特集
日本の滝も世界的に見れば特殊なのです。

■ノルウェーフィヨルドは
地球の原始の姿を見る思いがします。
●今後の先生の活動のご予定を教えてください。

 ヨーロッパはここ20年くらいじっくり撮っている地域で、これをもっと幅広く充実させていこうと思っています。この取材の後も、ノルウェーに行きますよ。ノルウェーはヨーロッパの中でも好きな地域なのです。中でもノルウェーフィヨルドは素晴らしい。平坦なヨーロッパの中ではまったく異質な地域で、海面から一気に1000メートルも立ち上がる山々が並んでいて、夏にはミッドナイトサンといって太陽が沈みませんから、夜中に太陽が見られます。そういう風景は、まるで太古に戻って地球の原始の姿を見る思いがします。

 9月4日から、私のこのノルウェーフィヨルドの写真を展示する「北欧物語」という写真展が、新宿のアイデムフォトギャラリー「シリウス」という新しいギャラリーのオープニングとして開催しますので、興味のある方は見に来ていただきたいです。
ノルウェーフィヨルドの秋。季節は10月上旬。北極圏の山々はすでに雪化粧をして、冬の到来を待っている。
■ペンタックス645  レンズ:SMCペンタックス64580-160mm
F4.5 絞り:f16 AE+1/3補正 フィルム:RVP PLフィルター・三脚使用 撮影地:ノルウェートロムソ郊外
奥日光、小田代ヶ原での早朝の風景。外気が冷え込み、地表近くを薄い霧が浮遊して、幻想的な空間が生まれた。
■カメラ:ミノルタα9 レンズ:AFアポテレ300mm F2.8G シャッタースピード:Sモード 1/125 AE +2/3補正 フィルム:RVP 三脚使用 撮影地:栃木県小田代ヶ原
広角レンズのパースペクティブを利用して、落ち葉と滝の風景を撮った。絞りこんで、手前の落ち葉から滝までをシャープにして撮っている。
■カメラ:ゼンザブロニカGS-1  レンズ:ゼンザノンPG50mm F5.6 シャッタースピード:1/2 絞り:f22 フィルム:RVP PLフィルター・三脚使用 撮影地:福島県二見ヶ滝
滝を撮るときのシャッター速度は、1/2秒以下の低速か1/250秒以上の高速のどちらかが面白い。これは低速で捉えた滝。
■カメラ:ミノルタα9  レンズ:80-200mm F2.8
シャッタースピード:Sモード 1/2 AE +2/3補正 
フィルム:RVP 三脚使用 撮影地:北海道不動の滝
●写真集など、出版物のご予定はありますか?

 「二十四節季」という写真集をまとめたいと思っています。日本の四季をさらに細かく二十四に分けて、それを写真で一つずつ表してみようという企画です。写真は選んであるのですが、時間がなくてなかなか構成まで進めません。

 また、予定ではないのですが、この前、学習研究社から「日本の滝1000」という三冊シリーズの本が発売されました。これは日本で名の知れた1000の滝の写真を「遊楽の滝」「和みの滝」「幽遠の滝」と三冊に分けて編集した写真のガイドブックです。とても一人で1000もの滝すべてを撮れないですから、日本滝写真家協会というのを作りまして、みんなにも手伝ってもらいました。

 滝の写真の撮り方も、滝の撮影テクニックとして説明しています。1冊にまとめられればよかったのでしょうが、厚くなりすぎてしまって、とてもこの本を片手に滝を撮りに行くというわけにはいかなくなってしまいます。ですから3冊に分けました。

 日本の滝というのは、たとえばナイアガラとかビクトリアとか、ノルウェーの山奥から流れ落ちてる落差百数十メートルの滝とは比べものにならないのですが、それでも細やかで美しいんです。だから滝に打たれて心身を清めようなどという考えも生まれてくる。外国では誰も滝に打たれようなんて考える人はいません。だいたい泥の滝が多いので、心身は清まりません。ナイアガラの下なんて行ったら木っ端微塵になってしまいますしね。そういう意味で日本の滝というのも世界では特殊なものなのです。
山形県米沢市の、奥深い谷間に落ちている火焔滝。岩と水との入り組む様子をシャープなピントで捉えたもの。
■カメラ:キヤノンEOS-1 レンズ:EF70-200mm F2.8L シャッタースピード:1/2 AE フィルム:RVP PLフィルター・三脚使用 撮影地:山形県火焔滝
 
 
 
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