特集
デジタル写真もプリントしてみて、
はじめてわかることがある。

■デジタルカメラで撮った写真でも、
写真集はできます。
●先生は「ニライカナイ」の写真展の開催と平行して、「ニューカレドニア」という写真集も出版されました。この写真集は、すべてデジタルカメラで撮られているということなのですが、デジタル写真はフィルムに比べて精度が落ちると言う人もいるようです。この点はいかがでしたか?

 問題なかったですよ。もちろん、どのような場合でもデジタル写真でいいというわけではありません。たとえば人物の肌のなめらかさや、森の細かい葉を写さなければならないような場合は、フィルムの方が向いています。しかし、デジタルカメラの場合はピントが深いですし、小さいものでもきれいに写りますから、花や海の透明感などはデジタルカメラの方がきれいに写ると思います。今回のニューカレドニアのように、海に囲まれた明るい南の島の撮影には、デジタルカメラの方が向いているのではないでしょうか。

 また、デジタルカメラはマクロ撮影が簡単にできますから、昆虫や花のアップなどが手軽に撮れます。そうしたデジタルカメラの特徴をもとにした、写真の新しい可能性を見つけだす人も登場するかもしれません。
●「ニューカレドニア」の作品は、どの程度の画素数で撮影されたのですか?

 500万画素です。あまり画素数を上げてしまうと、枚数が撮れませんし、処理に時間がかかりますから、少し落として撮影しました。通常はデジタル写真を印刷に入れる場合、難しい処理を加えたりするのですが、今回はストレートにデータを入れて印刷しています。
 写真集を印刷した後から知ったのですが、カメラのキタムラでも導入している、フロンティアというデジタルプリントシステムを使うと、美しい仕上がりのプリントになりますね。フロンティアで大四つ切りに伸ばしてみたのですが、印刷したものと見分けがつかなかったので驚きました。フォトコンでもフロンティアのような高画質のデジタルプリントで応募されたら、通常のフィルムからプリントされたものと見分けがつかないと思います。
菜の花は露出が難しい。少し明るめに撮らないと花が濁ってしまう。次々と歩いてくるお遍路さんを、1/15秒位で少しブラしてみた。
■カメラ:ペンタックス645N レンズ:45-85mm  絞り:f32 AE +1 2/3補正 フィルム:フジクロームプロビア100F1段増感 撮影地:高知県室戸市
 
池に咲いたスイレンを上から撮った。日影の暗い場所なのに美しく撮れて驚いた。
■カメラ:ミノルタ ディマージュ7 絞り:f5.6 シャッタースピード:1/15秒 フィルム感度:ASA200 撮影地:ニューカレドニア
 
 
太く黒い幹の真ん中から咲いた一輪。まわりのにぎやかさをカットして、ひっそりとした雰囲気を狙った。
■カメラ:リンホフマスターテヒニカ レンズ:ローデン210mm 絞り:f16 シャッタースピード:1/85 フィルム:フジクロームプロビア100 撮影地:東京都池上本門寺
 
 
 
●デジタルカメラで写真を楽しんでいる人の中には、プリントしない人や家庭用のプリンターでプリントして済ましてしまう人も多いように思いますが。

 写真はプリントしてみなければわかりません。画面で見てきれいに見えるものでも、プリントしてみると微妙にピントがずれていたりするものです。また、家庭用のプリンターでは日持ちがしませんから、退色してしまいます。ですから、いつまでも残したい写真は保存性のいい銀塩プリントとして残す方が良いでしょう。写真を楽しむ上でも、一つ上のクオリティを常に心がけてほしいと思います。
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