スナップ撮影時に頼もしい、ちいさな相棒 キヤノン EOS R10|金森玲奈
はじめに
キヤノン EOS Rシステム初のAPS-C機、EOS R10とEOS R7が発売されました。ミドルモデルに位置付けされるEOS R10ですが、上位機種にも引けを取らない操作性能とRシステム初搭載の機能が盛りだくさんです。そんな日常使いに最適なEOS R10の魅力をご紹介していきます。
どこにでも連れて行きたくなる軽量・コンパクトなカメラ
EOS R10を持った第一印象は「とにかく軽い」のひと言のみ。バッテリーやSDカードを入れた状態でも約429gというのは、普段EOS R6を使っている私には驚きの軽さでした。ボディサイズも横幅が約122.5mmとコンパクトなため、大仰なカメラバッグでなくても気軽に持ち歩けるので、おしゃれなカフェでサッと鞄から取り出して記念に一枚パチリ、といった感じで撮影のフットワークも軽くなります。
動く被写体の撮りたい一瞬を逃さない
EOS R10は上位機種の持つ高精度な被写体検出エンジン「デュアルピクセルCMOS AF II」を継承しており、人物・動物・乗り物といった身近な被写体への迅速で高精度なピント合わせと追従性を実現しています。特に瞳を検出する精度は非常に高く、予測が難しい動きでもしっかりと瞳を追い続けてくれました。
また、メカシャッター時で最高約15コマ/秒の高速連続撮影はEOS Rシリーズで最速となり、一瞬で変化する動く被写体のシャッターチャンスも逃さずモノにできます。
細部の描写や質感の豊かな再現性
新開発の最大約2420万画素、APS-CサイズのCMOSセンサーを搭載しており、被写体細部の繊細な描写を高画質で写し留めることができます。シャープな解像感だけでなく、ぼけ味のなめらかさや微妙な色彩のグラデーション、質感の再現性も心地が良いです。
暗いシーンでもノイズの少ない繊細な描写が魅力
上位機種に搭載されているボディ内手ブレ補正を持たないEOS R10においては、高感度の描写性能は重要です。フルサイズとAPS-Cセンサーの間で差が出やすいのが高感度撮影ですが、EOS R10は最新の映像エンジン「DIGIC X」を搭載しており、高感度撮影時もノイズの少ない画像が得られます。
表現の幅を広げてくれる多彩な撮影モード
EOS R10は現行のEOS Rシステムの中で唯一、様々な撮影シーンに適した設定を簡単に選べる「スペシャルシーン」と10種類の個性的なフィルター効果を楽しめる「クリエイティブフィルター」が搭載されています。速い速度の被写体の動感を表現したり、現実とはひと味違った世界観を作り上げたりと、いつもの風景にアクセントを加えることができます。
シンプルにも、こだわっても、スナップ撮影のちいさな相棒
豊富な撮影モードや上位機種にも匹敵するAF性能などを持つEOS R10ですが、いろいろな場面を撮る中でEOS R10と自分の撮影スタイルで一番合っていたと感じたシチュエーションは、日常生活や街中でふと訪れたシャッターチャンスを撮るスナップ撮影でした。軽量・コンパクトなボディは気負わず常に持ち歩ける手軽さが魅力で、それだけでも多くの「撮りたい瞬間」を記録する機会をくれました。
少しだけこだわって撮りたい時はシーンモードなどがアシストをしてくれ、条件の難しい撮影の時も進化した映像エンジンが満足のいく描写を約束してくれます。常に持ち歩きやすく、撮りたいイメージをしっかりと残せるEOS R10はスナップ撮影の頼もしい相棒になるでしょう。
いざという時の隠れたサポーター
EOS Rシステム初搭載の機能が盛りだくさんのEOS R10の中でも、一番大きな存在感を放つのは内蔵ストロボではないでしょうか。
キヤノンのラインナップの中ではエントリー機に搭載されている印象が強いかもしれませんが、暗い場所でとっさに動きを止めたい時などに手動でポップアップするだけで簡単にストロボ撮影ができるのは、撮影の幅が広がる意味でもミドルクラスのEOS R10に搭載されたことは素直に嬉しいですね。
スマホとの連携で撮った写真を誰かと共有する楽しみが広がる
スマートフォンやタブレットとEOS R10を連携させるアプリ「Camera Connect」を使えば撮ってすぐにスマホに転送ができ、SNSなどで多くの人と感動を共有することができます。Canon IDを持っていれば旅先などでSDカードの容量がいっぱいになってしまった時に、Wi-fi経由で容量やフォーマットの制限なくクラウド上に30日間画像を保管できる「image.canon」を活用するのもオススメです。
最後に
EOS R10は上位機種に匹敵する性能を備えながらも、APS-Cセンサーを選択したことでボディの軽量・コンパクト化を実現しつつ価格を抑えるなど、さまざまな撮影スタイルの人に訴求できる要素を兼ね備えています。初めてのミラーレス一眼に、フルサイズ機のサブ機としてなど、その人それぞれの付き合い方にしっかりと応えてくれるポテンシャルを持ったカメラだと思います。
■写真家:金森玲奈
1979年東京生まれ。東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。東京藝術大学美術学部附属写真センター勤務等を経て2011年からフリーランスとして活動を開始。日常の中で記憶からこぼれ落ちていく何気ない瞬間や、怪我と障害がきっかけで引き取った2匹の飼い猫との日々を撮り続けている。池尻大橋のアトリエで写真を手に取れる形で残すためのプリントレッスンや各種撮影会、モノクロ暗室ワークショップなどを企画運営している。