MOZA MOIN Cameraレビュー|超広角2.45インチタッチスクリーン搭載ジンバルカメラ
はじめに
今回はケンコー・トキナーで取り扱いを始めたポケットサイズのジンバルカメラ、MOZAの「MOIN Camera」をお借りすることができたので早速使ってみました。筆者はこのタイプのポケットサイズのジンバルカメラは、DJIの「Osmo Pocket」を使用しているのですが、このMOIN Cameraは2.45インチ大型モニターを搭載しており、とても気になっていたカメラです。
実際にMOIN Cameraを使ってみて、Osmo Pocketとの違いなども含めてMOIN Cameraのレビューをしたいと思います。
MOIN Cameraのスペック確認
MOIN Cameraは、買ったその日からすぐに使える操作の簡単なポケットサイズのジンバルカメラです。パッケージ内には、カメラ本体と専用ケース、ケーブルが入っており、microSDカードさえ用意すればすぐに撮影ができます。専用ケースはしっかりとしたつくりで、カメラ本体を安全に持ち運ぶことが可能なケースです。眼鏡をかけている人なら分かると思いますが、若干分厚めの眼鏡ケースといった感じの大きさになります。ケース内には本体の他、ケーブルや予備のメディアなどが入れられるスペースも確保されており、このケース一つで機材関連のすべての保管ができたり持ち運びできたりするので便利になっています。記録に必要なmicroSDは、最大容量256GBまで対応です。ビデオクラスV30以上が推奨されていますので、使用する際はV30の記載のあるメディアを用意しましょう。
ポケットサイズのジンバルカメラMOIN Cameraの基本的なスペックを確認するために、コンセプトの近いポケットジンバルカメラOsmo Pocketと比較してみました。
MOZA MOIN Camera | DJI Osmo Pocket | |
サイズ | 129×37.8×32mm | 121.9×36.9×28.6mm |
重量 | 175g | 116g |
ディスプレイ | 480×272 2.45インチタッチスクリーン (90°チルト機構付き) | 小型タッチパネル |
バッテリー容量 | 930mAh(リチウムイオン) | 875mAh |
動作可能時間 | 145分(1080p/30fpsでの動画撮影時) | 140分(1080p/30fpsでの動画撮影時) |
充電時間 | 90分(5V/2Aで充電時) | 73分(10W充電器使用時) |
入出力ポート | microSDカードスロット USB Type-Cポート |
microSDカードスロット USB Type-Cポート |
操作可能範囲 | パン:-230°~+50° チルト:-95°~+50° ロール:±45° |
パン:-230°~+50° チルト:-95°~+50° ロール:± 45° |
センサー | 1/2.3インチ 有効画素数1200万画素 CMOSセンサー | 1/2.3インチ CMOS 有効画素数:12M |
レンズ | 焦点距離14mm(35mm判換算) | 焦点距離26mm(35mm判換算) |
F値 | F2.2 | 1F2.0 |
画角 | 120° | 80° |
ISO感度 | 静止画:100~3200 動画:100~3200 |
静止画:100~3200 動画:100~3200 |
電子シャッター速度 | 4000×3000pixel | 4000×3000pixel |
静止画撮影モード | 写真 パノラマ タイムラプス 露出ブラケット フォトバースト(連写) |
シングルショット パノラマ タイムラプス モーションラプス ハイパーラプス |
動画撮影解像度 | 4K(3840×2160):60/50/48/30/25/24fps
4K(3840×2880):30/25/24fps 3.2K(3200×2400):30/25/24fps 2.7K(2704×1520):60/50/48/30/25/24fps 2.7K(2704×2016): 1080p(1920×1080):200/120/100/60/50/48/30/24fps 720p(1280×720):240/200/120/100fps |
4K Ultra HD:3840×2160 24/25/30/48/50/60p
FHD:1920×1080 24/25/30/48/50/60/120p |
動画撮影モード | 通常撮影 スローモーション タイムラプス |
オート スローモーション |
最大ビデオビットレート | 100Mbps | 100Mbps |
写真フォーマット | JPG/JPG+DNG | JPG/JPG+DNG |
対応SDカード | microSD(最大256GB/ビデオクラスV30以上推奨) | microSD(最大256GB) |
音声フォーマット | 48kHz、AACステレオ | 48kHz、AAC |
非常によく似たカメラですが、スペックから見てもMOIN CameraがOsmo Pocketをターゲットとして作られているのがよく分かります。
※なお、Osmo Pocketは現在、「DJI Pocket 2」という名前の後継機に変わっており、センサーサイズの変更や静止画の画素数アップなどの機能が強化されています。
実際にMOIN Cameraを使ってみると、今まで使用していたOsmo Pocketで少し使いにくかった部分が、MOIN Cameraでは改善できていると感じました。違いを感じる大きなポイントは2つ!
