物撮りのやり方|写真家が教える物撮り初心者のカメラテク3つ!
はじめに|物撮りについて
ちょっとした小物や趣味のグッズをキレイに撮れたらいいな、と思うことはありませんか?またフリマやオークションに出品する商品を、見栄え良く撮影したいと感じたことはありませんか?写真の出来映え次第でSNSやブログ、そしてフリマでの反応がグンと変わってくるものです。
そこで今回はカンタン機材で「ブツ撮り」の仕上がり具合をアップする撮影法をお教えしたいと思います。
良い写真と悪い写真!3つのポイント
まず、ブツ撮りでの良い写真と悪い写真とは何でしょうか?もちろんピンボケや極端に暗かったり明るかったりする写真はNGです。基本的には被写体が「商品」ですので、そのサイズ感や色合い、質感が見る人に伝わらないといけません。
ですので、商品の特徴がうまく撮れていない写真はダメということになります。
またその商品の「イメージ」を感じさせるのも重要です。例えば「お菓子」でしたら「甘くて美味しそう」とか、「交換レンズ」だったら「手入れが行き届いていてコンディションが良さそう」とかです。さてそのためにはどうすればいいのでしょうか?
物撮りで大事なポイント3つ!
- 商品の特徴をしっかりと捉える
- 適切なライティングで明るく撮影する
- 確実にピントを商品に合わせる
この3つが大切になってきます。各項目を説明していきましょう。
ポイントの前に!物撮りに必要なアイテム
項目説明の前に、ブツ撮りに必要なアイテムの紹介です。
カメラとレンズ
レンズ交換ができるデジタル一眼レフやミラーレス一眼カメラがオススメ。今回はニコンのフルサイズミラーレス一眼「ニコン Z 6」を使用しました。液晶ディスプレイも可動式なので撮影する時の体勢が楽チンです。
レンズは「NIKKOR Z 24-70mm f/4 S」を使用しました。ズームのテレ端を使うことにより、被写体のパース(歪み)を少なくして撮影しましょう。
フラッシュ(スピードライト、ストロボ)
内蔵フラッシュではなく外付けのものを用意しましょう。カメラから離して使うことによって、ライティングの自由度が増します。自然光での撮影は日中に限られますし、窓の向きなどに制約を受けがちです。フラッシュを使えば夜間でも撮影可能となります。
今回はニコンの「SB-800」を使いました。
三脚とライトスタンド
三脚はカメラをしっかりと固定できるものが理想です。カット毎にカメラが動いてしまうことを防ぐのと同時に撮影がラクになります。ライトスタンドはフラッシュを装着、設置するものです。
どちらも最近は軽量コンパクトな製品が増えてきましたので、チェックしてみましょう。今回はベルボンの製品「UTC-63II AS」と「スマートライトスタンド」を使用しました。どちらも脚の伸縮が一瞬で可能な優れものとなっています。
コマンダー
カメラから離して設置したフラッシュをコントロールする装置です。カメラのホットシューに装着すれば、離れた所にあるフラッシュの発光と、光量の調整などができます。今回はニコンの「SU-800」を使用しました。
メーカー純正のものなら使用がラクですが、フラッシュとともに社外品をチョイスする手もありますよ。
背景紙(バックペーパー)
基本カラーは白色でしょう。撮影するものによってマッチした他カラーのものや、ウッド調パネルや布などを使うのもいいでしょう。大きさは被写体より大きいものが必須です。折り目や汚れがつかないように慎重に扱いたいものです。
撮影する被写体にあった背景紙を用意しましょう。このシューズの場合は背景のスペースが足りていません。もっと大きい背景紙を用意する必要があります。ただ撮影画像を切り取る「トリミング」で使用する場合は問題ありません。撮影スペースとの兼ね合いでベストなチョイスをしてください。
レフ板
フラッシュの光を反射させて影を柔らかくするものです。円形や四角いもの、白色や銀色のものなど大きさ含めて、いろいろカメラのキタムラで取り扱っています。自作も可能です。今回は白いボードを二つ折りにしたものを使いました。
アンブレラ
外付けフラッシュに装着して光をやわらげる「傘」です。大きさや色、透過タイプなどさまざまな種類が存在しますが、今回はオーソドックスな内面が白いものを使用しました。フラッシュに装着する場合、アタッチメントが必要となります。
商品の特徴をしっかりと捉える
まずはブツ撮りをする場所を確保しましょう。簡易撮影ブースを作るのです。撮影する商品の大きさにもよりますが、だいたい1m四方の平らな場所があればちょっとした小物の撮影が可能ではないでしょうか。
なかなか日本の住宅事情で広いスペースを確保するのは難しいのですが、自宅やオフィスの空いている場所をうまく見つけましょう。オススメは壁際のスペースです。
そこにホームセンターなどで販売されている折り畳み式のテーブルを設置しましょう。代用できる台でも結構です。そして背景となる白い紙を貼りましょう。上端を壁にテープで貼り付けて、テーブル上でカーブさせます。
こうすることによってスタジオっぽく仕上がります。そこに商品を置いてみましょう。カメラに対して、そのフォルムや色合い、質感が出る向きで設置するのです。カメラの高さも適切に三脚を調整してセッティングします。
