種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2011.05.6【Vol.010】
前回クラシックカメラの紹介をした流れで、今回はカメラの進化について少しお話ししてみます。
まず、カメラという名前は「カメラ オブスキュラ」が由来となっています。カメラオブスキュラという箱型の装置は絵を描くために中世の頃から使われていたそうです。そして現在のように何かに画像を記録(定着)させる方法は1826年にニエプスという発明家が初めて行い、簡単に言えばアスファルトに初めて画像を残すことに成功しました(すでに、光を銀とその他化合物に当てると黒く変化するという原理は18世紀ごろに知られていたようです)。その後1839年、ニエプスとダゲールという人が「ダゲレオタイプ」を発明し(ニエプスさんは研究中の1833年になくなられます)世界的に発表されました。またカメラそのものは「ジルーダゲレオタイプ」として販売も開始されました。
ここまでは様々な文献などに出ていて有名な話しかも知れません。写真、カメラが発明されて180年ほどです。現在では誰でも簡単に撮影できる写真ですが、カメラ、感光材料、レンズともに常に進化し続けてくれたからというのも事実です。
まずカメラそのものの機能としてピントを合わす機構、フォーカシングは、元来、手動であったものが今では自動焦点機能が当たり前です。ですが自動焦点という呼び方自体は今のオートフォーカスが出来るずっと前、戦前からありました。レンジファインダー機構が搭載されたカメラは自動焦点機構付き、という謳い文句が当時のカタログなどから見ることが出来ます。レンズのピント操作は撮影者が行うのですが、被写体を見ながらピントを合わし、直後シャッターを押せば撮影が出来るという操作の合理化に対して当時は大変画期的だったのでしょう。今のようにシャッターボタンを半押しすれば目的の被写体にピントを合わせてくれるという、やはり撮影に伴う手間という部分の簡略化はカメラが進化する上で一番のポイントなのかも知れません。
次に露出についてですが、自動露出(AE)機構を備えたカメラは1938年にKodakが「Super Kodak Six20」というカメラを発売したのが始まりです。当時大変高価であったため700台程度しか生産されていないカメラですが、AE機構については当然カメラが進化する上で欠かせない機構となり今では完全自動露出がほとんどのカメラに搭載されています。
他にもシャッター、ファインダー、巻き上げ、一眼レフ、二眼レフなどのカメラの形態など等、数え切れない進化があります。と同時に、撮影したい被写体に適したICカードをカメラに差し込むことで簡単に撮影できるシステム、ファインダーをのぞいてピントを合わせたい被写体に目線を向けることで、そこに自動でピントを合わせてくれる機構を持つカメラなど、今となっては無くなってしまった機能もたくさんあります。
そんなカメラの進化についてほんの少しだけお話しさせていただきました。