【オールドコンデジ】カシオ HIGH SPEED EXILIM EX-FC100|毎秒30枚の超高速連写や最大1000fpsのハイスピードムービー撮影が可能

坂井田富三
【オールドコンデジ】カシオ HIGH SPEED EXILIM EX-FC100|毎秒30枚の超高速連写や最大1000fpsのハイスピードムービー撮影が可能

はじめに

今回は2009年に発売されたカシオ「HIGH SPEED EXILIM EX-FC100」をご紹介します。実家を整理していたところ発掘されたカメラの内の1点になります。

この「EX-FC100」は「一瞬を映し出す、超スローモーション」をキャッチコピーにした、高速連写やハイスピードムービー撮影が特徴的なコンパクトデジカメです。カシオのデジタルカメラは様々な機能やギミックを搭載したモデルもあって人気もありましたが、残念ながらカシオは2018年5月にデジカメ事業を撤退しています。

今回の「EX-FC100」はハイスピード撮影を売りにしたモデルですが、その実用度はどんなものなのかご紹介します。

カシオ「HIGH SPEED EXILIM EX-FC100」の基本スペック

カシオ「HIGH SPEED EXILIM EX-FC100」は、光学5倍ズームでありながら手のひらサイズに収まる小型でスリムなデザインが特徴的なコンパクトデジカメです。

発売された2009年頃は、コンパクトデジカメの多くが900万画素から1200万画素、ズームは3~5倍程度のものがラインナップしていました。今作も画素数では910万画素、ズームで光学式5倍ズームを備えており、当時の標準的なスペックを確保しながら「高速連写機能」を搭載して他のコンパクトデジカメとの差別化をアピールしていました。

HIGH SPEED EXILIM EX-FC100の仕様

HIGH SPEED EXILIM EX-FC100
発売日 2009年2月
センサーサイズ 1/2.3型
センサー CMOS
有効画素数 910万画素
レンズタイプ 光学式5倍ズームレンズ
F値(開放) F3.6(ワイド端時) -4.5(テレ端時)
焦点距離 f=6.42mm~32.1mm(35mm換算:37mm~185mm相当)
フォーカスモード コントラスト検出方式オートフォーカス
フォーカスエリア スポットAF/フリーAF/追尾AF
ISO感度 100/200/400/800/1600、Auto
絞り F3.6~F8.5
シャッタースピード オート:1~1/1000秒(高速連写:1/40000秒まで)
夜景(ベストショット):4~1/1000秒
撮影モード マルチパターン測光、中央重点測光、スポット測光
制御方式:プログラムAE
その他撮影録音機能 ブレ補正機能(CCDシフト方式)
パスト連写
スローモーションビュー
タイムラグ補正
ベストショット:21種類
ハイスピード手ブレ補正
ハイスピード夜景
いち押しショット
マルチモーション撮影
ムーブアウト連写・ムーブイン連写
パストムービー
YouTube撮影モード
顔検出機能
モニター 2.7型TFTカラー液晶、230,400ドット(960×240)
出力形式 静止画:JPEG(ExifVer2.2、DCF1.0準拠、DPOF対応)
動画:AVI形式、Motion JPEG準拠、IMA-ADPCM(モノラル)
記録メディア SDHCメモリーカード、SDメモリーカード
連続撮影 30枚/秒、15枚/秒、10枚/秒、5枚/秒、3枚/秒(最大画像サイズ2816×2112)
バッテリー 専用リチウムイオン充電池(NP-40)
質量(g)(本体のみ) 145g
ボディサイズ (幅×高さ×奥行) 99.8 x 58.5 x 22.6 mm
カメラ上部には特徴的なボタン「連続撮影切替ボタン」・「スローボタン」などがある
BS(BEST SHOT)モードで様々な撮影が可能
カメラ底面のSDカード部分とNP-40バッテリー

今回実際に使用するにあたって、10年以上使っていなかったため案の定バッテリーの劣化が進んでいました。とは言え起動して少し動かすことができたので、デジカメの動作確認もする事ができたのは助かりました。撮影するにあたっては予備バッテリーの確保が必要なので、互換バッテリーを探して購入しました。

「HIGH SPEED EXILIM EX-FC100」のバッテリーは、リチウムイオン充電池「NP-40」というタイプになり、現在でも比較的安価な価格で互換バッテリーを購入する事が可能です。

