光を味方につけて作品をレベルアップ!|カメラ用語を正しく理解しよう vol.6
はじめに
こんにちは! ShaSha編集部です。いつもご覧いただき、ありがとうございます。
ShaShaはご存じのとおりカメラやレンズなどの機材、また撮影方法などを写真愛好家の皆さまに紹介するサイトです。毎日更新される記事内では、少し難しい専門用語がたくさん飛び交っていますね。もちろん内容をすぐに理解できる写真上級者の方も多いかと思いますが「それってなんのこと?」と、?マークが出ている読者の方もいらっしゃると思います。
このシリーズではそんな初心者の方に、つまずきがちな写真用語をわかりやすく解説していきたいと思います。「なんとなくはわかってはいるけど……」という方も、用語をきちんと理解できると写真生活がますます楽しいものになるはずです。
もちろん中・上級者の方も、おさらいに是非読んでみてくださいね。
光は変化している
さて、カメラ用語シリーズでは基本的なカメラの操作方法を紹介してきましたが、今回は作品のイメージを大きく変える「光」について解説していきます。
ある日のこと。きれいな花が咲いていたので携帯でパチリと撮りました。見返してみると、ちょっと角度が悪かったのでまた撮ってみることにしました。しかし次の日に撮ってみたら、なんだか昨日と感じが違う。同じように花は咲いているのに、なぜでしょう? 原因は様々あるかもしれませんが、ひとつに太陽の光が変化したことが挙げられます。初日は美しいツヤを見せていた花ですが、次の日に見たときは光の状態が変わったのでしょう。
人間の目というのはすごく精密にできていて、明るい場所や暗い場所でも難なく見えるように、自動で明るさを調整するようになっています。カメラにもそのような機能がありますが、人間に比べたらまだまだ未熟で、人間の目ほどに自動調整できません。日中何気なく見ている太陽の光ですが、私たちが感じているより実はすごく変化していて、カメラはその光をそのままキャッチしているのです。
光の向き
光の状態は様々ありますが、まずは向きについて説明します。
光の向きにはおおまかに「順光」「逆光」「サイド光」「トップ光」があり、細かく分けると「半順光」「半逆光」などがあります。また「斜光」は風景写真でよく使われる表現で、斜め上から光が差した状態のことを言います。
順光
順光は被写体が(ほぼ)正面から光を受けている状態です。カメラを向けているのと同じ方向から光がさしています。被写体に直接光が当たりますので、形や色などがはっきりと出ます。
逆光
逆光は被写体が後ろから光を受けている状態です。光が写り込んで全体がふんわりとした雰囲気になりますが、肝心の被写体が暗く写ってしまうことがあります。そんなときには露出補正が必要になります。
サイド光
サイド光は被写体が横から光を受けている状態です。横から当たることで、光が当たっている所は明るく、当たっていない所は暗く写るため被写体の立体感を表現することができます。影を活かしたい撮影にもおすすめです。
トップ光
トップ光は被写体が上から光を受けている状態です。太陽が真上にある時や、室内での撮影はトップ光であることが多いでしょう。影があまり出ないので、物撮りなどをするときにおすすめです。自分が影になってしまう場合には光を遮っている状態なので、撮影の位置をずらしてみましょう。
光の強さ
次に光の強さも写真に大きく影響します。天気や照明の違いで写真のイメージが変わりますので、例を見てみましょう。
【強い光】
まずはよく晴れた日に撮影した植物です。
光と影の境目が強く、全体的にはっきりとした印象の写真になりました。このように晴天時や強い照明が差すシチュエーションではコントラストや彩度が高くなり、パキッとしたイメージの写真になります。青空など、明るく色をはっきり出したい撮影の時に向いています。
【弱い光】
次に曇った日に撮影した植物です。
光と影の境目の弱く、全体的に柔らかな印象の写真になりました。曇天時や弱い照明の光などは、コントラストや彩度が低くなり、ふんわりとしたイメージの写真になります。ポートレートでは優しいイメージにしたい時などに向いています。
光の色
また、光には様々な色があり、それを「色温度」と呼びます。
照明の電球には青っぽいものや赤っぽいものがありますよね。あれが色温度の違いです。色温度は「ケルビン」という単位で表します。ケルビンが高くなると青い光、低くなると赤い光になります。
【青っぽい光】6000~8000ケルビン位
曇り空、日影など
【白っぽい光】5000ケルビン位
正午の太陽光
【赤っぽい光】2000~4000ケルビン位
