修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2010.03.09
オプション部品が高い(Retina118編)https://www.kitamura.jp/photo/repairer/2009/re470.html の依頼者から再度依頼されまして、外部生の入院となりましたトプコール58/1.4です。
作業をしておりますと「売り物かね!」と数人のお客様に尋ねられてしまいました。
ある、お客様は、先端の前環が全て黒塗装だと稀少なのだけどな~ぁ。
当時は黒仕様より白仕様に人気があったようです。
手な訳で引き受けたのですが、何処から分解しましょうか?
先ずは、定石に従い社名環を外してみます。
次は、何処を外しましょうか?
前レンズが外れましょうかね!組み品では外れてきません。
固定環があるようです。赤丸部の切り欠けにコンパスを差し込みまして外してみました。
ソロリと持ち上げて様子を見ます。後レンズも一緒に持ち上がります。
鏡筒毎外れました。こういう作りは有り難い設計です。
時には、知恵の輪みたいに設計した仕様があります。困った物です。
前・後レンズを分離します。
この先、絞り羽根迄外したいのです。鏡筒に合計6本のセットネジがありました。
全てのセットネジを外します。
Cリングを除けば絞り羽根固定盤が外れます。
組み立てる時に絞り羽根固定盤の開放位置調整をしなければなりません。
絞り開放位置になるように絞り羽根固定盤を赤矢印方向に動かしてセットネジ6本で固定します。
油分の湿潤が見られます。
絞り羽根は油分により、忍者の手裏剣になっています。
ネジ切りにも油分が残りますから、拭き取っただけではいけません。
鏡筒から全ての部品を外して、洗浄します。
鏡筒を組み込む際は、絞り値カム環・絞り開閉レバーを咬合させなければなりません。
レンズマウントを外します。
鏡筒を組み込み固定します。絞り値環を絞り値カム環と咬合させます。
赤丸部の絞り作動環の切り欠けに絞り開閉レバーを咬合させ、レンズマウントのネジを締め付ければ完成です。
元気に絞り羽根が、「むすんでひらいて」の運動を致しました。
「むすんでひらいて」はフランスの思想家ジャック・ルソーが作曲し、1753年のオペラ「村の占い師」で登場したとされています。
国外では賛美歌として歌われておりますが、先の大戦中に軍歌として歌われました。
1947年新しい歌詞がつけられ、小学校唱歌として歌い続けられています。
子供達に歌い続けられている歌にも歴史有り、此度のレンズにも歴史有りと言ったところでしょうか。
日本橋店中古売場 田口由明
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