種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2011.11.11【Vol.037】
ピントが少しずれた、いわゆるピンボケの写真というのがあります。
露出、WB、カラーバランスなど写真を撮影する上で重要な要素はたくさんあります。どれをとってもきちんと適切に調節、処理できているに越したことはありませんが、特に手ブレ、ピンボケはその中でも最も注意したい大事な要素です。
露出やWBなどはデジタルカメラになってから、カメラ側、PCソフト上で比較的簡単に補正できるようになりました。ただ、手ブレ補正やAF機能が進化したとはいえ、手ブレやピンボケしてしまった写真を、そうでなかったように修整、補正することは現在殆ど不可能に近い処理と考えていいでしょう。
よく、PC上でのシャープネス処理でピントの甘い写真をなんとか改善できるのではと、それを利用する声も聞かれるのですが、シャープネスは合っていないピントやブレを軽減するための機能ではありません。PC上での後処理ではなく、カメラ側であらかじめシャープを強めに設定していても、ピントが甘い写真は撮影できてしまいます。
シャープネス処理とは簡単に言えば、被写体の輪郭を強調することにで、より写真を明瞭に見せるための処理です。黒と白のコントラストが高くなると考えれば良いでしょう。まずは、ピントが合っていることを前提としてシャープネスの処理を行うようにこころがけましょう。そして、被写体に応じてシャープネスの処理を考えるということです。たとえばポートレートではやや弱めにシャープネスをかけたり、もしくは撮影時の設定より弱める、風景では、細かな木々のコントラスト、輪郭をはっきりさせるためにやや強い処理を行うといったように、常に一律に行う画像処理ではないということです。厳密にいえば同じ画像でも、PC上だけで閲覧する場合とプリントする場合、もしくはそのプリントサイズに応じてもシャープのかけ方を変えて処理するほうがより好ましい結果が得られることもあります。一つ処理する上で覚えておきたいのは、強くシャープネスをかけすぎてしまうと、画像の輪郭が荒れたようにざらついて見えてきますので注意が必要です。
ほんの少しパラメーターを動かすだけでも写真の印象は大きく変化してきますので、シャープネスは非常にシビアな調整が求められる処理の一つといえるでしょう。