種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2011.06.10【Vol.015】
たくさんの種類がある写真用フィルターですが、その中でも有名なものにPLフィルターがあります。偏光フィルターといわれるもので、水面やガラス、車のボンネットなどの反射を除去したり、空を濃く、または白い雲をより白く見せたり、草木の反射を取り除き、結果的にコントラストを調整して撮影することのできるフィルターです。
直接目に見える太陽などからの光を自然光とした場合、水面や鏡のように目には見えない反射光の部分を除去することで反射の無い写真を撮影できます。
二枚のガラスの間に偏光膜というスリット状の膜を挟み込んだ単純な構造ではありますが、そのスリット膜によって、ある一定方向から入ってくる光(反射)を通さないことで、水面などを反射させずに水中まで見えるように出来るわけです。あくまでも反射光除去フィルターですので、直接太陽方向を見るいわゆる逆光の場合や、反対に順光の場合においては、偏光効果大変少なくなります。逆光で撮影した場合、効果が完全に失われるわけではありませんが、射光線による反射のほうが除去できる効果は高いようです。
よく太陽に対して90度の角度、反射面に対して30~45度くらいがもっとも効果的といわれます。ただ、おそらく、屋外の撮影現場で、正確に太陽との角度や被写体の角度を考えながら撮影するのは現実的ではなさそうですので、自分でファインダーをのぞいて、もっとも効果が出るシチュエーションを探さないといけないでしょう。また、モノが見えるということは、光があり、そして、反射光があるからで、当然、蛍光灯や裸電球など屋外でなくても光のある室内でも偏光効果は得られます。
最近では風景撮影を行う方の常用フィルターのひとつに捉えられているPLフィルターです。もちろん、空をクリアに見せたり、水のある景色、草木の色あいなどをよりよく見せることが出来ます。その反面、効果を期待しすぎたり、もしくは偏光効果を強調しすぎることで、本来とはかけはなれた作品が出来上がることにもなります。そういった意味でも、使いこなしがとても難しいフィルターの一つなのかもしれません。
フィルターなし
フィルターなし
フィルターなし
偏光フィルター有り