キヤノン EOS R10 レビュー|キットレンズRF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STMで風景撮影
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はじめに
こんにちは!今回はスタンダード機とは思えないほど本格的な撮影が楽しめる、キヤノンの「EOS R10」とキットレンズの「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」を中心にご紹介していきます。
「EOS R10」スペック・外観・操作性
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「EOS R10」は、有効画素数約2,420万画素。APS-Cサイズセンサー搭載のミラーレスカメラです。RFマウントの小型軽量機ということで、ボディサイズは幅122.5×高さ87.8×奥行83.4mmで、バッテリーとSDカードを含めても重さは約429g。本体だけでは約382gと軽いのが魅力です。ペットボトルより軽いので、手のひらに軽く乗る感覚で持ち運べるでしょう。
「EOS R10」のグリップは指先に引っかかるような安心感があり、ワンハンドでも持ち歩きやすいデザインです。本体の横の外部インターフェイスはマイク、リモコン、HDMIの出力端子のほかに、USB Type-Cの端子が備わっており、USB充電が可能です。旅先でコンセントが少ない時にパソコンから充電できるため、バッテリーチャージャーを忘れても大丈夫ですね。
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次に操作性を見ていきましょう。キヤノン機ではお馴染みのメイン電子ダイヤル、サブ電子ダイヤルは、ファインダーを覗きながらでも操作できるわかりやすい使用感です。「EOS R10」は筆者も個人的に購入したカメラですが、決め手の一つがマルチコントローラーの存在です。ボタン表面が指に適度にかかるので、AFポイントの移動など素早い撮影が可能です。
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撮影モードダイヤルは「P(プログラムオート)」「AV(絞り優先)」「TV(シャッタースピード優先)」「M(マニュアル)」「B(バルブ)」の定番撮影モードのほか、「FV(フレキシブルAE)」や全自動の「シーンインテリジェントオート」、15種類の被写体や撮影シーンをオート撮影できる「SCN(スペシャルシーン)」など、初心者から上級者までが幅広く撮影ができるモードが揃っています。
キットレンズ「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」
「EOS R10」のキットレンズの一つが「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」です。「EOS R10」はAPS-C機ですので、キヤノンの場合35mm判換算ではレンズの焦点距離の約1.6倍になります。換算すると「約29-72mm」となりますので、標準ズームレンズと考えるとわかりやすいでしょう。
全長約44.3mmで重さは約130g、フィルター径は49mmです。「EOS R10」に装着しても約559gという軽量セットが魅力です。エントリーモデル、ミドルクラスモデルのミラーレス機やSTMのレンズはどれも軽量で、レビューを書くと「軽い」を連発してしまいますが、本当に軽いのだから仕方ありません。
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カメラとレンズを片手に森を散策しました。標準域をカバーする「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」の広角端18mmと望遠端45mmで撮影した作例です。18mmは目で認識する自然な画角で被写体を捉え、45mmでは被写体の気になった造形をクロースアップしています。リーズナブルなレンズのお値段を考えると十分な解像感ですね。
「EOS R10」は上位機種のようなボディ内手ブレ補正機構は非搭載ですが、約4.0段分のレンズ内手ブレ補正機構(IS)を搭載した「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」と組み合わせれば、手ブレの心配はほぼありません。暗い箇所での撮影も安心ですね。
▼広角端18mm(35mm判換算で約29mm)で撮影
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■撮影環境:F4.5 1/40秒 ISO320
▼望遠端45mm(35mm判換算で約72mm)で撮影
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■撮影環境:F6.3 1/13秒 ISO320
最短撮影距離と最大撮影倍率
「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」で近接撮影をする場合は、最短撮影距離と撮影倍率は焦点距離とAF/MFによって異なります。おおよその数値を頭に入れておくと被写体への距離感が掴みやすくなりますね。個人的にはMFを使用して焦点距離45mmで撮る、クォーターマクロレンズのような使い方がいいなぁと感じました。