カシオ「HIGH SPEED EXILIM EX-FC100」の特徴

カシオ「HIGH SPEED EXILIM EX-FC100」は、ハイスピードムービー撮影が大きな特徴ですが静止画撮影においても個性的な機能を有しており、撮影を楽しむ事ができるコンパクトデジカメになっています。撮りたいシーンを選んで撮影する「ベストショット」モードがカメラに搭載されており、好みのシーンを選ぶだけで、いろいろな撮影に対応することができます。

特に筆者が気になったベストショットモードは、動いている被写体だけ撮影する(マルチモーション)です。「HIGH SPEED EXILIM EX-FC100」の連写性能を活用したモードで、連続撮影した複数の画像から動いている被写体のみ検出し、その被写体を背景と合成することで動きのある画像を撮影する事ができます。なかなか使いどころが難しいモードですが、非常に面白いモードです。

■使用機材:カシオ HIGH SPEED EXILIM EX-FC100
■撮影環境:シャッター速度1/1000 絞りF3.6 ISO125 焦点距離6mm(35mm換算37mm相当)
ベストショット(マルチモーション)で撮影
■使用機材:カシオ HIGH SPEED EXILIM EX-FC100
■撮影環境:シャッター速度1/1000 絞りF4.5 ISO400 焦点距離32mm(35mm換算185mm相当)
ベストショット(マルチモーション)で撮影

また全体の色調を変更できる「カラーフィルター」もあり、白黒・セピア・赤・緑・青・黄・ピンク・紫の設定が可能です。白黒やセピアなどは使いやすいモードで、特に筆者は白黒での撮影がお気に入り。このカメラは最終的に白黒モード専用機としてこの記事撮影後も愛用しています。

「カラーフィルター」の違い(白黒・セピア・赤・緑・青・黄・ピンク・紫の設定が可能)
■使用機材:カシオ HIGH SPEED EXILIM EX-FC100
■撮影環境:シャッター速度1/125 絞りF3.7 ISO100 焦点距離8mm(35mm換算43mm相当)
カラーフィルター(セピア)
パスト連写モードが特徴的な機能

カシオ「HIGH SPEED EXILIM EX-FC100」は高速連写が可能なコンパクトデジカメ。パスト連写モードがあり、このモードではシャッター半押し中は、常に静止画を一時的に記録し、シャッターを全押しする前からシャッターの全押し後にシャッターから指を離すまで、最大30枚までの連続撮影ができるモードです。30枚の画像はシャッター全押しの前後で振り分けて撮影ができるようになっています。決定的なシーンの撮影が2009年発売のコンパクトデジカメで可能になっていたのが、今更ながら驚きを感じます。

パスト連写モード記録方法

なかなかの多機能なモデルのコンパクトデジカメですが、実際に使用するモードは限られてくるでしょう。その中でこういった遊び心があるモードは、試してみると楽しくなりますね。

カシオ「HIGH SPEED EXILIM EX-FC100」でスナップ撮影

■使用機材:カシオ HIGH SPEED EXILIM EX-FC100
■撮影環境:シャッター速度1/1000 絞りF3.7 ISO160 焦点距離8mm(35mm換算43mm相当)

日常的に使う通常の写りはどのような感じになるか、街中スナップ撮影をしてみました。写りの印象は、非常にニュートラルな色味で派手さが無く、スマホ撮影画像とは大きく異なる感じです。特に空の青色などは、非常に落ち着いた表現で自然な感じに好感がもてます。特にスマホ撮影がメインのユーザーには新鮮な感じに受け取れるのではないでしょうか。

■使用機材:カシオ HIGH SPEED EXILIM EX-FC100
■撮影環境:シャッター速度1/500 絞りF9.5 ISO100 焦点距離10mm(35mm換算37mm相当)
■使用機材:カシオ HIGH SPEED EXILIM EX-FC100
■撮影環境:シャッター速度1/640 絞りF4.2 ISO100 焦点距離17mm(35mm換算97mm相当)
■使用機材:カシオ HIGH SPEED EXILIM EX-FC100
■撮影環境:シャッター速度1/640 絞りF4.2 ISO100 焦点距離17mm(35mm換算97mm相当)
■使用機材:カシオ HIGH SPEED EXILIM EX-FC100
■撮影環境:シャッター速度1/160 絞りF8.5 ISO100 焦点距離6mm(35mm換算37mm相当)
■使用機材:カシオ HIGH SPEED EXILIM EX-FC100
■撮影環境:シャッター速度1/80 絞りF3.6 ISO100 焦点距離6mm(35mm換算37mm相当)

