富士フイルム GFX100SでFilmライクな写真を撮る方法|オールドレンズで世界観を表現する
はじめに
こんにちは。kanakoです。
今回は、富士フイルム「GFX100S」とオールドレンズを使った記事です。GFX100Sはラージフォーマット(中判サイズ)の約一億万画素の大型センサーを備えています。そのGFX100SでFilmライクな写真を撮る方法について書いていきます。最後まで見てもらえたら嬉しいです。では、さっそく見ていきましょう。
GFX100Sの基本情報
センサーサイズ | 43.8mm×32.9mm (ラージフォーマット:中判のセンサーサイズ) |
解像度 | 約1億200万画素 |
レンズマウント | FUJIFILM Gマウント |
記録画素数(ピクセル) | [L] 〈4:3〉11648×8736 〈3:2〉11648×7768 〈16:9〉11648×6552 [M] 〈4:3〉8256×6192 〈3:2〉8256×5504 〈16:9〉8256×4640 [S] 〈4:3〉4000×3000 〈3:2〉4000×2664 〈16:9〉4000×2248 |
撮影感度 | 静止画:標準出力感度 ISO100~12800 |
露出補正 | 静止画:-5.0EV~+5.0EV 1/3EVステップ |
手ブレ補正 | 補正段数:6.0段 |
シャッタースピード | メカニカルシャッター:上限1/4000秒 電子シャッター:上限1/16000秒 |
動作環境 | 温度:-10℃~+40℃ 湿度:10%~80%(結露しないこと) |
フィルムシュミレーションモード | 19モード(PROVIA/スタンダード、Velvia/ビビッド、ASTIA/ソフト、クラシッククローム、PRO Neg.Hi、PRO Neg.Std、クラシックネガ、ノスタルジックネガ、ETERNA/シネマ、ETERNAブリーチバイパス、ACROS、ACROS+Yeフィルター、ACROS+Rフィルター、ACROS+Gフィルター、モノクロ、モノクロ+Yeフィルター、モノクロ+Rフィルター、モノクロ+Gフィルター, セピア) |
重量はわずか約900g。性能や使い勝手に一切妥協することなく、コンパクトなサイズで全てを実現したカメラ。
最近のフルサイズのデジタルカメラで2420万画素、中には4000~6000万画素相当のカメラもありますが、それと比べてもGFX100Sの画素数(1億200万画素)がどれくらい凄いのかおわかりいただけるかと思います。
使用機材紹介
◇富士フイルム GFX100S
◇ペンタックス Super-Takumar50mm F1.4
1964年に発売されたAsahi Pentax SP用の標準レンズ。
現代のレンズと比べてコントラストや彩度の低いものが多く、柔らかく温かみのある写真表現ができます。逆光で撮影すると、強い光の影響でフレアやゴーストが出やすいので、作風に応じて使い分けが必要です。
今回使用するレンズはM42マウントで最も人気が高いフルサイズ用 標準50mmのオールドレンズになりますが、マウントアダプターを使いラージフォーマット(中判サイズ)のGFX100Sに装着すればクロップすることなく大きく写すことができす。今回の記事で掲載している作例は全てラージフォーマット(中判サイズ)で撮影したものになります。
◇K&F Concept KF-42M2
M42マウントレンズをライカMマウントのカメラボディに装着するためのマウント変換アダプター。
◇SHOTEN LM-FG III(レンズ側:ライカM ボディ側:富士フィルムG)
ライカMマウントレンズを富士フィルムGマウントのカメラで使用するためのマウント変換アダプター。
使い方
オールドレンズ装着時、セットアップメニューから操作ボタン・ダイヤル設定を押し、レンズなしレリーズをONにすることで使用できるようになります。マニュアルフォーカス撮影でピントを合わせる方法として、フォーカスモード切替レバーをMに設定します。画面下にMFが表示されます。フォーカスリングを回してピントを合わせます。フォーカスリングを時計回りに回すと遠距離側に、反時計回りに回すと近距離側にピントが合います。ピント確認方法は、距離指標を目安にしたり、拡大表示して確認する方法があります。
作例
GFX100S特有のフィルムシュミレーション
ドライブの途中で見つけた田舎町。緑の中にあるオレンジの屋根。空の色も残しつつ、全体的に温かみのある写真になりました。GFX100Sの開発に合わせて、新たに設計されたといわれている「ノスタルジックネガ」を使用しました。1970年代、カラー表現の可能性を世界に提起し、芸術として定着させた「アメリカンニューカラー」の代表作を想起させる色表現を特徴とします。独特の階調表現がハイライト部を柔らかくアンバー(琥珀色)に描写する一方で、シャドウ部はディティールを残したままノリの良い色味を表現できます。レトロ感のある写真を撮りたい時に合う、フィルムシュミレーションです。
