キヤノン RF24-50mm F4.5-6.3 IS STM レビュー|コスパ&軽さ最強の標準ズーム
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はじめに
こんにちは!写真家のGOTO AKIです。今回ご紹介する「RF24-50mm F4.5-6.3 IS STM」は、以前にレビューした「EOS R8」のキットレンズで、広角~標準域をカバーするフルサイズ用の軽量レンズです。早速ですが「RF24-50mm F4.5-6.3 IS STM」を使ってとらえた自然風景の表情をみていきましょう。
デサイン・操作性・ズーム域
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「RF24-50mm F4.5-6.3 IS STM」は全長58mm、質量210gの超小型軽量のズームレンズです。カメラバッグの隙間やポケットなどにも簡単に収納ができて、携帯性の高さが魅力的。レンズは光学式手ブレ補正機能を搭載しているため、「EOS R8」「EOS RP」などのボディ内手ブレ補正機構がないカメラとの組み合わせでも、スローシャッター撮影が簡単に楽しめます。
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コントロールリング、ズームリングはプラスチック製の外装です。クリック感はなく、スムースな操作感です。Lレンズと比べると見た目の高級感はありませんが、撮影現場で剛性に不満を感じることはありませんでした。軽量のメリットの方が大きいですね。
フィルター径は58mmで、他のレンズではあまり使われないサイズです。みなさんが所有されているC-PLフィルターやNDフィルターの径が異なる場合はステップアップリングが便利でしょう。
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ズームは沈胴式で、焦点距離が24mmの時に内筒が約3センチ伸びる設計です。軽量のため、撮影時にボディとレンズの重量バランスが崩れることもなく、使用感は良好です。
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以前に発売された非Lレンズには、「AF/MF」スイッチがなく、「フォーカス/コントロール」切替えスイッチのみでしたが、「RF24-50mm F4.5-6.3 IS STM」では「AF/コントロール/MF」を統合したスイッチとなり、素早い切り替えが可能になりました。
▼広角端24mmで撮影
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▼望遠端50mmで撮影
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上の写真は焦点距離24mm、下の写真は焦点距離50mmで撮影した写真です。肉眼で捉える被写体がそのまま写真になる自然な画角をカバーしています。
高画質
「RF24-50mm F4.5-6.3 IS STM」はRFレンズらしくズーム全域で良好な描写です。非Lレンズで指摘されることが多い歪曲収差に関しては、自然風景自体がそもそも複雑な曲線で構成されているシーンが多いため、現場の感覚としては全く気になりませんでした。
例えば、水平線などの線の描写をまっすぐに撮りたい場合や、画面四隅の周辺減光が気になる場合は、RAWで撮影してキヤノンの純正現像アプリケーション「DPP(Digital Photo Professional)」で現像すると、各種収差が補正された良好な画像が得やすいのでオススメです。DPPはキヤノンのホームページから無料でダウンロード可能です。
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■撮影環境:F8 1/4000秒 ISO400
川面に浮かぶ、水藻を画面いっぱいに捉えた一枚です。絞り数値はF8で画面隅々まで被写体の細部が描写されています。非Lレンズとは思えないぐらいの解像度の高さですね。
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■撮影環境:F8 1/2000秒 ISO100
定番撮影スポット、山中湖畔からの富士山です。白飛びしないようにマイナス補正で少し暗めに撮影しています。山の細部から湖面の水の揺らぎまで線の描写が繊細です。焦点距離39mmでの手持ち撮影です。
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■撮影環境:F11 1/3200秒 ISO400
日の出の時間帯、やわらかな逆光状態の中、朝靄に浮かぶ太陽と淡い光の中で描かれる木々の造形とシルエットを撮影しました。RFレンズらしく、描写は繊細です。
