種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2011.04.15【Vol.007】
今や、一部を除きほとんどのカメラ(一眼レフ、コンパクト機)に備わっているストロボですが、そのストロボの歴史は意外と古く、今から約80年前にその仕組みの原型が開発されました。といっても写真が出来てから180年ほどですので、大きな歴史で見ればまだまだ新しい発明かもしれません。 暗い場所や高速で動く被写体を撮影することに大きく貢献するストロボ撮影ですが、それが出来るまでは、古くは火花を飛ばして撮影したり、マグネシウムの粉を発光させたり、または、閃光球、閃光電球によって光を補っていました。もっとも、閃光電球に至ってはつい最近まで日本でも製造されていましたが、1980年代前後からストロボの性能が急速に進歩したので、今や写真撮影での光量を補う主役はストロボになっています。 1960年代半ばにストロボが世界で初めてカメラに内蔵され、徐々に写真愛好家にも浸透していくわけですが、それでも今と比較するとまだまだ高価で普及しにくく、扱いにくいものでした。今のように、撮影者自身が何もしなくとも適切な光の量を決めてくれるストロボは無く、撮影距離やISO感度、絞り値などを計算して露出を決める操作を被写体に応じて決定する作業が必要だったわけです。今でもその原理は同じですが、主にストロボ側で被写体までの距離を測った上で適切な発光量を決めてくれるので撮影者はシャッターを切れば適当な明るさで撮影ができます。
先に述べたように現行のストロボの多くは初心者でも大変扱いやすい便利なものになっています。暗い場所に行けば自動でカメラ内蔵のストロボが光ってくれたりして、むしろその仕組みを知らなくても無意識のうちに使用していた、といったことも多いのではないでしょうか。ほとんどの場合はそれで綺麗に撮影できていることと思います。ただ、カメラ内蔵ストロボを使うにあたり、一つ気をつけたいのが、ストロボ光の「ケラレ」です。
ケラレあり
ケラレなし
焦点距離を広角側で撮影したときにその現象が起きてしまいます。単純にストロボから出る光がレンズ鏡筒にかかっしまい、その部分が被写体に届かないことに拠る、ストロボ撮影の失敗です。広角でかつレンズフードを装着したときに起きやすいので、内蔵ストロボを使って広角側で撮影する場合はレンズフードを外すことをおススメします。またカメラの説明書にはその内蔵ストロボが何mmまで対応(照射範囲)しているかが記載されています。例えば17mmと書いてあればそれより広角レンズになればなるほど周辺部に光が届かなくなり、画面中心部のみ明るい写真が出来上がってしまいます。極端な例で言えば魚眼レンズを使った場合などに画面周辺が暗い写真が出来上がってしまいます。
それともう一つ、そのストロボがどれぐらいの発光量を備えているかということです。ストロボ光は一瞬ですので、肉眼ではなかなか測ることが出来ませんし、直接発光を見るのはよくありません。それぞれストロボには「ガイドナンバー」という指標のようなものがありますのでそれを参考にしてみてください。ガイドナンバーが大きくなれば、より遠くまで光が届くと考えればいいでしょう。そのガイドナンバーや実際のストロボ撮影については別の機会でお話し出来ればと考えていますが、まず、実際にストロボ撮影をするに当たって、ケラレに対する注意、照射範囲、ガイドナンバー(GN)について把握しておくといいでしょう。
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