#『二眼レフ Rolleicord III のその後』|フィルムカメラの魅力 国分真央

国分真央
#『二眼レフ Rolleicord III のその後』|フィルムカメラの魅力 国分真央

はじめに

皆様こんにちは!国分です。
今回は、昨年購入した二眼レフ Rolleicord IIIを1年間使った所感や、撮り方について自分なりのコツや考えを記していこうと思います!
これから中判フィルムカメラを楽しみたい方や、二眼レフに興味のある方はチェックしてみてください。

※今回使用したフィルムはKodak GOLD 200 /Lomography Color Negative 400 のみになります。

1年ぶりの秋を撮影へ

この1年間、荷物が許す際やプライベートで二眼レフを楽しんできました。

以前撮影した秋を中心とした作例などは、是非こちらの記事をお読みください。

今回も秋のシーズンに撮った作例を載せています。
前回の記事は紅葉や秋の山々が多いのですが、銀木犀と金木犀を撮影してみました。

この撮影や現像後の写真を見た時に、薄々自分の中で言語化できていなかった感覚を認識して、反省点と改善点を見つけたので以下に続きます。

主題性を持たせるとより輝くカメラ

1枚目の写真が少しピンボケで申し訳ないのですが、1枚目と2枚目を見比べてみてください。
こういった情報量が多い植物の色や、それぞれ近しいものなど、私としては何だかつまらない写真になってしまいました。
これは銀木犀は葉と花の色合いが似ていることもあるのですが、メリハリのない写真だなと感じたのです。

ですが2枚目の写真は同じような葉がたくさん生えているような被写体でも、手などを入れることによって、写真としての特別感が増したような気がします。

もちろんこの気付きは、二眼レフではなくても他のカメラにも言えることなのですが、フィルムカメラだとより伝えたいことが明確になるので、はっきりと写真のクオリティを上げられることに気づきました。

前提としてピントが合っているということもあるのですが、同じような色合いや背景の情報量が多い場合は、主役や伝えたい被写体をより明確にするとより良いカメラだなと感じます。

たくさんの中に「魅せたい」を決めよう

先程の続きです。
このバラの写真も同じような花が沢山連なる中で、クリアに視線がいくような写りとなりました。
マイルールとしては花を撮影する際は「主役になりうるような子を見つける」気持ちで探し、見つけたらピントを合わせ撮影することが多いです。

中判フィルムは古い年代のものが多いですが、露出やシャッタースピードなどを前提とし、撮る時に少しでも主役へ配慮するような心持でいると、とても綺麗に写るカメラだと再確認しました。

次に、逆光で撮った写真になります。
夕暮れに照らされたコスモスなのですが、こちらも上から手をかざして主体性を持たせてみました。

今回は花+手が多かったですが、もちろんポートレートや物撮りなどでも良いと思いますし、背景の奥行きも出るので、とても真似しやすくおすすめです。

と言いつつ12枚しか撮れないので、なかなか上達や感覚を掴むのもデジタルやハーフカメラと比べて遅いと思いますが、ゆっくり対峙していきたいカメラだなと感じます。

室内でポートレートと物撮りを

前回の記事でも物撮りの作例は出していたのですが、今回も友人宅で撮影した物撮りを載せてみます!

このカメラのF値が3.5~なのですが、3.5でもピントがシビアな時があるので最近はF4以上は絞りを開けずに撮っています。
また光が十分にある場所ではF5.6くらいでもいいと思いました。
友人宅は光がとても入っていたので、この2枚は室内ですが手持ちで撮影してみました。

ある程度絞ると影の質感も確保されますし、立体的な写りが特徴である中判カメラとはとても相性がいいなと思います。

■Model :yuko

このポートレートは絶対に手ブレをさせたくなかったので、台に固定して静かにシャッターを切りました。
「ここぞ!」と思えるようなシーンに出くわした際は、三脚や台などがあるとより安心です。

私はデジタル、フィルム両方を日頃から撮るのですが、Rolleicord IIIはデジタルやフィルムの35mmの感覚とまったく違うなと感じています。デジタルは息をするように気軽に撮れるのですが、中判フィルムは深呼吸をしてから撮るテンポ感なので、ファインダーを開いてから撮るまでの動作さえも大切に思えるカメラだなと思います。

静と動を写す時の学び

冒頭に構図を含めた撮影のあり方や学びをお伝えしたと思うのですが、全体的に遠景の場合、全体を含めた主体性と、露出などの設定に気をつければ美しく仕上がるなと感じています。

こういったシチュエーションはなるべく絞って撮影したいですよね。

と言いつつも、まだ使い始めて1年経った程度なので私もまだまだ修行が足りないなーと思う反面、焦らずこのカメラとゆっくり語り合うように仲を深めていきたいなと思っています。

■Model :sorayuchi

また中判だとじっくり撮るイメージが強いのですが、なるべくスナップ感覚で撮る気持ちも忘れずにいます。
こういった露出が確保されている状況では、動物や子供などよく動くものに関してもチャレンジしていきたいなと思えました。
お友達のわんちゃんがすごくいい子で、露出や絞りなどが問題なかったので手持ちで撮った1枚です。

確かに中判フィルムは高騰していて12枚しか撮れないので「もったいない病」が発症してしまいそうですが、写真を撮る中で”撮りたいな”と思える感情を一番大切にしたいと思っているので、これからも静だけではなく動の被写体も恐れず挑戦していきたいなと思いました。
たとえ失敗したとしても、きっとそれは上達の近道かもしれません。

おわりに

今回は二眼レフ Rolleicord IIIを購入して1年ぶりの記事でした。
撮り方のコツを考えつつ、これからも意欲的に撮りたいと自分なりにも振り返られる内容になりました。
今年もまた作品を増やしていきたいです!それでは。

 

 

■写真家:国分真央
1990年 東京都生まれ。映像制作会社や写真事務所を経て独立。2020年に東京都から山梨県に移住する。書籍の表紙や広告写真、CDジャケットなど幅広いジャンルで活躍中。独特な色合いと自然が溶け込むような写真が特徴で、独自の世界観を作り上げる。近年はフィルム写真での撮影にも力を入れ、執筆活動も行っている。

 

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