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■撮影環境:F8 1/800秒 ISO100
富士山の西側、草原の木にピントを合わせて、手前は少しだけやわらかにボケたらいいなぁと思いF8で撮影しました。
晴天下の反逆光に近い光線状態でフードもつけないという、少し厳しい撮影条件で撮影してみましたが、フレアーやゴーストも出ずに良好な描写でした。いじわるに角度を変えていろいろと撮ってみたらゴーストが少し出ましたが、通常の撮影では気にしなくて良さそうです。
最短撮影距離・最大撮影倍率
「RF24-50mm F4.5-6.3 IS STM」の最短撮影距離は焦点距離24mmで0.3m、焦点距離50mmで0.35mです。最大撮影倍率は0.11倍(24mm)、0.19倍(50mm)で、スペック上は近接撮影をそれほど想定していない設計のようですが、撮影シーンによっては結構使えるのでは!?という印象を持ちました。
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■撮影環境:F11 1/500秒 ISO400
花びらを集合体として捉えた一枚です。マクロレンズで撮るような見せ方よりも、肉眼で見るのに近い自然な距離感での切り取りが得意なレンズです。
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■撮影環境:F5.6 1/60秒 ISO100
30~40cm程の幅がある木の幹の造形と質感を、焦点距離24mmの最短撮影距離0.3mで描写しました。ピントはシャープでもコントラストは強すぎず、見やすい画質ですね。
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■撮影環境:F5.6 1/60秒 ISO100
倒木を焦点距離24mm、最短撮影距離0.3mでワイドマクロ的に撮影し、背後の状況も写し出した一枚。
手ブレ補正効果
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■撮影環境:F22 1/4秒 ISO100
「RF24-50mm F4.5-6.3 IS STM」の手ブレ補正は、ボディ内手ブレ補正機構を搭載したカメラでは最大7.0段の協調補正効果があります。ボディ内手ブレ補正機構非搭載のカメラでは4.5段の補正効果です。作例は手持ち撮影で、シャッター速度1/4秒でテストした画像です。動きのない岩肌はシャープに、流れる滝は動的に描写されています。
超高感度の描写
「RF24-50mm F4.5-6.3 IS STM」は開放F値がやや暗いため、暗い撮影シーンではISO感度を高く設定して撮影します。作例はEOS R8との組み合わせで、感度を極端に上げてISO102400に設定してAFで撮影したものです。ノイズも少なく驚きの描写ですね。光量が足りない場合は、感度を上げて対応しても高画質のデータが得られます。
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■撮影環境:F16 1/2500秒 ISO 102400
自然の撮影でISO102400まで高感度に設定することはあまりないことを考えると、現実的にはISO感度を上げてもISO3200~ISO6400ぐらいが上限になるでしょう。下の作例はISO3200での画像です。細部の美しさをご確認ください。
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■撮影環境:F16 1/400秒 ISO 3200
動画で使いやすい焦点域
「RF24-50mm F4.5-6.3 IS STM」の焦点距離は、動画撮影で使用頻度の高い焦点域です。滑らかな動きのリードスクリュータイプSTMを搭載し、AF動作も無音でスムース。自然風景だけでなく人物や日常的な撮影で活躍するでしょう。
作例は「EOS R8」との組み合わせで撮影したフルHD/180Pのハイフレームレート動画です。クリップの前半は前述の「手ブレ補正効果」の作例と同じ滝です。
まとめ
軽量小型、高画質の「RF24-50mm F4.5-6.3 IS STM」のレビューはいかがでしたでしょうか。自然風景の撮影ではよく使われる広角~標準域をカバーし、全体的に解像性能が高いバランスの良い仕上がりのレンズです。
値段が高いと言われることが多いRFレンズの中でもコストパフォーマンスに優れたレンズです。これからミラーレスを楽しみたい皆様に特におすすめします。日常使いに、旅のお供に軽量小型のズームレンズを使ってみてください。
■写真家:GOTO AKI
1972年 川崎生まれ。1993~94年の世界一周の旅から今日まで56カ国を巡る。現在は日本の風景をモチーフに創作活動を続けている。2020年日本写真協会賞新人賞受賞。日本大学芸術学部 准教授・武蔵野美術大学造形構想学部 非常勤講師・キヤノンEOS学園東京校講師。