修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2007.12.03
2007年9月10日、「お地蔵さんの縁結び」の記事を書きましたが、修理部閉鎖による店舗勤務となってからの忘れられない出会いでもありました。
お持ち頂いた御夫婦の思い出のカメラは、販売の合間に時間を作り、蘇らせ、新たな持ち主へと引き継がせる事が出来、婦人の願いに応えることが出来ました。
詳細に付いては、前記事を読んで頂きたいと思います。
今朝、修理をしておりまして、振り向きましたら、カートにカメラを詰め、お一人で御婦人がお見えになりました。
「家を整理しておりましたら、新たにカメラが出て参りました。
引き取ってくれますか?」とご婦人にとって重かったであろうカメラを取り出そうとしておりました。
私は、思わず駆け寄り「寒い中、お出で戴き有り難う御座います」と挨拶し、手伝わずにはいられませんでした。
「亡くなりました主人は、こんなカメラも持っていたんです。
捨てるには忍びないのです。LPレコードもたくさんありまして、人を介し引き取って貰いました。
思い出を不燃ゴミとして出し、清掃車のゴミをかき込む姿を見たくないのです。」と話すご婦人の目元は潤んでおりました。
鼻の奥が熱くなります。
高齢を押して来店頂き「きむら」へ託そうとする御婦人の気持ちを思いますと言葉もありません。
前回、同様、御婦人の思いを何処まで蘇らせるか分かりませんが、出来る限りの橋渡しをしたいと思います。
そして、巣鴨で過ごした思い出を胸に抱き「築地の方へ引っ越すのです」と話されました。
「当時の池袋店の店長さんに連絡をして頂き、手紙を受け取りましたが、家のことに忙殺され、返事を出せなかった」と詫びられ、新居から近況を連絡しますと話されました。
築地はご主人の勤め地でもあり、晩年ご主人の看病に通った街だったのです。
築地の街には、ご主人の元気な頃の面影があるのでしょうか?
思い出の街で、ご主人の面影と手をつなぎながら散歩をなさり、健やかな時を送られるよう願っております。
日本橋店中古売場 田口由明
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