RAW現像だけじゃない「SILKYPIX Developer Studio Pro10」で出来る画像合成機能が凄い!
はじめに
前回、RAW現像ソフトとして「SILKYPIX Developer Studio Pro10」の使用方法を紹介しましたが、「SILKYPIX Developer Studio Pro10」はRAW現像だけでなく、多彩な合成モードを搭載しています。RAW現像ソフトと画像加工ソフトがセットになっており、より写真を楽しむことができるソフトになっています。今回は合成機能の特徴や使い方を紹介したいと思います。
SILKYPIX Developer Studio Pro10でできる「多重露光合成」
SILKYPIX Developer Studio Pro10でできる多重露光合成は、カメラ本体で多重露光をしなくて良いので、いろいろなシチュエーションや素材を元に合成する事が可能です。例えば、まったく違った日に撮影したデータや違う場所で撮影したデータを組み合わせたり、違った種類のカメラで撮影したデータを使用したりして多重露光合成イメージを作成する事ができます。
多重露光合成できるデータは、JPEGでもRAWデータからでも可能になっています。またRAWデータとJPEGデータの混合でも多重露光合成できる柔軟さがあります。ただ画像のピクセルサイズが違ったデータには対応できないので、違ったカメラなどで撮影したデータなどは、画像加工ソフトなどを使って撮影サイズ(タテヨコのピクセル)を事前に揃えておく必要があります。
では実際にやってみましょう!
「SILKYPIX Developer Studio Pro10」の合成機能は、上部メニューのツールバーのアイコンをクリックするか、サムネイル表示上で選択コマを右クリックして表示されるコンテキスト・メニューから「選択コマを合成」を選択すると、ダイアログが表示されます。
合成した画像は、TIFF形式かDNG形式を選択して出力が可能になっています。
※TIFFやDNG形式は画像データが大きくなるのでご注意ください。
合成した結果の画像データがこんな感じで仕上がります。モニュメントの枠の中に、反対方向で撮影した富士山を合成することができました。この多重露光合成は、合成する画像を等分に扱いカメラで多重露光をおこなった場合と同様な仕上がりになります。
画像合成は2枚以上でも可能で、複数枚を選択して合成することもできます。上で使用した2枚にもう1枚画像を追加して3枚で多重露光合成をしてみました。
あまり画像の枚数を増やして合成すると、なかなか表現が難しくなってくる感じがします。合成する画像の選択をよく考えて実施する必要があると感じます。
多重露光合成には「夜景」の合成モードもあり、夜景向けのノイズ除去や彩度、黒レベルを重視した合成をすることができます。みなとみらいの夜景と、マニュアルフォーカスでピントをずらした大きな光のボケを作って撮った画像データで、多重露光合成(夜景)モード・黒浮き補正: 中(初期値)で合成してみました。
SILKYPIX Developer Studio Pro10でできる「比較明合成」
比較明合成は、複数枚の撮影画像を重ね合わせる際にピクセルごとの明度を比較し、明るい部分を優先して1枚の写真に合成する方式で、夜景や花火、星の軌跡を表現する際によく使用されています。SILKYPIX Developer Studio Pro10では、比較明合成をしたい画像を選択して、「比較明合成」を選択するだけで簡単に比較明合成写真を作ることができます。
花火を撮影した8枚のデータで比較明合成した写真を作成してみました。単発で上がっていた花火で1枚1枚は寂しかった写真でしたが、比較明合成をする事で華やかさがでた写真になりました。
さらに、みなとみらいの夜景(クロスフィルター使用)1枚を追加して比較明合成モードで作成してみました。明るい部分のみ加算して合成するので、夜景と花火などを組み合わせる事も簡単にできます。
SILKYPIX Developer Studio Pro10でできる「被写界深度合成」
被写界深度合成は同じ撮影シーンでピント位置が異なる複数枚の画像から、広い範囲でピントがあった写真に仕上げます。このモードを使うと被写界深度が浅いマクロレンズで撮影した画像なども全面にピントが合った写真に仕上げることができます。
上の写真は90mmマクロレンズで撮影したバーバリウムですが、手前から奥までピントを合わす事は難しいです。そこで撮影の際に、ピントを合わす位置を手前から奥まで少しづつずらして5カット撮影し、SILKYPIX Developer Studio Pro10の被写界深度合成をしました。
そうして出来上がった画像がこちらになります。被写界深度がしっかりととれて、ビンの中に入ったお花全体にピントがあった写真に仕上がりました。
SILKYPIX Developer Studio Pro10でできる「動体除去合成」
同じ撮影シーンの複数枚の画像から、動きのある被写体を除去して合成をおこないます。このモードを使うと、景勝地などで人がいるようなシーンで人を除去したりする事が可能になります。動体除去合成モードでは複数の写真から、静止している被写体のみを像として残して合成します。良好な合成結果を得るには、背景がしっかりと静止していて、動体の動きが顕著である必要があります。今回は世界遺産の白川郷の景色で5枚の撮影データから動体除去合成をしてみました。
パッと見た目それほど変わっていないように見えるかも知れませんが、撮影中に道路を走行していた車の軌跡(ライト)などが除去できて、静かな白川郷の姿を演出する事ができました。
SILKYPIX Developer Studio Pro10でできる「ストロボモーション合成」
ストロボモーション合成は、同じ撮影シーンの複数枚の画像から、動きのある被写体を残して合成をおこないます。このモードを使うと、動いている被写体を連続的に捉えた1枚の写真に仕上げることができます。このモードでは複数の写真から、動きのある被写体を像として残して合成します。良好な合成結果を得るには、背景がしっかりと静止していて、動体の動きが顕著である必要があります
今回は、海辺で連続撮影したカモメの写真7枚を使ってストロボモーション合成をしてみました。
まとめ
SILKYPIX Developer Studio Pro10は、国産RAW現像ソフトとしてとても使い勝手の良いRAW現像ソフトですが、RAW現像だけでなく様々な合成もできる優れたソフトです。ここで紹介した合成機能ですが、撮影シーンによってはイメージ通りに合成できない場合もあります。何枚合成したらよいのか、どのモードで合成したら良いイメージになるか、試行錯誤しながら合成結果を楽しむのもいいかもしれません。こういう合成がイメージできていると、撮影の段階で合成にあった撮影方法で撮影しておく事もできます。写真を楽しむ方法の一つとしてチャレンジしてみてはどうでしょうか。
「SILKYPIX Developer Studio Pro10」Windows版・macOS版は、30日間無料体験が可能です。この30日間の無料期間には、機能制限などは無くすべての機能が使える状態で体験する事ができます。市川ソフトラボラトリーのSILKYPIX のページからソフトをダウンロードしてRAW現像と合成機能を試してみてください。
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■写真家:坂井田富三
写真小売業会で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。 撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ、ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。
・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・日本風景写真家協会 会員
・NPO法人 フォトカルチャー倶楽部 参事
・一般社団法人 日本フォトコンテスト協会 理事
・一般社団法人 日本写真講師協会 理事
・ソニーαアカデミー講師
・クラブツーリズム写真撮影の旅・ツアー講師