修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2012.04.20
フィルムを装填すると巻き上げが動かなくなるとの相談を受けました。
考えられるのは、スプールフリクションバネのヘタリ。フリクションバネにヘタリが生じますと巻きとりましたフィルムが弛みスプロケットに絡んだのかと見立てをしましたが、違ったようです。
初めての症状に原因が掴めずフィルムを巻き戻し、装填を繰り返したのです。
原因が掴めない。巻き上げが停止した状態で裏蓋を開けてみました。確かにフィルムは進む事が出来ない。張ったフィルムを緩め、フィルムを強制的に引っ張るとフィルムは出てきます。その時点で巻き戻しクランクは軽いのです。何度か検証を繰り返して巻き戻し部を外してみました。巻き戻しフォークが収まっていた穴に黒く変色した部分がありました。
ならば、巻き戻しフォークに問題があるのかを確かめると、バリや変形を確認できませんでした。では、巻き戻しフォークと収まる穴とが喰い付く理由は?になります。
初期のペンはダイキャストに巻き戻しフォークを納める穴が直接開けられており、巻き戻しフォークと上カバーとの段差をスペサーで補っていました。スペサーの経年変化でガタ出て、回転にムラが生じてしまったのか?
又、ダイキャストの表面は密で無く疎なのです。それ故、ゴミ等が侵入した場合に喰い付いてしまうと考えられます。後に巻き戻しフークガイドが追加され改善されました。
スペサーは3枚取り付けてありました。
スペサーは上下のガタ取りと左右にブレを防いでいます。左右のブレを緩和するため薄いスペサーから踏ん張りの効く厚めのスペサーに取り替えました。
船の横揺れを防ぎますスタビライザーの効果と同じですね!上下も巻き戻し部が回転する極限まで厚さを調整しました。調子を見ますと、ダイキャストとの喰い付きは改善されたのです。ですが。。。シャターセット時に異音が出るのです。原因は。。。
以前、誰かが修理をされたのでしょうね!その際、コロの存在に気が付かず紛失をしたようです。コロが取り付けられていませんと直線的な動きになり、シャターセットが重くなりがちです。又、多重巻き上げ防止レバーを押す量が不足しますから、巻き上げ飛びの症状を起こします。コロは滑車の役目をして直線運動に回転が加わり巻き上げが軽くなります。ペンのシャターに手を入れる場合はコロの紛失に注意が必要です。
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