自然風景のふりをしなくてもよい
なにしろ庭園ですから人工的に作られた空間です。紅葉の写真、というと自然風景の写真をイメージしがちですが自然風景の中の紅葉ではないので無理に人工物を避けてネイチャー写真っぽく撮るのはやめておきました。観光地の庭園なので外国からの観光客もたくさんいますが、みんな紅葉だけというより庭園の写真を撮っていました。庭園は見て楽しむためにきれいに整備されていますから庭園内だけでもきれいな写真がたくさん撮れます。せっかくですからこういった場所を利用していろいろ写真を撮ればいいのではないかと思います。