種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2012.07.20【Vol.073】
以前、手ブレについての話をしたときに、少しだけ手振れ補正について触れました。
写真の失敗の多くがブレやピンボケといわれるように、誰もが必ず経験する撮影時の失敗である手ブレを軽減する機能ということで、今では多くのカメラ、レンズに採用されています。
実は手ブレ補正には大きく分けて2種類の方式に分かれています。「電子式」と呼ばれる撮影された画像のブレをいわゆる画像処理のような操作でわかりにくくする方式と、一般的によく知られているカメラもしくはレンズに搭載される機械式に分かれます。機械式に関しては、カメラに内蔵される「ボディー内手ブレ補正方式」とレンズに内蔵される「レンズ内手ブレ補正方式」が広く知られています。
ボディー内方式は撮像素子(センサー)自体を動かすことで、手ブレを補正してくれ、つまりは撮像素子上に映った被写体像そのものが動くというイメージで、一方のレンズ内方式は、レンズ構成の中に手ブレ補正光学系を組み込み、そこを動かすことで手ブレに対応しています。
要するにレンズの中を通過する光軸を動かすことになります。ボディー内方式の大きな特徴は、そのボディーのレンズマウントに対応するレンズであれば基本的にすべてのレンズにおいて手ブレ補正効果を得ることが出来ます。最近流行のレンズマウントアダプターなどで、旧来の手ブレ補正が無いレンズにも補正効果が適用されるわけです。そしてレンズ内方式の特徴は、ファインダーで手ブレ補正の効果を確認しながら撮影が可能で、またそれぞれのレンズに特化した補正光学系を設計しているので、レンズごとに特徴のある精度の高い補正が行えます。
ひとつ気をつけておきたいことは、手ブレ補正はあくまで補正であって、手ブレ防止機能ではないということです。機械的にブレを目立たなくさせているわけですが、シャッター速度約何段分という表現で、各カメラメーカーが手ブレ補正の効果を発表しています。
最近では3段分はもはや当たり前になり4段分程度の補正効果が期待できるものが増えてきました。ということは仮に1/125のシャッター速度でブレていない写真が撮影できたとすれば、そこから4段分1/60 1/30 1/15 1/8と速度落としていってもブレずに撮影できるということになります。ただ、1/8から手持ち撮影で4段分落としたシャッタースピードではどうでしょうか。そもそも1/8のシャッタースピード自体が低速シャッターですのでブレる確率やブレ量が大きくなるためいくら手ブレ補正が備わっていても効果は期待できません。
もっとも、カメラやレンズに機能が搭載されているのであれば積極的に活用するべきですが、すべてにおいて万全という期待値だけでは思わぬ失敗を招くこともあるので注意が必要です。