修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2009.10.08
手入れが終わりまして漆黒の瞳ならぬ緑の瞳に輝きが戻りました。
外貨の持ち出し制限の中、緑の目をした可愛い子は外貨を稼ぎ高度成長の礎を築いていったのです。
十五夜は過ぎましたね!ススキと団子を供えて風流人として感傷にひたりましたでしょうか?小生、卓上で十五夜を鑑賞致しましたです。
この後、澄んだ秋空になりました。
距離環のセットネジ3本を緩め外します。前玉・ヘリコイド・押さえ板・秒時カム板を外していきますと機構部が現れます。
距離環にありますシカン文明の絵文字のようなのは何を表しているのでしょうか?
輸出が主なようで横文字のゾーンフォーカスでしょうね!
機構は単純でしっかりと作られています。そのカラクリはミノルタレポのシャッターに似ています。おやおや!シャッター羽根が開きません。当然、巻き上げも出来ません。
裏側の座金を外しましてシャッターを分離します。
過去記事【Vol.390】親切な設計(ミノルタレポ編 其の一)を参照下さい。
障害が何処に在るやらと此処の部品を検証することから始めます。
チャージ環の裏に突起が2ヶ所。開・閉レバーに作用するようです。
チャージ環のA突起がA‘の側面をなぞりますと羽根が開き、Bの突起がB’の側面をなぞりますと羽根が閉まるようです。右側の填め込み画像を参照頂ください。
シャッター裏側の3本ネジを外します。
身二つになりました。
尚も分解し、洗浄後シャッター羽根開閉環溝に二硫化モリブデン粉を塗布し組み立てます
すると、シャッター羽根がイナイナイバーをしました。
露出計が右側に組み込まれましたから、必然的に枚数計は左に位置しました。
では、どの様に枚数計を送るかになりますね!
トリガーレバーで巻き上げますとスプール軸を兼用した送り軸が回転します。
そして、送り軸の山・谷によりファインダーの下に位置している枚数計連絡板の先に在ります送り爪を動かすのです。
枚数計はバネの力量があり、戻ろうとしますね。其れをいけませんよ、と押しとどめているのが係止爪の役割です。そして裏蓋を開けると両者の爪の掛かりが外れ自動復元するのです
売場で実演修理をしているようなものですから、何を直しているか見えてしまうのです。
「おや~。珍しいのを直しているね。売り物ですか?」と尋ねられてしまいました。
そのお客様はペンの愛好家なのです。
過去記事【Vol.434】修理経過の報告(オリンパスペンW編)の依頼者でもあります。
分解途中の状態を説明しましたら予約を戴いたのです。
初めての出来事で修理をしていて良かったと、心は舞い上がりました。
改めまして御礼申し上げます。
日本橋店中古売場 田口由明
あなたの大切なお写真の現像・保存・プリントは写真専門店カメラのキタムラにおまかせください。