#『試してみたいフィルムの種類』|フィルムカメラの魅力 国分真央
モデル:真実(@mayonakasayonara)
はじめに
こんにちは。国分真央です。
前回の記事では、沢山の反響をいただきとても嬉しく存じます!
フィルムは思ったより難しくない…というところから、今回は何のフィルムが良いのか?といった話をしたいと思います。
昨今、フィルムカメラやフィルム自体の価格は上がり高価なものになってきています。しかしその一方ブームになっており魅力を感じて購入される方も増えてきているのを感じています。そんなブームの中、フィルムカメラを買った後にフィルムの種類に悩まれている方も多いと巷で聞きました。
今回は私のおすすめフィルムを作例と共に、幅広く振りかえってみたいと思います。
個性は捨てられない
まず私は「扱いやすい」・「でも個性は出したい」という点で(欲張りですね。)20代の頃はよくLomography Color Negative 400を使用していました。ISO(数値が高いほど明るく撮れる)400は、フィルムではスタンダードな明るさである事とLomographyの彩度が、私の撮る写真に相性が良かった為です。
また暗部の青色がすごく好きだったので、夜でもフラッシュをたいてストリートスナップを撮る時も重宝したフィルムです。1箱に3本入っています。
正統派ではないものに惹かれていく
普段からフィルムの出す暗い青色が好きで、そろそろ写真に差を付けたいな…と思っていた頃に出会ったのがCinestill 800T というフィルムでした。
映画の様なワンシーンを切り取れる、タングステンフィルムと言われるものです。C-41現像のため他のカラーフィルムと同様に、お店で現像をお願い出来るのも嬉しい点。
ただ値段も高価な為、撮影枚数も2倍になるOLYMPUSのハーフカメラでよく使用していました。
※プリントする際は色補正無しをおすすめします。
このフィルムは夜や暗い場所での撮影がおすすめで、雰囲気もたっぷりです。逆に明るい場所で撮影すると下のような作例となりました。
明るいとまた雰囲気が変わりますよね。太陽光の部分がほんのり赤みを帯びるのもお気に入りの1つ。ここぞという撮影におすすめしたいフィルムです。
さらに遊びを目指した結果
そもそも私は、撮る時に「良い写真を撮るぞ!」と肩肘張らないスタイルなので、フィルムは自由に撮る、をモットーにしています。なので、更にフィルムでの遊びを極めていくため、『期限切れフィルム』というものにも挑戦しました。ネットオークションであえて期限切れフィルムを購入して、撮影したものです。5~10年以上は期限が切れていたフィルムだったと記憶しています。
メーカーやフィルムの保管状態次第で、色味も変わってきます。センチュリアのフィルムに関しては、退廃的な印象で個人的にとても好きでした。綺麗に撮りたい!という方にはオススメしませんが、もし唯一無二感や面白さを求めたい時は、一つの選択肢とも言えるでしょう。また比較的期限切れはネットオークションなどで安価に売られている事が多いので是非チェックしてみてください。
個人的にはこれから実験もかねて、今あるフィルムを何本かすごく寝かせてみたいと思っています。他におすすめの実験方法があれば、是非教えて下さい。DMお待ちしております。(笑)
この時のKodak Super Gold 400で撮影したものは緑みがかっていて、こちらもお気に入りの一つです。譲っていただいた方いわく、冷暗所で保管していたのだそう。注意として、期限切れフィルムを使うと暗めに映る事が多いので、露出を明るめに設定して撮ると良いと思います。
フィルムで体感するモノクロームの世界
実はカメラを始めたての頃、モノクロばかり撮っていたほどモノクロ写真が好きでした。そのため、フィルムでモノクロを今もよく使っています。
作例にあるLomography 100/36 Earl Grey B&Wは、薄いグレーの様な風合いが好きでよく使っていました。こちらも1パック3本入りのものです。個人的にはベタッとしたモノクロより、グレーが多く柔らかなモノクロが好きです。
特にお気に入りの使い方は、ハーフカメラに使用する事。より昔の映画の様な雰囲気が感じられ、今でもお気に入りの使い方です。この時の撮影は Lady Grey B&W 400 を使用しています。
最近は、カラー現像が可能なモノクロフィルムのILFORD XP2 super 400 をよく使っています。先ほどお話したC-41現像は、カラーフィルム現像の処理に対応しているため、幅広いお店で対応してくれるフィルムとなっています。それ以外のモノクロフィルムはモノクロ専用の現像処理が必要になる為、外注での現像になる事が多いのです。その分、時間もコストもかかります。
私は仕事柄、カラーフィルムも一緒にまとめて現像を出す事が多いので、早く写真が見たい時はこちらを使います。モノクロの陰影も気に入っているので、少し前にまとめ買いしました!
一周回って今は優しい色も好きに
ここまで散々クセのあるフィルムや、作例をお見せしてきたのですが…(笑)
今は、優しい映りのフィルムも常用する様になりました。家族写真や、日常のホッとしたいものを映す時、よく使っています。暖色が優しいのでこれからの季節はピッタリですね。ポートラ(PORTRA)は色も優しくこれからの時期に重宝すると思います。
愛犬を撮影した1枚。
粒状感を抑えた優しい雰囲気でありながら、くっきりとした描写が好きです。エクター(Ektar)も海や空を撮るのにぴったりなフィルムなので、夏におすすめだと思います。
まとめ
今回はフィルムの種類にフォーカスし、作例も前回の記事の2倍近く載せさせていただきました!
これから写真を撮るにあたり、もしこの記事がお悩みの方の後押しになれば幸いです。
またTwitterやinstagramでも、タグでフィルム名を検索すれば作例は沢山あります。
皆さんの世界観に合うフィルムに出会えます様に。
ではまた、次回をお楽しみに!
■写真家:国分真央
東京都出身/写真家。映像制作会社や写真事務所を経て独立。2020年に山梨県に移住し関東を中心に活動。美しい色合いと自然が溶け込む様な写真が特徴的であり、独特な色合いが特徴的な世界観を確立させている。書籍や広告写真、CDジャケット等活動は多岐に渡り、近年はフィルム写真での活動も幅広く活動中。
フィルムカメラの魅力を紹介する連載記事はコチラ
#『コンパクトフィルムカメラの世界』|フィルムカメラの魅力 国分真央
https://www.kitamura.jp/shasha/article/485456605/