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■印刷では出せないものを、 デジタル技術を利用することで再現します。 |
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●先生は以前より写真の印刷精度を追求され、写真のデジタル補正にも力を注がれているようですが。 私が写真を撮り始めた頃には、すでに印刷はデジタル化されていましたので、自然と理解を深めてきました。もっとも、写真をコンピュータ上で合成したり、色を変えてしまうといった、いわゆるコンピュータ・グラフィックスのような使い方はしたことがありません。自分が表現したいもの、自然な景色の、見たときの印象に少しでも近づけたい、そのためにデジタルを使用しています。 ●具体的には、どのような部分でデジタルを利用されているのですか? たとえば霧の中の風景を撮った場合など、写真の仕上がりで霧が印象よりも薄い場合があります。自分が撮りたかった霧はもっと濃いものであった場合など、デジタルで補正して霧の濃度を高めたりすることがあります。 また、フイルムを印刷にかけると色が微妙に変わってしまいます。暗い部分が黒くツブれて元の色が出ていなかったり、明るい部分が白く飛んでしまい、再現されていなかったりします。それを写真をデジタル化して補正処理を加えることにより、印刷再現ができるようになります。 ●するとデジタルカメラで撮影しているわけではないのですね? 撮影しているときはアナログのフィルムです。それをスキャンニングして、コンピュータで補正処理をしています。デジタルカメラには興味があるので、試しに使用してみたりすることもあるのですが、私が求める表現を可能にするには、まだ精度が低いんです。もっとも、数年後にはデジタルカメラで作品を撮れるようになるのではないでしょうか。 |
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日本一古い桜だが、毎年見事な花をつける。樹を中心に安定した構図を考えた。 ■カメラ:リンホフマスターテヒニカ4×5 レンズ:90mm 絞り:f32 1/2 シャッタースピード:1/8秒 フィルム:プロビア 撮影地:山梨県武川村山高の神代桜 |
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前日の風と雨で残念ながら散ってしまったが、花びらが黒い幹にはりついて、はかない美しさを感じた。 ■カメラ:リンホフマスターテヒニカ4×5 レンズ:150mm 絞り:f22 1/2 シャッタースピード:3秒 フィルム:プロビア 撮影地:新潟県五泉市小山田の彼岸桜 |
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●昨年、東京の銀座ミキモトホールで開催された、先生の『和の楽園 日本の宿』という作品展では、デジタルを使用されたとうかがっていますが? そうです。展示していた作品はすべて一度スキャンニングして、レーザー光線でネガカラーの印画紙に焼き付けています。 通常のプリントでは、暗い影の部分は印画紙に焼き付けるときにツブれて黒くなってしまいます。しかし、被写体を肉眼で見ているときには、影の部分もちゃんと見えています。普通は、この影の部分をプリントで再現するために、撮影時にストロボやレフ板を使って人工的に光を当てます。こうした人工光は、自然光が遮られる室内写真では特に多用されます。しかし、この「日本の宿」で展示した作品には、こうした人工的な光は一切使用しませんでした。もちろん部屋の中にはじめからあったライトはそのまま使用していますが、それ以外の人工光はまったく使っていません。それをデジタル処理にかけて影の部分まできれいに再現したのです。 ●そんなことができるのですか? アナログの被い焼きでも同じようなことができるのですが、デジタルで補正した方が微妙な調子を再現することができるのです。 |
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黒い幹を手前に入れて構図を考えた。広重の絵を頭に浮かべていた。 ■カメラ:リンホフマスターテヒニカ4×5 レンズ:135mm 絞り:f32 シャッタースピード:1/4秒 フィルム:プロビア 撮影地:秋田県角館町 |
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こんなところに龍を見つけたぞと思って、そっと近寄って撮った。 ■カメラ:リンホフマスターテヒニカ4×5 レンズ:400mm 絞り:f11 シャッタースピード:1/2秒 フィルム:プロビア 撮影地:岐阜県宮村の臥龍桜 |
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●先生はデジタルの写真技術の今後に、どのようなことを期待されていますか? 私の場合は写真の表現の幅を広げるためにデジタルを利用していますが、今後は今以上にフィルムやカメラの限界をなくしていってくれるのではないかと期待しています。 ●今後の三好先生の活動予定についておうかがいしたいのですが。 今、進んでいる計画としては空海の世界を写真で表現してみたいと思っています。空海と関わりの深い四国霊場の八十八箇所から高野山、またチベットやヒマラヤまでも作品としてまとめてみたいと思っていまして、昨年はチベットのカイラス山に行ってきました。 |
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