順光や曇りなどの撮影は特に問題は無かったのですが、逆光時には少々弱い感じです。レンズフードのないコンパクトデジカメは全体的に逆光の影響を受けやすくなります。上の写真もゴーストが大きく発生しています。ニュートラルの発色とゴーストの組み合わせは、オールドレンズで撮影しているような感じになり、意図的に狙って撮影するのも良いかもしれません。

カシオ「HIGH SPEED EXILIM EX-FC100」で白黒スナップ撮影

個人的に気に入っているのがカラーフィルター(白黒)モードで撮影。このカメラはカラーフィルター(白黒)モードに変更しておいて電源をOFFにしても設定変更が維持されるので、自分の気に入った設定をデフォルト設定として一日スムーズに撮影を楽しむ事ができます。

通常モードで撮影した際にニュートラルな印象でしたので、白黒モードではデフォルトの設定に対して筆者の好みで、少しコントラストを上げた設定に変更して白黒撮影を楽しんでみました。

■使用機材:カシオ HIGH SPEED EXILIM EX-FC100
■撮影環境:シャッター速度1/1000 絞りF10.5 ISO100 焦点距離27mm(35mm換算157mm相当)
カラーフィルター(白黒)
■使用機材:カシオ HIGH SPEED EXILIM EX-FC100
■撮影環境:シャッター速度1/1000 絞りF10.8 ISO100 焦点距離32mm(35mm換算185mm相当)
カラーフィルター(白黒)
■使用機材:カシオ HIGH SPEED EXILIM EX-FC100
■撮影環境:シャッター速度1/200 絞りF9.5 ISO100 焦点距離10mm(35mm換算60mm相当)
カラーフィルター(白黒)
■使用機材:カシオ HIGH SPEED EXILIM EX-FC100
■撮影環境:シャッター速度1/400 絞りF3.6 ISO100 焦点距離6mm(35mm換算37mm相当)
カラーフィルター(白黒)
■使用機材:カシオ HIGH SPEED EXILIM EX-FC100
■撮影環境:シャッター速度1/160 絞りF4.5 ISO100 焦点距離32mm(35mm換算185mm相当) 
カラーフィルター(白黒)

カシオ「HIGH SPEED EXILIM EX-FC100」でハイスピード撮影

ハイスピード撮影は高速で撮影した静止画をスローモーションの動画として記す手法です。HIGH SPEED EXILIM EX-FC100で撮影できるフレームレートは下記のようになります。

撮影速度(フレームレート) 画像サイズ(pixels)
210fps 480×360
420fps 224×168
1000fps 224×64
210fps 480×360

通常の動画が30fpsのフレームレートなので、210fpsであれば7倍のスローモーションの動画を撮ることができます。1000fpsであれば33倍ほどのスローモーション動画になります。もちろん15年以上のコンパクトデジカメなので、撮影できる画像サイズは非常に小さいサイズになりますが、コンパクトな一般用デジカメでハイスピード撮影ができるのは、当時は驚きの機能でした。

カシオ HIGH SPEED EXILIM EX-FC100 480×360:210fpsで撮影
カシオ HIGH SPEED EXILIM EX-FC100 (224x168:420fpsで撮影)
カシオ HIGH SPEED EXILIM EX-FC100 (224x64:1000fpsで撮影)

1000fpsでの撮影も可能ですが、パノラマサイズ的な縦横比になります。実用的な面はかなり厳しいですが、いろいろなモノを撮影してみたくなるのは事実です。

しかし実際には210fpsで撮影するのがギリギリのところのように感じます。現在であればスマホでもフルHD(1920×1080)画質や4K画質でもスローモーション撮影が可能になっているものも多いですが、15年以上前のカメラと考えると非常にチャレンジングな機能であったのは間違いないでしょう。

まとめ

発売当時はハイスピード撮影を試してみたくて購入したものの、実際にはハイスピード撮影を撮る機会はそれほどなく、あまり使用した記憶も無く非常に程度の良い状態で残っていました。しかし15年以上経過した現在、スローモーション動画撮影以外の面白さを見つけ楽しんでいる自分がいました。

機能的にとがったものがあるデジカメは、年月が経過することで改めて新鮮に見えることもあります。今回のカメラは、そんなカメラを見つけたくなるきっかけになった1台でした。

 

 

■写真家:坂井田富三
写真小売業界で27年勤務したのち独立しフリーランスカメラマンとして活動中。撮影ジャンルは、スポーツ・モータースポーツ・ネイチャー・ペット・動物・風景写真を中心に撮影。第48回キヤノンフォトコンテスト スポーツ/モータースポーツ部門で大賞を受賞。

・公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員
・EIZO認定ColorEdgeアンバサダー
・ソニーαアカデミー講師

 

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