写真家のカメラバッグの中身が知りたい!| 岡本豊
はじめに・・・飛行機撮影時の基本スタイル
今回、私が紹介するカメラバッグは、マンフロットから発売されているリュックタイプ「MB PL-BP-R-310 PL Redbee 310」、キャリータイプ「MB PL-RL-A55 PL ローラーバッグAIR55」、ショルダータイプ「MB MN-M-SD-30 Manhattan スピーディー30メッセンジャーバッグ」の3点です。
飛行機撮影は、現場での天候や風向きによってレンズの選択が変わってくるので、多くのレンズを持っていくことになります。また、飛行機撮影の遠征では、山道や舗装されていない道などを移動することがとても多いです。かといって、撮影現場での決定的な瞬間を逃すわけにはいきません。そのため、私は遠征前に、「持ち運びやすさ」「使いやすさ」という2つのポイントでカメラバッグを選びます。ここでは、それぞれの特徴や機能を生かした、私の使い分けと、おすすめのポイントを紹介しますので参考になればと思います。
リュックタイプ「MB PL-BP-R-310 PL Redbee 310」
遠征先の空港周辺では、山道を登ったり、長距離を歩いて撮影することもあるので、リュックタイプのMB PL-BP-R-310は必ず持っていきます。リュックタイプを購入した時には、まず激しい動きの時もしっかりとサポートしてくれるように、強い厚手のクッションの仕切りを自分流にカスタマイズします。最近は、RF100-500を装着したEOS R5と、RF70-200を装着したEOS R6を入れて遠征に行くことが多いのですが、レンズを装着したまま収納しておく事で、咄嗟の撮影に対応でき、とても便利です。
また、リュックの背面が開口部になっている事も利点です。大きく開くため、ズームレンズを装着したままのカメラでも、素早く取り出すことができます。さらに、背面に開口部がある事で背面側を上に向けてリュックを地面に置き、レンズを交換するといった作業をした後に、もう一度背負い直しても背中が汚れることはありません。開口部には、安全ベルトや、落下防止ネットが付いていて、大切な機材を万が一の落下から守ってくれるので安心して移動できます。パソコンも収納できるので、撮影の合間に現像をしたり、原稿を書いたりする事もでき、遠征時には重宝しています。新幹線や飛行機を使った遠征で一番出番が多いバッグです。
座席列の上の荷物棚に収納可能となるため、事前の申請は必要ないので安心です。隣に置いてある三脚は愛用しているLeofoto LS-284CEX。
客席上部のオーバーヘッドピンに楽々入れることが可能です。
三脚Leofoto LS-284CEX(雲台を外し)をMB PL-BP-R-310 PL Redbee 310に取り付けて、787のオーバーヘッドピンに収納出来るのでとても便利です。
リュックバッグの中身紹介
キヤノン EOS R5とRF100-500mmのセットと、EOS R6とRF70-200mmの組み合わせにレンズ単体でRF15-35mmをセットする。そのほかバッテリー、ノートPCも入れて動くことが多い。
PCはここにスライドさせて入れられるので場所を取らずとても便利です。また、衝撃から守るクッションも気に入っているポイントです。
ローラーバッグ「MB PL-RL-A55 PL AIR55」
MB PL-RL-A55 PL ローラーバッグ AIR55は、機内持ち込み可能で、スタイリッシュなキャリータイプのカメラバッグです。遠征時には、EF500mmの単焦点レンズを入れて、リュックタイプのカメラバッグと併用しています。こちらのバッグに使用されているローラーは、衝撃を吸収してくれるだけでなく、動きもスムーズなため、機材を安心して持ち運ぶことができます。多くの機材を背負ったり、ショルダーで持ち歩くことが辛いと思う方にはお勧めです。
とてもコンパクトに見えますが、奥行きもあり、機材以外のタオルや防寒着を入れる事も可能なので、普段の撮影でも重宝すると思います。ターミナル内での移動によく使用していますが、ローラーを転がしていると撮影目的ではあるものの、旅をしている気持ちになれるのもこのバッグの特徴です。
ローラーバッグの中身紹介
現在の機材ラインナップでは一番重量のあるEF500mmとEOS-1D X Mark IIIの組み合わせ専用としてこのバッグを使います。自動車での遠征時やターミナル内で撮影する時に転がして使えるので身体に負担なく動けて便利です。
メッセンジャーバッグ「MB MN-M-SD-30 Manhattan スピーディー30」
ショルダータイプのスピーディー30メッセンジャーバッグは、使用している生地も薄く、とても軽いのが特徴です。ショルダータイプであるにも関わらず、リュックと同様にレンズを装着したままのカメラが二台すっぽり入るのは驚きです。私は、電車で撮影に行くときや、出先での打ち合わせなど、大きなリュックだと周りの方に迷惑がかかるような場面で使用しています。
セスナ機をチャーターして空撮を行ったときも、制限のある狭い機内にRF100-500を装着したEOS R5と、RF70-200を装着したEOS R6を入れて持ち込みました。もちろん旅客機にも機内持ち込み可能。足元に収納できるほどコンパクトです。最近は、カメラ教室で街角スナップ撮影をすることもあるので、機材と財布等の小物も入れて荷物を一つにまとめて持ち出しています。見た目がカメラバッグに見えないので、仕事帰りに撮影に行かれる方にもお勧めです。
事前にカメラを取り出して前席の足元に収納しておけば万が一のレンズ交換やバッテリー交換にも対応できます。
ショルダーバッグの中身紹介
コンパクトなMB MN-M-SD-30 Manhattan スピーディー30ですが、RF100-500を装着したEOS R5と、RF70-200を装着したEOS R6が入ります。重量は増えますが、15インチのノートパソコンも入れて持ち運んでいます。
まとめ
カメラバッグの選択は非常に難しいと思いますが、まずはご自身の使用機材、撮影目的や撮影場所をしっかりと把握してから検討しましょう。全ての機材が入るからと大きめのバッグを購入しても、実際に持ってみたら重くて使えなかったり、移動に便利だからとローラータイプを購入しても、撮影場所が湿地や草むら、砂利道などの場合はむしろ移動しにくかったりします。
じっくり検討して一つに絞るのも良いですが、いくつかのバッグを撮影目的によって使い分ける事をおすすめします。マンフロットバッグのお気に入りのポイントは、それぞれ共通してシンプルな黒基調なデザインに赤のストライプがアクセントになっているところです。機材を収納する為のものですが、デザインもバッグ選びの大切なポイントだと思います。
■写真家:岡本 豊
1972年、兵庫県生まれ。大阪芸術大学卒業後、企業の広告写真やポートレートを中心に撮影。ボーイング787に魅了され活躍の場を本格的に航空機撮影にスイッチ。現在、月刊エアライン連載「Go! Go! 787」、航空会社の撮影、セミナー等で活動中。年間50回以上787に搭乗。魅力を追う旅へ飛んでいます。Canon EOS学園講師。
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