部屋の隅に折り畳み式のテーブルを設置し、背景紙を壁にパーマセルテープで貼って撮影台としました。手前には三脚にカメラを据え、左方にはフラッシュとアンブレラをライトスタンドに装着、被写体右手にはお手製の簡易レフ板を置きました。即席の超簡易的撮影ブースのできあがりです。
適切なライティングで明るく撮影する
カメラの内蔵フラッシュや、外付けフラッシュをホットシューに装着しての撮影も可能ですが、影が強くダイレクトにですぎてしまいます。これですと商品があまり魅力的に見えません。そこでまず試したいのが「天井バウンス」です。
外付けフラッシュの発光部を天井に向けてセッティングして発光させ、天井を大きなレフ板として使ってしまおう、というテクニックです。被写体の周りに出る影が柔らかくなったのにお気づきでしょうか?ブツによってはこの仕上がりでOKの場合もあるでしょう。ただ天井が白色でない場合や距離がある場合は、その色が被る場合や光量が不足することもあるので注意が必要です。
フラッシュをカメラのホットシューに付けてダイレクトに照射しました。影がキツく出ると同時に、背景紙の白を拾って露出もアンダーになってしまいました。これではいけません。
次は天井バウンス撮影をしてみましょう。ホットシューに装着したフラッシュの照射部を天井に向けてシャッターを切ればOKです。ダイレクトに撮ったものより影も弱まり、光も全体的に照射されたのがおわかりでしょうか。ただやや露出アンダーなので、もしライティングがこれでいいという場合は、フラッシュの補正値をプラス1段程度増すと明るくなっていい感じになると思います。
そんな時は「オフカメラフラッシュ」撮影です。カメラからフラッシュを離して設置し光をコントロールする撮影技法のことを言います。ライトスタンドにフラッシュを装着し、アンブレラやソフトライトボックスなどのアクセサリーを使うことによって理想的な光の質を作り出せます。今回は白色のアンブレラとアタッチメントを介してフラッシュに装着しました。これで光が広く優しく回ります。
もしこの場合でも影が気になる場合、フラッシュの反対側にレフ板を立てましょう。こうすることによって商品をキレイに見せることが可能です。
フラッシュの設置角度もいろいろ試してみましょう。上方近くから、斜めから、サイドから、正面からと好みのライティングが見つかるまで変化を付けてみましょう。このカットでは左斜め上方からの光で。タオル類のディテールを色合いがうまく出ました。ケーブルレスのオフカメラフラッシュならカンタンにフラッシュを動かせます。
日本で販売されなかった初代のiPhoneを撮影しました。海外で使用していましたが表面は傷が多くつき歴史を感じます。
そのiPhoneの右側に、白いボードを2つ折りにして作った簡易的なレフ板を置きました。端末右側が前のカットと違って明るくなっているのがわかるでしょう。このようにちょっとした白い紙などでもレフ板になるのです。
自分の好みによってライトスタンドの位置を変更することや、もう1つフラッシュを加えてより豊かな光の中で商品を撮影することも可能です。コマンダーによってワイヤレスで自在にセッティング可能なので、撮影時もストレスを感じることなく行えます。
もちろんケーブルを使っての「有線オフカメラフラッシュ」もできます。ニコンの場合は「SC-28」「SC-29」という調光コードが販売されていますので、こちらを利用してもいいでしょう。
確実にピントを商品に合わせる
さてフラッシュのセッティングも済み、いざシャッターを切る段階になりました。カメラのセッティングはどうすればいいでしょうか。
まずはISO感度です。近ごろのカメラは高感度特性に優れますが、できるだけ低い感度の方が仕上がりはキレイになります。ディテールを重視する場合はISO100〜400くらいにしておきましょう。
シャッタースピードはフラッシュの同調速度でOKです。ホワイトバランスは「フラッシュ」にしておきましょう。もしくはオートでもおおむね問題ありません。撮影モードはフルオートでもいいですが、できれば「絞り優先モード」にしましょう。後述する絞りの設定でピントの合う深さを調整できるからです。
画質はできる限り高く設定しましょう。被写体のディテールをキチンと出したい場合は特にです。
絞りの設定ですが、絞りを開ける(数字の少ない方にセッティング)すると背景がボケます。逆に大きい数字にセットするとピントの合う範囲が深くなります。被写体をどのように見せたいかで変わってきますが、何回か絞りを変えて複数枚撮影することをオススメします。
年代物のアウトドア用品を絞り開放で撮りました。前面の文字はシャープに写っていますが、奥の文字はボケています。イメージカット的に撮るならOKでしょう。
今後は絞りをF22と目一杯絞って撮影しました。前面から奥までピントが深くなりシャープに写っていることがわかるでしょう。このように商品をどのように見せていかで絞りを選択する必要があります。
このように簡単な撮影ブースを作れば、パパッと見栄えのいい写真を撮ることが可能です。特にワイヤレスで自由度が高いオフカメラフラッシュ撮影はブツ撮りに向いています。もちろん人物撮影に応用もできます。関連製品をカメラのキタムラでぜひ探してみてください。