夕方の西日や白熱電球など
デジタルカメラではホワイトバランスで色温度を設定することができます。ホワイトバランスとは、様々な光源が持つ色味を打ち消す機能です。例えば光源が曇り空(6500K)は青味ががっていますので、ホワイトバランスの6500Kはそれを打ち消す為に赤味ががっており、また光源が白熱電球(3000K)は赤味ががっていますので、ホワイトバランスの3000Kはそれを打ち消す為に青味みががっています。
つまりホワイトバランスの色温度の数値は低くするほど青みが増し、高くするほど赤みが増します。ホワイトバランスオートに設定すれば、それらをカメラが自動で調整してくれます。
最近はやっているフィルムにも、かつてデーライト用とタングステン用がありました。デーライトは晴天の屋外で撮ることを前提としたフィルム、タングステンは電球の下で撮ることを前提とした色温度に設定してあります。現在はデーライト用のみの発売ですが、蛍光灯の下でデーライトフィルムを使うと緑っぽく写り、電球の下では赤っぽく写ります。試してみると面白いですよ。
幻想的な写真が撮りたいならマジックアワーがおすすめ
晴れた日のほんの少しの時間ですが、空の色が幻想的に変わっていく「マジックアワー」と呼ばれる時間帯があります。マジックアワーは日の出と日の入りの頃で、一日に2回あります。
太陽が地平線に近いほど空が赤く染まるその時間帯を「ゴールデンアワー」と呼びます。
一方、夜明け前や日没後に空が青っぽいグラデーションになる時間帯を「ブルーアワー」と呼びます。
40分ほどの時間の中でどんどん色が変わっていき、とても幻想的に写真を表現することができます。撮影しているとあっという間に過ぎてしまいますので、何度もチャレンジしてみてくださいね。
左が日没後から10分頃。真ん中が15分、右が20分頃。たった10分でこんなに変わります。
ポートレートで活用したい光の使い方
前述したとおり、光と影の差が出やすい晴天時よりも曇天時のほうが光と影の差が出にくく、優しいイメージの写真になります。一般的にポートレートでは優しいイメージになるやわらかな光のほうが好まれることが多いですが、ここではさらに光がやわらかくなる方法を紹介します。
逆光で撮る
逆光でポートレートを撮ると、被写体自体が暗く写ってしまうことがあるので露出補正する必要はありますが、顔の陰影はなくなるためやわらかさが出ます。さらに背景に光がまわるため、全体的に雰囲気のある写真を撮ることができます。逆光とサイド光の中間である半逆光で撮ると、被写体の色は出しつつ立体感のある表現ができますよ。
レフ板を使う
一方から当たる光が強く反対側に影が出てしまうとき、レフ板でその光を反射させることで暗くなっている部分に光を足すことができます。ポートレートで顔のアップを撮るときなどに使用することが多いです。瞳の中にレフ板が映り込むとキャッチライトにもなります。白、銀など色の種類もありますが、白が一番自然な反射をします。室内で証明写真などを撮るとき、ひざの上に白い紙を置くだけでも効果がありますよ。
カーテンを使用
室内で撮影するときに窓からの太陽光が強く、顔に影が出てしまうような場合には、レースなど薄い生地のカーテンを引くことで光がやわらかくなり影が出にくくなります。日中よりも朝や夕方などの光のほうが明るすぎず、やわらかい雰囲気が出せます。室内での撮影は可能であれば部屋の照明は消し、太陽光だけで撮影できるとベストです。
ストロボにはティッシュなどをかぶせる
夜間のポートレート撮影などで、光量が少ないためストロボをたくことがあります。しかし、直接顔にストロボの光が当たると影が強く出すぎたり、のっぺりしてしまうことがあります。そんな時にはストロボ部分にティッシュなど薄い紙をかぶせることで、光をやわらかくすることができます。
番外編・木漏れ日
太陽の光が木の枝や葉の間から差し込んでいる状態を木漏れ日と言います。ポートレートでは顔に影が出てしまうことを避けがちですが、木漏れ日の場合には雰囲気が出て作品感が増しますよ。ポイントは顔に影がかかりすぎないようにすることです。
さいごに
光を上手に利用すると、なんでもないような写真が一気に雰囲気のあるものになるのですね。昔から「光を制するものが写真を制す」なんて言われたりするぐらい、写真家にとって光は重要なものです。みなさんもぜひ光を読んで作品撮りしてみてくださいね。
いかがでしたか? 理解できた方も、そんなこと知っているよという方も、なにかしら参考にしていただけたら幸いです。
それでは今日も楽しく撮影に出かけましょう! カシャカシャ!