修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2012.10.26
この時代としては珍しく変質したヘリコイドグリスの残骸。まるで割きイカ状態であるが、ビールの肴にはならないようで、ヘリコイドを抜き去るまで一日を要しました。
赤○部のセットネジを緩めヘリコイド環を外します。
セルフレバー止めネジを外すと、前カバー裏側のセルフセット軸が外れます。
セルフレバーに戻しコイルバネが取り付けられており「の」字を書くようにバネの掛かりを外します。
三脚座の中のネジとシンクロターミナルを外します。
裏蓋開閉釦(下にコロあり)&ネジ(1)~(2)で化粧カバーが外れ、現れた(4)のネジを外しますと前カバーが本体と分離します。
但し、本体とリード線で結線されていますので注意します。
電池室陰極の端子に腐食が見えます。構造上、直接清掃が行えないので(1)~(6)のネジを外して化粧板を外します。
銘板を剥がすのに溶剤が使えないので注意深く作業をします。
もし、変形が起きた場合は、銘板の接着剤を清掃した後、叩かず木片やハブラシの柄で擦るようにして修正します。
電池室は引き出し仕様ですので陽極端子に腐食がある場合は、前板を外して、化粧板を外さなければなりません。
(1)~(4)のネジを外すと、レンズ部が分離できました。
何とか修理を試みた痕跡がヘリコイドの側面にありました。
経年変化のグリスがヘリコイドと同化したの如しでしたね!
最初にシンナー漬けを1時間試みるが返り討ち。
次にエチルメチルケトンを1時間試みるが返り討ち。
なかなかのしぶとさでありました!!さて、どうするか?
最後に試みましたのが「強力瞬間接着剤専用はがし液」。100均で求めた物です。
成分は、大方がアセトンと思います。気晴らしにアセトン漬けにして愛犬クイーポと散歩に出ました。
愛犬クイーポとボール投げで遊び帰りまして捻ってみました。オ~ッ!!うごく~ぅ!!
何度諦めようと思ったか。。。!!アセトンたるや強力な浸透力でグリスを緩めてくれました。
戦後なら兎も角、近年のグリスでは、此処までの症状は珍しい。
新たにグリスを塗布すれば、何事も無かった様に回転したのです。
シャターモードに開放がありません。何処かに開放すべき場所があると見つけたのが楊枝を刺してある場所でした。フィルムを装填してシャターを切りますと開放になります。
測定器で無限焦点を出して、制限環を取り付けます。
振り返れば、奥歯を噛みしめてヘリコイドを捻りましたので奥歯の詰め物樹脂が摩耗してしまいました。慌てて歯医者へ予約を入れました隠居人です。
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