修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2010.09.07
日々、飛び込みの患者が来るものである。時を経た民具は何がしかの疾病を抱えている。
同僚は、控え目ながら治療を施して欲しいと願う。と、なると残務整理もままならない。
両者を両立させるのは難しい。
短焦点だからと安易に手掛けることになったが「やりとうなかった」の体である。
絞りに油分の湿潤があり、進めば進む程深みに嵌り込む。思考しながら分解すれば、ご覧の通りである。記録している暇などない。全ては親から戴いた記憶装置に記録する。
翌日、組み立ての際に記憶が蘇らない。(一晩眠ると記憶が薄れるものである)
本来ならば、絞り羽根迄分解するのが良いのだが!開放位置出しをしなければならないと思う。機構上からは、そのようにならないと思うが、経験が無いので避けることとし、丸ごと洗浄することとする。これ以上「やりとうなかった」にしたくない。
それにしても、面倒な設計であり、製造コストもさぞ掛かったと思う。
一晩の眠りで記憶が薄れた場所です。
絞り羽根室の組み込みも苦労しました。と、申すのも内カム環の作動範囲を移動しないのです。上下の組み込み間違いでした。
次が、カム環を組み間違えたことです。この誤りはカム環にありますネジ穴に飾り環のネジ穴が合致しなければならない。???の中で飾り環の存在があることが分かり、カムコロを取り付けました。十分にカム溝をカムコロが移動します。光明が射してきました。
ヘリコイドカム環(赤○部)のカム溝とカム環(赤○部)のネジ穴を合わせ、カムコロを止めます。
化粧環を外すに当たり、ヘリコイドカム環に取り付けてある指標点が邪魔をします。
裏側から指標点を突いて外します。この指標点が結構無くなっていますよね!
その様な時は、色の近いプラスティクボールを探し出し、カッターで半分に割譲します。
取り敢えず無いよりましであり、様になります。
化粧環を止め、滑り止めのゴム板を張り付けます。
調整板を戻し、マウント側の絞り作動棒を咬合させてネジ止めをします。
マウントを外していく際にAF端子FPCのネジ2本を外します。そしてAF端子FPCを逃がしながら化粧環を外します。
此処で気を付けなければならないのは、AF端子FPCの下に赤○で囲ったバネの存在があることです。どうやら、AF端子FPCのアースを取っていると考えます。
(写っています楊枝は、撮影の為にAF端子FPCを逃がす小道具です。)
前枠環を取り付ける際も間違いを起こしました。指向性があったのです。
始めは、此処まで組み立てて無限位置迄動かない。ホッポリ出そうと思っちゃいました。
組み込み位置を修正して化粧環を取り付けて完成です。
それにしても初物は疲れるものです。
成り行きを見られていたお客さんが「ジャンクで売っちゃえば」では売上が確保出来ませんよね。。。(と、言うことは2日も来店して見ていた事になりますね)
(余分なお話)
とあるお客様と暫し歓談。「リコーオートハーフが好きだけど、でもね!モルトの交換は難儀だね!」とも話されます。
「ブログ記事を読みました。型紙があれば楽ですよね」
天花粉は偉い(リコーオートハーフ編)
作業机に目を落としますと剥離紙が残っていました。
参考にと差し上げますと「之で交換出来ると」楽しげに帰られたのです。
日本橋店 田口由明
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