修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2011.12.16
着せ替えられたDemiEE17。Demi系は、手掛けたくない理由があります。
ボロ隠しに貼られています擬皮とアルミ素材が、とても相性が宜しいと言いましょうか?
剥がすのが大変なのです。補修部品がある時は交換すれば済みます。けれども、随分と時が経過して払底をしております。
今回の患者は「巻き上げが出来ないことがある。」と訴えております。
確かに症状の訴えとして「巻き上げが出来ないことがある。」は正しいのです。
では、症状を来たす病巣は何処にあるかですね!何度か巻き上げ、シャターを切ったのですが、症状が現れませんでした。でも、心音と言いましょうか?低速歯車の作動音が濁っています。低速歯車のオイル切れか?そうでもないようです。
既にシャターチャージレバーとシャター羽根開閉レバーは外してあります。
シャター羽根を上下に動かしてみました。動作が重く感じ取れます。外見からは油分の湿潤は見られませんが、搭載されているSEIKO製はシャター羽根の根元に油分の湿潤が発生する持病があります。シャター羽根の動きが悪いから、シャターチャージレバーの戻りが悪い。戻りが悪いから「巻き上げても良いですよ!」にならないのです。
面倒ですが、シャターを開腹する事にしました。
巻き上げレバー・巻き戻しクランクと外していきます。底カバーも外します。
(1)~(4)のネジを外し、分割されているフロントカバーを外します。
次に黒の上カバーを外します。
Demi EE-17を治療する際に気を付けなければいけないのがゾーンフォーカス指針です。
ファインダーが取り付けてある場合は、そうは問題が起きませんが、ファインダーを外しますとゾーンフォーカス指針が剥きだしになり、複雑に曲げられておりますゾーンフォーカス指針の形状を崩すと元に戻すのが難しくなります。
赤○部の半田付3ヶ所を外します。
2本のネジを外し、露出計を分離します。
安全の為、ゾーンフォーカス指針をヘリコイド部から外しておきます。
引っ張りバネの一端(赤○部)の接着を緩め外します。
シャターチャージレバーと巻き上げ軸との連結部のCリングを飛ばさないように外します。
画像で見えている(1)のネジと他の3本のネジを外しますと、本体からヘリコイド部が分離できます。分離の際は、注意が必要です。
4本のネジを外して、ヘリコイド部を少し前に引きながら、上方にずらします。その際にレリーズ戻しバネの打ち上げに注意します。
後群レンズを外し、現れた固定環を外しますとシャターが分離されます。
ヘリコイドとシャター部とに分離されましたが、ヘリコイド部に残りましたコロの紛失に注意します。コロにはレリーズ環が咬合します。
レリーズ環・絞り値連絡環と外していきます。
(1)~(3)のネジを外しますと、シャターが身二つに分離されます。
シャター羽根に顕著な油分の湿潤は見られませんでした。
目視では観察できない湿潤があったものと思います。ベンジンでシャター羽根やシャター前・後室の滑走面を洗浄して組み込みますと、軽い動きになりました。
シャター前部を後室に組み込む際は、複数のバネの捌きが必要となりますが、画像の撮影を忘れてしまいました。
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