通常の一眼レフはカメラが勝手に標準的な露出に調整してくれますが、M6は中央重点式よりも、さらに測光範囲が狭いんです。アマチュアの方でM6を買ったんだけど写らないという方がいらっしゃるんですが、それは露出の測り方がよくないんですね。M6で写真を撮るときには露出計に頼らずに、撮影する前にアスファルトの路上とか、グレーの床といったものを前もって測るといいんです。それを露光の標準として撮るとうまくいくんですよ。それがわからないと、たとえば風景の一番明るいところに露出を合わせたり、一番暗いところに露出を合わせたりするんです。それで失敗する方が多いんです。
入門機としてはM6がいいんですけど、一番いい時代のライカの手触りに触れてみたいという方にはM3をお勧めします。このM3も、世界の先進国の中では日本は買いやすい国だと思います。
●最後にライカで撮影する場合の注意点や、
メンテナンスの方法について教えてください。
100人の人がいれば100通りのライカの扱い方があると思うんですが、最も気をつけていただきたいのは、「ライカを落とすな」ということです。これは私の体験からきているんです。ライカを落として壊したがために、大事なショットが撮れなくて無念な思いをしたうえに、それを修理屋さんにもっていって、法外なお金を請求され、そのおかげで、その後何ヶ月もお酒が飲めなかった(笑)。
もう一つは「ライカのメンテナンスにお金をケチるな」です。ライカの定期的なメンテナンスはちゃんとやるべきです。ライカというのは非常に頑丈であるがゆえに、逆に故障がわかりづらいんです。最近のカメラはいきなり壊れるんですが、ライカは徐々に具合が悪くなってゆくんです。まだ使えるだろうと思っていると、あるイーブンポイントを越えてシャッターにムラが出たりするんです。ですから定期的なメンテナンス、少なくとも3年に1度くらいはオーバーホールをしたり、1年に1度くらいは各部点検をするなど、ライカを使う場合は、そのメンテナンスの費用を最初から経費として見込んでおいた方がいいでしょうね。
●ありがとうございました。 |