【オールドレンズ】2本目のタクマーに!小さくお手頃な中望遠レンズ「アサヒペンタックス SMC Takumar 105mm F2.8」
はじめに
今回のオールドレンズは、アサヒペンタックス「SMC Takumar 105mm F2.8」です。SMCは略称で正確には「Super-Multi-Coated」を意味していますが、長いので一般的にSMCと呼ばれています。
「SMC Takumar 105mm F2.8」は1971年に発売が開始されたレンズですが、「Takumar 105mm F2.8」(1958年発売)、「Auto Takumar 105mm F2.8」(1959年発売)、「Super Takumar 105mm F2.8」(1963年発売)の流れからのレンズで、「SMC Takumar」はM42マウント最後のシリーズのタクマーになります。
今回は、アサヒペンタックス「SMC Takumar 105mm F2.8」の魅力とその写りをご紹介します。
アサヒペンタックス SMC Takumar 105mm F2.8の魅力
アサヒペンタックス「SMC Takumar 105mm F2.8」の魅力は、焦点距離105mmというやや中途半端感のあるレンズのせいか、中古市場価格がとてもお手頃な価格なのがポイントです。
オールドレンズでは100mm以上の望遠系のレンズはそれほど人気が無く、価格も高騰しているものもほとんど無く、同じシリーズのレンズの標準レンズや広角レンズなどよりもお手頃価格になっているものが多くなっています。ちなみに筆者が持っている「SMC Takumar 105mm F2.8」は5000円弱で購入したものになります。
アサヒペンタックス「SMC Takumar 105mm F2.8」の基本的なスペックは、
焦点距離:105mm
最短撮影距離:1.2m
絞り開放:F2.8
レンズ構成:4群5枚
絞り羽根枚数:6枚
フィルター径:49mm
マウント:M42マウント
価格以外にはサイズ感も魅力あるポイントです。フィルター径が「Super Takumar 55mm F1.8」と同じ49mmという点からも「SMC Takumar 105mm F2.8」の小ささが分かると思います。
「SMC Takumar 105mm F2.8」は、きれいな玉ボケを描写する事で人気のあるレンズでもあります。
この「SMC Takumar 105mm F2.8」は、以前にレビューした「Super Takumar 55mm F1.8」後期型とは違い、「酸化トリウム」が使われたアトムレンズとは違っています。下の写真は、「SMC Takumar 105mm F2.8」とアトムレンズの「Super Takumar 55mm F1.8」後期型を並べて撮影したものです。右の「Super Takumar 55mm F1.8」後期型は、アトムレンズの特徴である経年劣化による黄色の変色が少し発生しています。
今回「SMC Takumar 105mm F2.8」を使用して撮影するにあたって、カメラはソニーα7R IIIに、焦点工房の「K&F Concept KF-42E.P」(M42マウントレンズ → ソニーEマウント変換)マウントアダプターを使っています。このアダプターは実売価格で4,000円を切る、お手頃な価格で入手できるマウントアダプターです。
※オールドレンズを使って撮影する場合のカメラの設定やピント合わせなどのコツは、こちらの記事をご参照下さい。
「マウントアダプターを使ってオールドレンズを楽しんでみませんか?」
https://www.kitamura.jp/shasha/article/483200571/
アサヒペンタックス SMC Takumar 105mm F2.8で都内をスナップ
「SMC Takumar 105mm F2.8」を持って都内を街中スナップしてきました。焦点距離が105mmの中望遠レンズなので、最初はなかなか苦戦しました。半日ほどブラブラしながら撮り歩いていると105mmの画角の感覚にも慣れてきて、撮影もスムーズに進行しました。ただ、標準レンズと違って被写界深度が浅いので、絞りを開けてピントを合わすのに少し苦戦します。実用的には、少し絞った方が撮影はスムーズにいくような感じですね。
花手水の写真ですが、ほぼ最短撮影距離で撮影したものです。「SMC Takumar 105mm F2.8」は最短撮影距離が1.2mと、今どきのレンズと比べると正直寄れないレンズです。撮影中もう少し寄れて撮れたらと思うシーンは結構ありました。
下の写真は絞りを開放で撮影しています。中心部の解像感はしっかりしていますが、周辺に向けて落ちていきます。ピントを合わせるポイントが中心部付近であれば問題ありませんが、ピントを合わせるポイントが周辺部の場合は少し注意が必要かもしれません。
中望遠レンズの特徴である前ボケを多く取り入れ、奥行き感を演出してみました。光があたっている部分と影の部分の描写のコントラストがより印象的に作品を仕上げてくれます。
逆光のシーンでは、オールドレンズらしい柔らかな描写をします。明度差が大きいシーンでは少し収差がでています。
太陽の光が届かない曇りのシーンにおいては、順光時の用な濃厚さは無いものの発色は良く、ニュートラルな描写をします。
絞りを絞ればオールドレンズらしさは消え、周辺部までまずまずの描写をします。
「SMC Takumar 105mm F2.8」は絞り羽根枚数が6枚なので、少し絞った状態でのボケの形は6角形になります。
アサヒペンタックス SMC Takumar 105mm F2.8で白黒撮影
カラーで撮影していて、思っていたよりもコントラストがはっきりしていたので、白黒での撮影も良い感じになるのではないかと感じ、白黒モードで撮影をしてみました。
お天気の良い日で、光の明暗のメリハリがきいたシーンでは、それほど絞りを絞らなくてもカリッとした仕上がりになります。
絞りを絞れば前景から背景までシャープに解像しますが、特に光のあたっている部分はコントラストも高くなり、一層シャープ感が増します。
強い光があるシーンでも、絞りを開ける事によって光の柔らかさが表現できるのもこのレンズの魅力です。
少し遠くの被写体で印象的な風景を見つけたのですが、少し焦点距離が足りなかったのでAPS-Cクロップ撮影で157mm相当にして撮影をしてみました。使用しているカメラがソニーα7R IIIなので、APS-Cモードで撮影すると1800万画素相当での撮影になります。高画素機を使うことによってAPS-Cモードでの撮影も十分な画素を残して撮影することが可能です。
まとめ
以前の記事で初めてのオールドレンズに「Super Takumar 55mm F1.8」をおすすめしましたが、タクマーシリーズの2本目に中望遠の「SMC Takumar 105mm F2.8」をプラスするのはどうでしょうか?スナップ撮影では少し焦点距離が長いのかもしれませんが、いろいろな気になる被写体を大胆に切り取って撮影するのには、それほど使いにくい焦点距離ではありません。人物を撮るのも良し、ペットを撮るのにもいい距離感で撮影できると思います。
「SMC Takumar 105mm F2.8」は、絞りの開け閉めと光の入れ方の工夫次第で、様々な描写をしてくれる楽しいレンズです。「Super Takumar 55mm F1.8」を持って撮影に出かける時の、2本目のお供に最適なレンズではないでしょうか。
■写真家:坂井田富三
写真小売業会で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。 撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ、ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。
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