種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2016.01.29【Vol.254】
単焦点レンズの魅力の一つにボケがあります。それは開放F値が大きいという特性を活かしたもので、ボケを利用してピントの合っている部分と外れている部分を明確にして、主題を効果的に浮かび上がらせることができます。
ズームレンズの場合、絞りは大口径のものでもほとんどが開放F2.8から、レンズキットなどに付属する標準ズームレンズの開放F値は広角側でF3.5始まりのものがその多くを占めています。一方単焦点レンズになると開放F値はF1.2、F1.4 、F1,8と明るく、結果としてズームレンズと比較して開放撮影時の背景のボケ具合が大きくなります。F2.8とF1.8ではわずかひと絞りしか変わりませんが、標準域の焦点距離でもそのボケ量は大きく、特に被写体に近づいた場合や、背景の丸ボケなどにその差がみられます。また、単焦点ならではのボケの美しさや適度なにじみなどもみられ、ズームレンズとは一味違った描写を狙うために好んで使うこともあります。もちろん、大口径レンズでもズームレンズの開放F値まで絞っていけば、ボケ量はそれほど変化がなくなってはきますが・・・。
単焦点にはボケ以外にも暗いシーンに強かったり、ファインダー像が明るいというメリット、ズームに比べフレアやゴーストが少ないという描写性能の高さもみることができます。最近ではパンケーキレンズのようなコンパクトで軽量な単焦点レンズなども注目されていて、気軽にレンズ一本で撮影出かけることもできます。