湿度まで写すような圧巻な描写力
川を渡る友人を撮影しました。深みのある青の発色が印象的で、彩度やコントラストが高く、シャープな写りから「Kodak ULTRAMAX400」に似たものを感じました。今回使用した「クラシックネガ」はスナップ撮影などで愛用されてきたカラーネガフィルムをもとに画質設計を行なったモードで、高いコントラストによる立体感溢れる表現を可能とします。
中判フィルムカメラの様なボケ味
古民家で清涼感のある一枚。自然光にて開放で撮影。使用していた中判フィルムカメラ(PENTAX 645N)の様な、滑らかなボケ感が魅力的です。ラージフォーマットならではの極薄な被写界深度は、被写体の一点にスポットライトを当て、撮影者の意図をさらに際立たせてくれます。
開放で撮影し、「フレア」「ぐるぐるボケ」を取り入れました。
「フレア」や「ぐるぐるボケ」は現行レンズでは難しい作風です。このレンズでのボケは、輪郭がはっきりしています。また、オールドレンズで多く見られる「周辺減光」が見られています。
同じレンズなのにこんなにもボケ感が変わるのは何故??と思われた方もいらっしゃると思います。それは、撮影距離が関係してきます。レンズの最短撮影距離は45.0cmです。古民家の写真では、ギリギリまで寄って撮影しています。それに対し、ラムネの写真は、フレアを手元に入れるために1mほど引きでローアングルにて撮影しています。このように撮影時の距離感で変わってきます。
今にも動き出しそうな解像感
水面に溢れた光で、照らされる手のひら。水の流れを体感できるお気に入りの一枚。1億200万画素の解像度だからこそ、波紋などの緻密なディティールまで表現できたことに感動しました。
滑らかな階調を味わえる
葉に映る紫陽花の影に惹かれ、撮影しました。
もともと陰影のある写真が好きで、どの部分を影にしようと考えることが多いです。GFX100Sは、最大で280兆色もの色を描き分けることで滑らかな階調を表現してくれます。そのため、光・影と極端な表現ではなく、影に溶け込む様な印象を受けました。
川に向かうまでの木に覆われた細い道。ガードレールのカーブ具合とその先に見えた光に感動し撮影しました。最大6段分のボディ内手ブレ補正のお陰でブレずに捉えることができました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、GFX100Sとオールドレンズを使って撮影しました。
フィルム写真の特徴は、使うフィルムによって表現できる粒子感や色味の癖の強さです。
フィルムカメラはデジタルカメラと比べて解像度やISOが低いといわれています。
このことから、GFX100Sはフィルムカメラとは対称的なカメラであることが分かります。
そのカメラでfilmライクな写真を撮るには、「フィルムシュミレーション」や「解像度」「ボケ感」をうまく使う必要があると考えます。フィルムシュミレーションを使い、自分の好きなフィルムに似た色味にして、ラージフォーマットの高い解像感やボケ感を生かすことで、中判フィルムカメラのような滑らかな質感を高解像に表現できると考えました。
また現行レンズでは、フィルターを使わない限り柔らかい描写を表現することは難しい印象です。今回はオールドレンズを使ったことで、絞り開放時の個性的なボケ感や、柔らかくノスタルジックな描写を表現でき、更にFilmライクへ近づくことができると実感しました。使用したSuper-Takumar50mm F1.4は、フルサイズ用のレンズですが、中判カメラに装着しても少し周辺減光は出るものの大きく撮ることができます。4隅が暗めだと、周辺減光も馴染ませることができますが、明るい写真だと周辺減光が目立ってしまうので「GFX100S特有のフィルムシュミレーション」のところに掲載した青空が広がる作例では少しトリミングを行なっています。
注意事項としては、データサイズがかなり大きいので、それなりの空き容量が必要になります。1億200万画素の大型センサーで捉えるボケ感や解像感を是非、体感して見てください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
■写真家:kanako
1995年生まれ、長崎県出身。2020年、Canon fotomoti×curbon主催の次世代スター発掘キャンペーンにて、次世代スターに選出。陰影をテーマとしたポートレートを中心に独自の世界観を演出している。