修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2011.03.25
オリンパスペンFTのセルフタイマーが作動しないのですと依頼されました。
どれどれと診察します。セルフタイマー作動釦が酷く損傷しています。釦は外観を考慮してあり、外しやすくカニ目仕様になっていません。当然、掴みどころが無いのです。
掴みどころが無い所へヤットコで無理やり掴もうとしますね!釦の側面はテーパーがあり、掴むためのマージンが十分ではありません。何度も掴もうとしますから傷が付いてしまいます。
掴みどころの無いネジの外し方はニコンF2巻き上げレバー飾りネジでも解説しましたが、瞬間接着剤ゼリータイプの助けを借ります。
断捨離(ニコンF2編)
https://www.kitamura.jp/photo/repairer/2010/re626.html
最初にセルフタイマー作動釦に適量の瞬間接着剤ゼリータイプを置きます。量が多すぎますと側面に流れる恐れがあります。(注意が必要です)
セルフタイマー作動釦を押さないようにアルミ棒を水平に張り付け、時間を置きます。
時間を置いた後にセルフタイマーセットレバーを抑えながら、アルミ棒を反時計方向に回します。
セルフタイマー作動釦を外せましたね!アルミ棒に貼り付いているセルフタイマー作動釦は、そのままにしておきます。
最終的に取り付けた時に瓶の栓を抜くように下側に力を加えれば接着が剥がれます。
剥がれた後を「はがし液」で清掃をします。
下側が外しましたセルフタイマーセットレバーです。セルフタイマー作動釦が押し込めないのは作動筒に傷を付けてしまったようです。
上側のセルフタイマーセットレバーは交換用に用意したものです。両者を見比べますと状態の違いが判りますね。
貴重な民具を人為的に損傷させてしまうと補修部品の手当てが出来ません。
他にも掴みどころの無いネジ等が有るか思いますので参考にして下さい。但し、外すべきネジのネジ径が細い場合は断裂の恐れがありますから、外すべきネジの仕様の確認が出来ているネジに対してだけ応用ください。
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