修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2010.03.31
ブログ記事:おやじの宝もの(ペンW)で書きました。
http://kitamura.jp/photo/repairer/2008/re246.html
おやじさんが、今度はヒゲプッン(ヒゲゼンマイの剥離)でやってきました。
赤兵衛は出てこない。絞り値は変わらないの所見です。聴診器を当てても原因が特定できません。う~ん。先ずは、切腹を致し、露出計部を分離致しました。
通常電流計の可動部が動かない場合は、鉄粉が磁石に吸い寄せられて悪さをします。
此度の原因は違うようです。
ゼロ点調整ネジは動かさない。
1と2のネジを外し、電流計部をファインダー組み品より分離します。
ゼロ点調整は、セレン受光部を覆ってシャッタースピード切替板(拡大画像を参照)の凹み位置よりずれている場合に前画像のネジを緩め、左右に振って調整をします
フライングはいけないのです。
ロック板の滑りも悪く、外して清掃をします。
ヒゲゼンマイは上下に取り付けられています。通電していない時は、両者のバランスにより指針はゼロ位置になります。
画像の通り、ヒゲゼンマイのハンダが端子から剥がれておりますね!
そうしますと回路が切れていますから、電流計は用をなさないわけです。
ヒゲゼンマイを変形させないようにハンダ付けをします。
ハンダ付けの際にヒゲゼンマイに鏝先を当ててはいけません。慎重に(中気ではありませんが指先が震えます)ヒゲゼンマイを端子に乗せます。ヒゲゼンマイの渦形に変形が無いかを確かめ端子に鏝先を当てて接合させるのです。
シャッター開閉軸も汚れや油分の枯渇があります。外して清掃・注油後、組み込みます。
起電されたセレンからの力を受けて元気に動き出しました。
預かっている間にオヤジさんのヒゲはどれ程伸びましたでしょうか?
渦を巻いちゃいましたでしょうか?
大事にお使い下さいませ。
日本橋店中古売場 田口由明
あなたの大切なお写真の現像・保存・プリントは写真専門店カメラのキタムラにおまかせください。