特集
自然に対する感じ方を磨くことが、
結果的に優れた作品を生みだしてゆくのです。

■マクロ撮影が写真の世界を広げていきます。
●一般の方々に風景写真というと、すぐに広大な景観を写す、いわゆる「引きの写真」を思い浮かべると思うのですが、これとは別に、マクロレンズで被写体に寄って写す「寄りの写真」もあります。先生の屋久島の作品の中にも、マクロレンズで撮られたものがありますが、このマクロレンズを使った撮影についてお話しをうかがえますか?

 私が最近よく使用しているレンズは17~35ミリのワイドズームと100ミリのマクロレンズで、この二つがあれば、私の撮りたい世界をだいたい写すことができます。特に最近はマクロレンズの性能が良くなってきていますし、値段も安くなっていますから、一般の方々でも手軽にマクロ撮影ができるようになってきました。
 マクロの世界というのは、肉眼ではなかなかわからない小さな花や水滴などの美しさをとらえることができますし、それらの被写体は庭先や道端など、どこにでもあります。誰でもマクロ撮影ができるようになったということは、撮影の対象が広がったと同時に、こうした今まではレンズを向けることがなかったところにも、レンズを向けるようになったということで、撮影場所が広がったという意味もあると思います。

 マクロ撮影で気をつけなけらばならないことの一つに、些細な風でも被写体がブレてしまうということがありますが、この場合もISO400のフィルムを使用すれば、ある程度うまく写すことができます。私の場合、マクロ撮影ではISO400のフィルムと卓上三脚、レリーズ、アングルファインダーを使用しています。もちろん縦位置用にグリップを自作するといった私なりの工夫は加えています。ISO400をISO800に増感させることもありますね。

 マクロ撮影に限らず、写真というのはレンズとカメラさえあればいい写真が撮れるかというと、そうではありません。様々な工夫を加えてこそ優れた作品が生まれるのです。そうした工夫を支えているのは、こういうものが撮りたいという意志です。その意志を持つためにも、自然に対する感じ方を磨いていかないといけません。
やわらかいシダ植物の新葉。200mmマクロを持って森の中を歩くと、次々とおもしろいものが見つかる。これはわずか2cmぐらいのもの。まっ暗い森で見つけた。
■カメラ:ミノルタα-9 レンズ:200mm マクロ 絞り:f5.6  シャッタースピード:30秒 フィルム:RDP・ 撮影地:屋久島
苔の上にふわりと落ちたヒメシャラの花。3cmほどで、梅雨のさなかに咲く。露出補正をプラス1にして、見た目より明るく写した。
■カメラ:ミノルタα-9 レンズ:200mm マクロ 絞り:f5.6 シャッタースピード:30秒 フィルム:RDP・ 撮影地:屋久島
 
 
 
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