初めてのオールドレンズにおすすめ!ツアイスレンズ コンタックス「プラナー T* G 45/2」・「ビオゴン T* G 28/2.8」
はじめに
前回の「マウントアダプターを使ってオールドレンズを楽しんでみませんか?」で紹介した、コンタックスGマウントの「プラナー T* G 45/2」と「ビオゴン T* G 28/2.8」の2本で撮影を楽しんできました。
このGマウントのレンズは、オールドレンズと言っても製造後20年程度の比較的新しいレンズで、中古のお値段もカール・ツァイスのレンズの中では比較的お手頃の値段で購入ができる、はじめてオールドレンズを使う方にもおすすめできるレンズです。ちなみに「 T*」の読み方は「 ティースター」で、特殊なコーティングがされていることを表します。
そんな、ちょっとだけレトロ気分を味わえるコンタックスのGマウントレンズの魅力をお伝えしたいと思います。
コンタックス「プラナー T* G 45/2」と「ビオゴン T* G 28/2.8」の魅力
コンタックス「プラナー T* G 45/2」と「ビオゴン T* G 28/2.8」は、1994年~2005年までに販売されたコンタックスブランドのレンズ交換ができるフイルムカメラ用に発売されていたレンズです。当時筆者もコンタックスのG1を所有していた、愛着のあるカメラとレンズです。
この発売されていた期間で、Gマウントのレンズは全部で7本発売されており、全てカール・ツァイスブランド・T*コーティング仕様になっています。
Gマウントレンズ一覧
レンズ名 |
焦点距離 |
構成 |
画角 |
最大絞り |
最短距離 |
ホロゴンT*16mmF8 |
16mm |
3群5枚 |
106° |
F8固定 |
0.3m |
ビオゴンT*21mmF2.8 |
21mm |
7群9枚 |
90° |
F22 |
0.5m |
ビオゴンT*28mmF2.8 |
28mm |
5群7枚 |
75° |
F22 |
0.5m |
プラナーT*35mmF2 |
35mm |
5群7枚 |
63° |
F16 |
0.5m |
プラナーT*45mmF2 |
45mm |
4群6枚 |
50° |
F16 |
0.5m |
ゾナーT*90mmF2.8 |
90mm |
4群5枚 |
27° |
F22 |
1.0m |
バリオゾナーT*35-70mmF3.5-5.6 |
35-70mm |
8群13枚 |
62°-35° |
F22 |
1.0m |
ホロゴン T*16mmF8以外は、日本製のレンズになります。今回はこの中から「ビオゴン T* G 28/2.8」と「プラナー T* G 45/2」をピックアップし紹介します。
今回なぜこの2本をピックアップしたかというと、昔筆者が使っていた愛着あるレンズというのもありますが、使いやすい画角と魅力ある性格のレンズ、そしてなによりもツアイスレンズなのに比較的購入しやすい価格帯で入手が可能なレンズなので、初めてオールドレンズを使って撮影したいというユーザーにもおすすめしやすいレンズだからです。
「ビオゴン T* G 28/2.8」は、ちょっとした風景も含めて撮れる万能なスナップレンズとして使え、単焦点レンズならではの絞り開放で大きなボケも表現できます。ただし、絞らないと中心部以外の周辺がかなり甘い感じになるので、シャープな画像を撮りたい時はしっかりと絞って撮った方がよくなります。
しかし、現在のレンズではなかなか表現できない、オールドレンズ感を出した画像を撮影するのは、こういったところを強調して撮影すると、雰囲気が出てとても面白いので、できればあまり絞りを絞らずに撮った方が、「ビオゴン T* G 28/2.8」の魅力を楽しめるのではないでしょうか。
「プラナー T* G 45/2」はシャープな画像を映し出し、周辺部までしっかりと解像するので「ビオゴン T* G 28/2.8」よりも扱いやすいレンズです。45mmの画角は街角スナップで気になったものを切り取って撮影するのにもってこいの画角のレンズです。絞りを開放で背景を大きくぼかして撮影するのもよし、絞ってシャープな画像を撮影するのもよしのレンズです。
コンタックス「ビオゴン T* G 28/2.8」で小江戸佐原を散策スナップ
