種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2011.07.29【Vol.022】
ヨーロッパなどにくらべ比較的湿度の高い日本は、実はあまりカメラなどの光学機器の保管には適さない地域であることをご存知の方は多いとおもいます。しかし日本に住んでいる以上は皆さんそれなりの工夫をしてカメラを保管されていることでしょう。写真用品のなかにはカメラを保管するためのキャビネットや、専用の吸湿剤などがあり、それらを使っての保管が一般的です。カメラ、レンズにとって天敵といえるカビですが、様々な条件があるようですが、温度が20~30℃、湿度が50%以上になるとカビが生えだすそうです。カビの生えやすい保管場所として、たんすや押入れの中があげられ、他に暗室のなかや海に程近い地域などはカビの被害のみでなく、錆びが生じる危険性があるのでより神経を使うことになります。
保管場所について述べましたが、常に同じ保管環境をキープするのは意外と難しいことです。しかもカメラ専用のキャビネットを使用していてもカビが生える可能性がおおいにあります。撮影で使ったカメラをそのままの状態で保管することもあまりオススメできません。帰ったらせめてレンズやカメラボディーの清掃は行ったほうがいいでしょう。細かな砂やごみが次の撮影で思わぬ災難につながってしまうのでカメラの手入れは重要です。またカメラバックの中にそのまま入れっぱなしの保管はとてもよくありません。カメラ専用の革ケースも実は保管用のケースではなく、撮影時、移動時のためのものなのです。 どこが一番カメラの保管場所に最適かはその家ごとに変わってきますが、なるべく直射日光があたらず、通気性がよい場所となります。保管場所の温度や湿度が時間帯で大きく変化するような場所は避けたほうがよいようです。
次にフィルムの保存方法です。カメラ店のフィルム売り場に行くと野菜売り場のような場所に陳列している姿が見受けられます。特別、フィルムの箱には保存方法は細かく書いてありませんが、なるべく涼しく風通しのよい場所の保存が望ましいようです。直射日光などが当たり、高温の場所に保存するのはよくありません。撮影前のフィルムを冷蔵庫で保管される方もいるようです。また、期限が過ぎてしまったものですが、なるべく先に使うことにしましょう。期限が切れたからといって全く性能が発揮されずに使えなくなるようなことはありません。また撮影済みフィルムはなるべく早く現像して保存したほうがいいでしょう。
撮影済みのマウントされたフィルム、スリーブのフィルムの保存方法ですが、良くないのが缶など通気性のないものに密封することが意外と危険なようです。フィルムの保存性能も時代とともに一気に進歩しましたが、やはり通気性のない場所での保管は苦手のようで、それらが古くなればなるほど画像に影響が出るそうです。やはり面倒でもマウントファイルかスリーブのファイルに入れて保管するのが好ましいでしょう。もちろんカメラと同じく湿気の少ない場所で日光が直接当らない場所での保存がベストです。それともう一点保存時はファイルを横積みではなく、縦に並べて保管してください。横積みによって下側のフィルムになればなるほど圧迫され、通気性が減りこれもまた保存に良くありません。
以上カメラ、フィルムの保管方法について簡単に書きましたが、少しの環境の変化で長持ちするかしないかが変わってきますので、気温や湿度が上がる前に一度自身の作品やカメラの保管状況を確認してみてください。