路上観察は連歌遊びに似ている。
仲間と一緒にやった方が楽しい。
見立て、想像をする知的な遊び。それが路上観察です。松田氏は路上観察が連歌に似ているといいます。何人かが集まり、それぞれが歌の一部を作って歌い継ぎ、一つの大きな歌を作ってゆく連歌と、各々が切り取った町の一角の写真を集めて、様々な表情を持つ町の姿を再認識する路上観察。確かに、この二つには共通するものがあるようです。
皆さんが路上観察を行われるときも、何人か仲間を作って歩かれるといいと思います。もちろん一人で楽しんでいる方もいると思いますが、たとえば藤森さんのように近代建築を研究するため、といった目的を持っているのでしたら続くでしょう。しかし、ただ漠然と観察していたのでは、普通は続かないのではないでしょうか。仲間と一緒に、たとえば今回はこんなテーマで路上観察してみようとか、相談をしながらやる方が楽しいと思います。やるのなら楽しく、面白い方がいいですからね。
「犬」と書かれた紙が戸に挟まれて顔を出している。本物の犬が顔を出しているところが想像できて面白い。(平泉)
読者の皆さんも、写真仲間と、あるいは所属されている写真クラブの皆さんと、時には作品づくりから離れて気軽に路上観察をされてはいかがでしょうか。写真歴の浅いビギナーの方も参加しやすく、また写真にそれほど興味のない方でも参加できる、楽しい企画になることと思います。また、路上の不思議なもの以外にも、あの人がこんな事に詳しかった、こんな特技を持っていたという、新たな発見があるかもしれません。それがみなさんの交友関係を、さらに拡げてくれることでしょう。
象の墓場ならぬ秤の墓場。その土地その土地に特有な景色があるように、生活の一つ一つにも固有の景色がある。(石巻)
お伊勢様が大麻をくれる? 神社のお札のことを「大麻」ともいう。マリファナと間違えられては困るためだろう、「おふだ」という添え書きがあった。(東根)
郵便ポストにうまく化けられたタヌキと化けられなかったタヌキ。うまく化けられたのはお母さんのタヌキで、体の大きな息子の方は、うまく化けられずに人間に見抜かれてしまう。そんな楽しい想像をさせてくれる。(東根)
「とまれ屋」という旅館。ちょっと命令されているような気がする。(新庄)
誰でも子どもの頃に、何かが怪獣や恐竜に見えた記憶があるのではなかろうか。私には換気扇が昆虫の顔のように見えた。(酒田)