コンタックス「ビオゴン T* G 28/2.8」を使って撮影するのに、より雰囲気を出すために小江戸と呼ばれる千葉県の佐原市の重要伝統的建造物群保存地区を散策しながら撮影をしてみました。
この佐原は「あやめ」でも有名な撮影スポットで、5月~6月にはハナショウブを撮影に、また夏と秋におこなわれる「佐原の大祭」(※令和3年は中止)では多くの方が訪れる魅力ある撮影スポットです。
オールドレンズを使って撮影する場合のカメラの設定やピント合わせなどのコツは、前回の記事をご参照下さい。
【参照】
「マウントアダプターを使ってオールドレンズを楽しんでみませんか?」
奥の建物の中心部にピントを合わせて、絞りを開けて撮影した場合、前景はもちろんピントを合わせた建物の四隅もかなり描写が甘くなります。オールドレンズの特徴に慣れるまでは、同じシチュエーションでも絞りをいろいろと変えて撮影するのがおすすめです。
撮影してみるとコントラストも高く、絞れば周辺の滲みも少なくなりシャープな印象を受けるレンズです。このレンズの特徴を出して撮影するのであれば、思い切って絞りを開ける、思い切って絞るの両方パターンで撮影するとより楽しめます。
散策しながら気になった丸い郵便ポスト。よく見てみるとこんなところにアマガエルがかくれんぼしていました。このレンズで一番寄れる最短撮影距離で撮影してみました。郵便ポストの赤、アマガエルの緑が鮮やかに発色をして、さすがツアイスレンズといったところ。
次にオールドレンズならではの、あえてフレアとゴーストを出すように撮影もしてみました。普段の撮影ではフレアやゴーストの発生は嫌うことがほとんどですが、オールドレンズで楽しんで撮影するのであれば、積極的にこういったシーンを撮影するのもありです。
コンタックス「プラナー T* G 45/2」で浅草を散策スナップ
「プラナー T* G 45/2」は別日に、浅草散策撮影に持って出かけました。ミラーレス機に小さなレンズの組み合わせは、気軽なお散歩撮影には最適な組み合わせといえます。
コンタックス「プラナー T* G 45/2」は、「ビオゴン T* G 28/2.8」よりも癖は少なく、テイストはより現代のレンズに近いものを感じます。周辺までの解像感も高く、シャープさ解像感を含めて非常に高く、オールドレンズといえどもプラナーT* レンズの高スペックさを実感させられました。
それゆえ、使いやすさ・品質・価格を考慮しても初めてのオールドレンズを買う人にはおススメの1本だと思います。
45mm標準レンズの画角なので、絞った時は周辺部まで非常にシャープ。コントラストのメリハリもありシャドー部の諧調も申し分なく、安心して撮影できるオールドレンズです。
絞りを開放にして撮った場合、周辺部に関しては徐々に甘くなっていくものの、ピントの合った中心部は非常に切れのあるシャープな像を表現してくれます。そして、背景で現れるボケは非常にやさしく味わいのあるボケを演出してくれます。
まとめ
今回ピックアップした、コンタックスGマウントの「プラナー T* G 45/2」と「ビオゴン T* G 28/2.8」の2本のレンズは、オールドレンズと言っても比較的新しい分類のレンズなので、中古での程度の良いものも多く入手しやすいツアイスレンズなので、これから始めるオールドレンズ初級者でも安心して扱える魅力あるレンズです。
レンズ本体も小さく軽量な為、ミラーレス機のボディには非常にマッチし、街角スナップに持ち出すには最適の組み合わせです。オールドレンズを持ってのんびりと被写体を探しながら街並みを散策しながら、写真ライフを過ごすのは楽しいですよ。
■写真家:坂井田富三
写真小売業会で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。 撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ、ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。
オールドレンズ関連記事はこちら
■マウントアダプターを使ってオールドレンズを楽しんでみませんか?
https://www.kitamura.jp/shasha/article/483200571-20210904/