我々が路上観察活動をしていて、その地方では当たり前の光景なんかを珍しそうに撮影したりしていると、たいてい地元の人たちからはいぶかしげな目で見られますね。藤森さんなんかはそれでも臆せずガンガン行く人ですから、人の家なんかにも入っていって、犬に吠えられたりしてますけど(笑)。 私なんかは、人に見つかると慌てて取り繕ってしまったりするんですよ。「あ、ちょっと取材で…」とか言って逃げてしまう(笑)。そんなもっともらしいコトを言うと、かえって怪しまれるんですよね。そのへんを藤森さんは心得ていて、「いやぁ、こういう古い建物を見るのが好きで、写真を撮っているんですよ」って正直に言うのが一番いいって。すると相手も「実はこの家は先代からの由緒ある云々…」なんて長い話が始まってしまって、閉口する場合もあるようですけど(笑)。 |
申し訳ないけれども我々のやっている路上観察って、ある意味では人の家の裏口を覗いて歩いているようなモノでしょう。本来、その家の人が見せたいと思っている立派に飾り立てた玄関なんかは、逆に我々にとっては全く興味がわかないんです。それよりむしろ、玄関の脇の所がちょっとほころびていたりする方が、我々には面白いんですよ。持ち主にとってはあまり見られたくない場所とか物っていうのが、目立たないところにひっそりとあったりするのがいいんです。
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