路上観察紀行

 赤瀬川氏に今後の路上観察学会の活動をおうかがいしたところ、「奥の細道」以降は今のところ、これといった計画は立てていないという返事をいただきました。

 芭蕉の歩いた道を私達が研究しているのではないかと誤解されている方もいるようですが、これは言いがかりなんです(笑)。私達は別に芭蕉の研究者ではないわけで、路上観察は街の中の人間の営みや痕跡を横から眺めているのですから、自然の中ではできません。しかし街ならどこでもいいかというと、そうでもなくて、少し古い街の方が面白いものがあるんです。それで東海道や奥の細道を歩いているだけなんです。無目的に歩くことの大義名分にすぎません。しかし今後もチャンスがあれば大義名分をいただきまして(笑)、冗談の好きな仲間達と歩き続けていきたいと思っています。
止水栓のまわりに緑が生えて、緑の金環食のようだ。いや、緑環食かな? (千住)
石巻で見つけた「植物ワイパー」の物件。
林丈二さんはぜこのよさをわかっ
てくれないのだろう。(石巻)
 
 
 
 
 
富士山の形のガードレール。象潟なので、もしかすると鳥海山かもしれない。(象潟)
 
 
 
 
 
岩沼で見つけた不思議な物件。後ろにある点々は何だろう。コビトたちへの「止まれ!」だろうか。(岩沼)
 
 
 
『老人力』の話から入ったためでしょうか、「歳をとったから」と何度かおっしゃっていた赤瀬川氏ですが、「別に路上観察は老人だけがやりなさい、というわけではありませんよ」と笑いながらおっしゃいました。「冗談を言い合いながら、ただブラブラと歩くだけ」という学会の皆さんのその冗談の一つ一つが、メンバー一人一人のエネルギッシュな活躍を支えているようにも思えました。

 4回に渡って連載させていただいた「路上観察紀行『奥の細道』ウォッチング」。ひと味違った写真の世界はいかがでしたでしょうか。カメラのキタムラでは今後も読者の皆さんに、写真の楽しみ方を広げる新しい提案や紹介を、積極的にしていこうと考えております。最後になりましたが、連載中、ご多忙にもかかわらず、快く取材に応じていただいた路上観察学会の皆さんに深く感謝したいと思います。ありがとうございました。
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