Vol.42 2002 AUTUMN

季節の終焉である秋の輝きを自己表現としてとらえる。
 
現実をみつめ、自然に対して自分の姿をさらし、
確認をしながら作品を残せることは素晴らしいこと。
カメラにも、つくられた国の歴史・文化など、時代性が現れている。
(上)【富士黎明】富士山の撮影名所の一つである。三ッ峠から狙った富士山の日の出風景。この時は、雲海が素晴らしく、まるで松竹映画のタイトルバックを見るようであった。こんな被写体はストレートに撮る。
■カメラ:キヤノンEOS-1 レンズ:EF28-80mm F2.8〜4L シャッタースピード:1/20 AE フィルム:RVP PLフィルター・三脚使用 撮影地:山梨県三ッ峠

(上)【雲のドラマ】富士山の写真の面白さは、雲の様子で決まる。富士と上空の雲の動きを対比させてフレーミングするのである。この場合は、空を多く取り入れて変化を付けた。
■カメラ:キヤノンEOS-1 レンズ:EF28-70mm F2.8L シャッタースピード:1/60 AE+2/3補正 フィルム:RVP PLフィルター・手持ち撮影 撮影地:山梨県忍野村

(上)【山腹紅葉】北海道の中央部、上富良野町の東部には急峻な大雪山系の山々が広がる。山腹には、多様な広葉樹がひしめいて、様々な秋の色合いが楽しめる。10月の中旬が見頃である。
■カメラ:ミノルタα-9 
レンズ:ハイスピードAFアポテレ300mm F2.8G シャッタースピード:1/30 AE フィルム:RVP PLフィルター・三脚使用 撮影地:北海道上富良野町
―――先生は、今年の1月に、先の四万十川の合同写真展とは異なる、アンティークカメラによる写真展も開催されています。先生の考えるアンティークカメラの魅力や現在のカメラとの比較について教えていただけますか?
 最近になってアンティークカメラを使うきっかけとなったのは、私が写真を撮りはじめた頃というのは、カメラを買い換える時に下取りに出して次のカメラを購入するというのが当たり前でした。ですから、当時私が使っていたカメラは今は手元にないのです。人間というのは不思議なもので、ないと欲しくなる(笑)。またその頃のカメラで写真を撮ってみたくなったのですね。
 今、アンティークカメラは800台近くを所有しています。正確に数えたことがないので、実際はもっと多いのか少ないのかわかりませんが(笑)。海外に行った時に日本では見かけなかった機種を発見し、もの珍しさから集めたりもしています。
 そういう理由から、私が所有しているアンティークカメラというのは、ほとんどがヨーロッパの国で生産されたものなのですが、それらのカメラを見てみると、カメラが当時のその国の工業水準のバロメーターになっていたことがよくわかります。
 また、生産された時の時代性や民族性がよく反映されています。例えば、ロシア製のカメラであれば1960年代に生産されたものがよくできています。外観は少し無骨だけれども、丈夫にできています。そういう目でアンティークカメラを見てみると、ヨーロッパ各国の民族性の味わいがあるように思います。
 それとアンティークカメラの魅力の一つは、シャッターを押す時の意識の持ち方だと思います。それは、カメラがつくられた遠い時代をイメージしたり、自分の父親やその時代を生きていた人の意識を思いながら撮るということの面白さだと思います。
 当然、現在のカメラと違い全ての操作が手動式で、メカニズム的にもシンプルなのでカメラの仕組みがわかるという面もあり、まさにデジタルカメラと比べると対極のカメラだと思います。現在のハイテク装備されたカメラを使われている方も、アンティークカメラの味を知ってみると、そこには長い歴史や伝統から生まれてきた、カメラが持っているもう一つの楽しみ方が発見できるのではないでしょうか。
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