一つ目のポイントは、大きな液晶タッチスクリーンの搭載。このポケットサイズの本体にもかかわらず、2.45インチタッチスクリーン(90°チルト機構付き)が付いたことは、操作性のアップだけにとどまらず撮影範囲の確認においても非常に見やすく、実際に使ってみて凄く魅力的な機能ということを実感しました。Osmo Pocketでは、スマホをつなげて撮影する場合には問題ありませんが、本体だけでの撮影の場合、本体の小さな液晶モニターではメニュー操作の切り替えや画像の確認などの際、少々辛いものがありました。一方でMOIN Cameraはモニターが大きいため、スマホやパソコンがなくても画像確認をしっかりできるようになり、さらに小さなサイズに収まっているのでとても便利です。
二つ目のポイントは、レンズの画角。MOIN Cameraのレンズは、焦点距離14mm(35mm判換算)という超広角です。この超広角レンズにより、自撮りの際も画角に余裕を持って撮影することができます。実際自撮りで使ってみて、Osmo Pocketではかなりアップ目になっていたものが、MOIN Cameraでは余裕のある画角で撮れていてビックリしました。Osmo Pocketで自撮りする際には、よくワイドコンバージョンレンズを着けて撮影していたので、MOIN Cameraの焦点距離14mmの超広角レンズはすぐに撮影できるというメリットを凄く感じました。
MOIN Cameraでの動画撮影
動画撮影が気楽に、そして簡単に撮れるのがこのMOIN Cameraの最大の特徴です。本体にあるのは電源ボタンと録画ボタンの2つのボタンのみ。この2つだけですぐに撮影を開始できます。
細かな設定はタッチスクリーンをスライドさせて設定メニューを表示し、タッチで変更等をおこないます。事前に撮影したい解像度やフレームレートだけ設定しておけば難しいことはありません。
MOIN Cameraを右手で持ちながら、1080p(1920×1080):60fpsで歩きながら撮影してみました。若干上下のブレが感じられますが、小型ジンバルカメラとしては問題ないレベルかと思います。
次は同じ設定(1080p(1920×1080):60fps)のまま、カメラを自分の方に向け自撮りモードにして右手で持ちながら歩いてみました。超広角で画角に余裕があるため、こういった背景を大きく取り込みながらの自撮り撮影にはとても有効的なカメラと言えるでしょう。
次は4Kで撮影してみました。当たり前ですが、フルHD(1920×1080pixel)で撮影したものよりも高画質です。解像度はご自身の用途や編集環境によって、設定画面で切り替えが簡単にできるので、撮影する前に解像度をよく確認して撮影しましょう。
内蔵マイクに関しては通常であれば問題ありませんが、コロナ禍のご時世でマスクをした状態では、音声は少し録りづらい状態なります。また、風の音も多く拾うので風の強い場所での撮影の際には少し工夫が必要になるかもしれません。
最後にタイムラプス動画も撮影してみました。タイムラプス動画を撮影するにあたって困ったことは、本体に三脚穴等が無いこと。長時間撮影をするタイムラプス動画撮影には機材を固定するものが必須です。そこで、今回は手すりにマジックベルトを使用して本体を固定しながら撮影をしました。三脚などに固定できるアクセサリーなどはまだ未発売ですが、発売したらそちらを活用するのも良いでしょう。
設定はインターバル3秒撮影にし、約2時間10分撮影をしたものになります。なぜ約2時間10分かと言うと、このあたりでちょうどバッテリ―切れになったためです。目安としてタイムラプス動画撮影はフル充電で、おおよそ2時間ほど可能という印象です。
※撮影間隔や気温などの環境で変わりますので、おおよその目安としてください。
MOIN Cameraでの静止画撮影
本来は動画撮影をメインに扱うカメラだと思いますが、静止画撮影がどの程度なのか非常に興味があるので撮影してみました。下の写真はオートでカメラ任せにしてJPGで撮影したものです。
16:9と4:3のパターンで撮影してみましたが、16:9で撮影した場合、センサーの上下の画素を使用していないため、トータル画素数は4:3で撮影したものよりも落ちてしまっています。しかし、2枚目の画像を見ても分かるように、自撮りするにはとても便利な超広角なので、余裕をもって自撮り撮影ができ、背景もしっかりと写し込むことができていてとても有効的な画角になっています。
まとめ
MOIN Cameraを2週間ほど使用してみて、ジンバル付き小型カメラとして気軽に使える便利なツールと感じました。特に小さなボディにしっかりとしたタッチスクリーンが付いていて、撮影をするにあたり撮影範囲を確実に見ることができるということは、後での動画編集作業の軽減にも繋がるので、とても重要なポイントだと思います。
レンズにはズーム機能こそありませんが、昔流行った縦型タイプの8mmビデオカメラの様な感じで撮影することができ、かつジンバル機能によってブレの少ない映像を撮影でき、日常や旅行などを簡単に記録できるカメラです。日頃からカバンやポケットに入れて持ち運びたいアイテムの一つですね。
■写真家:坂井田富三
写真小売業会で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。 撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ、ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。