特集
日本人の原風景を知るために、
ヨーロッパも撮り続けていきたいのです。

●日本とヨーロッパを比較するということなのですが、先生は最近、何度かオランダへ行かれたそうですね。オランダと日本の原風景、自然観にも差があるのですか?

 相当大きな差がありますよ。オランダという国は自然にできたわけではなく、干拓によってできた国で、オランダ人自身が生み出した土地なのです。だから彼らは自分たちの土地や景観をとても大事にしています。どれだけ大事にしているかというと、オランダには電柱が一本もないのです。海面下より低い国でありながら、高圧線以外は全部地中に埋めている。これは日本とは大きく異なる点ですね。そうしたところにも、民族の土地に対する思いの差があらわれていると思うのです。

 日本とオランダの比較ということで言いますと、今度、私とオランダの写真家のマーチン・ケルスの二人で二人展を開きます。9月15日から東京のフジフォトサロンで、10月1日からは新潟県豊栄市の博物館で開催します。同時にオランダのノルドプラント自然博物館でも同じものを展示します。

 この企画ではマーチンが日本に来て日本の風景写真を撮り、私がオランダに行ってオランダの風景写真を撮りました。それと一緒にマーチンが撮ったオランダの写真と、私が撮った日本の写真も展示します。これらの作品を四季に分けて、それぞれマーチンの作品と私の作品を交互に並べて比較できるようにします。つまり私とマーチンが、互いに相手の国と自分の国をどう見ているかを比較するわけです。この企画はお互い持ち出しなので大変なんです(笑)。

※ここで言っている「持ち出し」とは、スポンサーを持たずに費用のほとんどを自費でまかない、展覧会を開催するという意味です。
オランダ名物の風車。風車は、今でもクリークの廃水用として利用されている。ヨーロッパには様々な風車があるが、オランダのものが一番美しく立派である。
■カメラ:キャノンEOS-1 レンズ:EF500mm F4.5L シャッタースピード:1/60 絞り:AE+2/3補正 フィルム:RVP 三脚使用 撮影地:オランダ・ライデン
オランダの民家とクリークの黄昏。オランダ人は、水を巧みに生かして、日常の暮らしに役立てている。
■カメラ:ペンタックス645 レンズ:SMCペンタックス645 300mm F4 絞り:f11 AE+1/3補正 フィルム:RVP PLフィルター・三脚使用 撮影地:オランダ・ホープトドルフ
●そのお忙しい最中に、今年の10月29日には、名古屋で開催されるキタムラ主催、蜂須賀秀紀先生とのフォトトークショーにご出演していただくことになりまして、ありがとうございます。

 どういたしまして。名古屋での講演は今回で3回目だと思います。私は愛知県出身なので、名古屋はなじみの深い土地ですから、私も楽しみにしていますよ。
●先生の講演では質問も多いのではないかと思いますが、こんな質問は困るといったことはありますか?

 いえ、別にありません。知っていることなら何でも答えますよ。いつも、つつみかくさず話すようにしています。質問の内容がよくわからないものは困りますけど(笑)。

●最後になりましたが、今後のカメラのキタムラに期待すること、希望することがおありでしたらお話しください。

 カメラのキタムラの店内でミニギャラリーを開かれているお店があるようですね。これはとてもいいことだと思います。他のキタムラでもスペースを工夫して真似られてはいかがでしょうか。誰でも気楽に入れる、写真を見るだけのお客さんが来られてもいい、そんなキタムラのミニギャラリーが各地にできるといいと思います。
民家の軒先に吊るされた干し柿。年々、作り手が少なくなって、このような干し柿の風景を見ることが出来なくなってきた。
■カメラ:キャノンEOS-1 レンズ:EF28-80mm F2.8-4L シャッタースピード:1/60 絞り : AE フィルム:PKR PLフィルター使用 手持ち撮影 撮影地:愛知県東栄町
カメラのキタムラ「第9回 全国秋の彩フォトコンテスト」へ
もどる もくじ

当サイトに掲載されている写真・テキスト等を無断で複製・転載することを禁じます。