種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2012.08.31【Vol.079】
「ゼンザブロニカ」「ブロニカ」とは1959年の発表、発売以降約47年間、2005年10月まで生産されていた国産の中判一眼レフカメラ、中判レンジファインダーカメラのことです。
ゼンザブロニカETR(右)とS2
このカメラの話しで有名なものに「ゼンザブロニカ」という名称についての話がありますが、このカメラを開発した吉野善三郎さん、ブローニーフィルム、カメラを短くつなぎ合わせて「ゼンザブローニーカメラ」→「ゼンザブロニカ」となったということです。
余談はさておき、当初そのボディーデザインはスウェーデンのハッセルブラッド1000Fと似ていることなどからクレームの対象となったものの、わずかなデザインの変更はあったものの、基本的なボディー形状は大幅に変更することなく生産が続けられました。カメラの機構自体はハッセルブラッドのそれと同じにならないような技術が満載のカメラで、フィルム送りは完全オートマット、巻き上げ前後を問わないフィルムマガジン交換、独自のクイックリターンミラーなどハッセルブラッドと比較にされるぐらいのカメラでした。部品点数は2000点近く、外装金属素材に18-8ステンレスを使用し、カメラの敵である錆びに強く大変丈夫なカメラに仕上げていました。
もともとのフィルムサイズは6x6の正方形ですが、フィルムマガジンを変更することで画面サイズの変更が行える点は多くの中判、大判カメラではよく見られる機能です。初代ゼンザブロニカを含めて8種類、電子露出計を内蔵したモデルまで発展しました。また、交換レンズは40mmから最大1200mmまであり、当初は日本光学のニッコールが供給されていましたが、レンズメーカー製やカールツァイスからも供給されました。
初代のボディースタイルを受け継ぐゼンザブロニカは1978年の「ゼンザブロニカEC-TLⅡ」で終了しますが、1976年からは6x4.5サイズ一眼レフのETRシリーズをはじめ、6x6サイズはSQシリーズ、6x7サイズはGSとラインナップが増えていきます。2000年には645判のレンジファインダーカメラブロニカRF645が発売されます。
ただ、高機能35mm一眼レフやデジタルカメラの勢いもあり、マミヤ、ペンタックスなどの国産中判一眼レフカメラとともに多くの写真愛好家に愛されたブロニカは2005年に発売から47年でその歴史に幕を下ろします。中判のみならず、フィルムカメラ自体が縮小していくのは時代の流れですが、ひとつまたひとつと、歴史あるカメラがなくなっていくとなんだかさびしくなってしまします。
現在国内メーカーで手に入る中判一眼レフカメラは3機種になっています。