最短撮影距離・・・AF時:0.2m(18mm時)、MF時:0.15m(18mm時)
最大撮影倍率・・・AF時:0.16倍(45mm時)、MF時:0.26 倍(45mm時)
「EOS R10」のボディ前面に搭載された、AFとMFを切り替える「フォーカスモードスイッチ」を使うと素早く操作ができて便利です。「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」にはAF/MF切り替えスイッチがないため、カメラボディで切り替えをしましょう。
焦点距離45mmで撮影した作例です。結構被写体に近寄れますね。
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■撮影環境:F6.3 1/2000秒 ISO400
同じく焦点距離45mmでコケが密集する岩へレンズを向けました。開放F6.3が意外とボケてやわらかい印象のカットです。
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■撮影環境:F6.3 1/40秒 ISO800
高速AF・高画質
自然風景の撮影では、晴天ばかりでなく、曇天や雨天、日の出前や日没後の暗い時間帯でも撮影する機会が多いため、コントラストが低い、低輝度な撮影シーンでのAFの反応スピードが気になります。「EOS R10」は映像エンジン「DIGIC X」を搭載し、AFで狙ったシーンをストレスなく撮影ができる設計です。
また、高めのISO感度で暗い時間帯に撮影しても、ノイズがほとんどなく高画質で大判プリントを楽しめます。常用ISO感度は上限32000ですが、自然風景の撮影では必要十分すぎるほどのスペックです。
霧の森は低コントラスト光の状況でしたがAFが素早く反応。手持ち撮影で捉えた一枚です。焦点距離18mmで撮影した作例です。シャドウ部も綺麗ですね。
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■撮影環境:F4.5 1/640秒 ISO800
焦点距離45mmの開放F値、F6.3で撮影。カメラを空の方へ向けて、「EOS R10」のバリアングルモニターを使用。タッチシャッターで撮影した作例です。F6.3でも背景がボケてやわらかな印象になりました。
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■撮影環境:F6.3 1/1250秒 ISO800
レンズを「RF35mm F1.8 MACRO IS STM」に変えて前ボケを大きく撮影してみました。35mm判換算で焦点距離が56mmです。「EOS R10」とSTMの小型レンズシリーズは相性がいいですね。スナップ的な自然風景が撮りやすく、軽いから疲れません。
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■撮影環境:F1.8 1/4000秒 ISO400
星空撮影
「EOS R10」には、RFマウントのLレンズも装着可能です。空の光が多く見える効果がある「STAR SOFT」(NiSi Filter)というフィルターを使用し、都会近くの明るい空で撮影した作例です。
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■撮影環境:F1.8 1/4000秒 ISO400
手持ち動画クリップ
「EOS R10」の動画性能は、4KのUHD撮影、120Pのハイフレームレート撮影で自然風景の魅力を細部まで記録します。三脚を使って丁寧に撮るのもよし、日常のログとして手持ちで撮るのもよしということで、動きのある自然風景を少しずつ手持ちで撮ってみました。撮影者の体の動きも補正せずにレンズのISだけ使用しています。
まとめ
今回は「EOS R10」とキットレンズの「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」の基本性能を中心にお伝えしました。APS-Cのスタンダード機ということで、エントリーユーザーの方に人気の機種ですが、優しい操作性とは裏腹に本格的な撮影にも対応するスペックで、非常にコストパフォーマンスの良いカメラです。最初の一台としてオススメです。
「EOS R10」のキットレンズ「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」は既に望遠域のレンズを所有されている方が、広角から標準域を楽しみたい場合に2本目として買われるイメージかなと思います。この一本だけで自然風景となると望遠域が欲しくなると思うので、皆さんのレンズラインナップや撮影の好みに合わせて選んでみてください。
キットレンズには、今回ご紹介した「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」の他に望遠域までの撮影を楽しめる「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」もラインナップされています。こちらのレンズも次回の記事でレビューしていきますので、ぜひ併せてご覧いただけたらと思います。
■写真家:GOTO AKI
1972年 川崎生まれ。1993~94年の世界一周の旅から今日まで56カ国を巡る。現在は日本の風景をモチーフに創作活動を続けている。2020年日本写真協会賞新人賞受賞。日本大学芸術学部 准教授・武蔵野美術大学造形構想学部 非常勤講師・キヤノンEOS学園東京校講師。