富士フイルム“チェキ”「instax mini Evo」レビュー|片岡三果
はじめに
2021年12月3日に富士フイルムから発売されたハイブリッドインスタントカメラ“チェキ”「instax mini Evo」をご紹介させて頂きます。このカメラは撮ったその場でプリントが楽しめるインスタントカメラでありながらデジカメの機能を併せ持つ事で、撮った写真をデータとして保存したり、スマホに送ってSNSにアップする事が出来るようになっています。また特長的な機能としては、合計100種類もの撮影エフェクトが使えるようになっていますので、個性豊かで遊び心のある撮影を楽しめるようになっています。今回は「instax mini Evo」の特長的な機能を使って撮影してきましたので、作例を交えて本製品の魅力を紹介させて頂きます。
ハイブリッドインスタントカメラ“チェキ”の魅力
instax mini Evoの魅力を紹介する前に少しだけハイブリッドインスタントカメラ“チェキ”の魅力をお話しさせてください。
私は今ではミラーレスカメラをメイン機に使っていますが、幼少の頃から今日に至るまでフィルムカメラでの撮影も楽しんできました。ミラーレスカメラを使いはじめた理由はフィルターエフェクト在りきで撮影をしたいと思ったのがきっかけで、フィルムカメラを使い続けるのは撮影後のプリントまでを一連の流れとして楽しみたいと考えているからです。ハイブリッドインスタントカメラ“チェキ”はこのフィルター在りきの撮影とプリントまでを楽しめるといった良いところが融合されていて、しかもそれらを気軽に扱えるところが凄く魅力的だと感じています。また背面の液晶モニターで撮影した写真を確認できますので失敗を恐れず撮影を楽しみつつ、お気に入りの写真だけをプリントしたり、同じ写真を何枚もプリントしたりする事も出来ますので、とても便利に使うことが出来ます。
ということで私は、この“チェキ”が大好きで今まで数台を所有して、旅行にも、友人知人との集まりにも、日常のお出かけにも鞄に入れて持ち出し、撮影→プリント→共有(プリントをあげる)を沢山楽しんできました。それでは次はinstax mini Evoの魅力をご紹介させてください。
100種類もの撮影エフェクトを楽しめるinstax mini Evo!
instax mini Evoはクラシカルなデザインになっていて操作ダイヤルやレバーはフィルムカメラを彷彿させるつくりになっています。見た目がとてもお洒落な上このアナログの操作系は直感的な操作を可能にしながらも遊び心が詰まっていて、持ち歩いて撮影するのがとても楽しくなります。操作レバーはプリントする時に使うものなのですが、このレバーを引くとフィルムカメラでフィルムを巻き上げるような、じ~、じ~という音がします。
またinstax mini Evoはレンズエフェクトとフィルムエフェクトをそれぞれ10種類ずつ選択できるようになっていて、それらを掛け合わせる事で合計100種類の撮影エフェクトが楽しめるようになっています。
■10種類の「レンズエフェクト」
■10種類の「フィルムエフェクト」
正面からの太陽の光を強く感じ、その眩しさや木漏れ日の様子を表現したかったのでレンズエフェクトは「光漏れ」を使っています。「光漏れ」は毎回同じではなくランダムに数種類のかたちが現れるようになっていて、今回は左側に弓のようなかたちで現れています。このあたりも実際のフィルムカメラで光漏れが起きた時にどのように写り込むかが分からないのと同じように、運任せの要素を再現してくれています。秋と冬が入り混じった時期でしたのでフィルムエフェクトは「レトロ」にして肌で感じた温度感を少しでも表現出来ればと思いました。
エスカレーターに乗った時にレンズエフェクトの「ミラー」を使いエッシャーのような不思議な世界観を幾何学的に表現してみました。より不思議な雰囲気にする為色味が無くなるようにフィルムエフェクトは「セピア」をチョイスしています。
鏡に映る自分をレンズエフェクト「色ずれ」を使い、良い意味で背景のバランスを崩して撮影しました。フィルムエフェクトは「ビビット」を使う事で色ずれを強調しています。衣服の模様の色ずれも強調され全体的にサイケデリックな電子工学のようなデザインで写しとめる事が出来ました。
こちらのツリーのオブジェもレンズエフェクトに「色ずれ」を使って撮影していますが、フィルムエフェクトの選択でこれだけ画が変わります。フィルムエフェクトは「ビビット」と「ブルー」の2つを使って撮影。どちらも気に入った画になりましたが、「ブル―」の方は竹の緑色に反応して、とてもキレイなエメラルドグリーンになりました。
魚眼のレンズエフェクトは丸い被写体をよりまるく、印象的に撮影することができます。キャンバスフィルターは布地感を演出して他のフィルターと比べて全体的にあえて荒削りのザラッと感で、絵画のキャンバスプリントのように表現できます。
クリスマスツリーに飾り付けられた小さなサンタさんにフォーカスをあてて撮りました。ソフトフォーカスを使い全体を柔らかい雰囲気にしてクリスマスっぽい演出を行いました。これからの時期にぴったりのエフェクトですね。
お洒落なネオンサインがありましたので二重露光のレンズエフェクトで撮影して、それを引き立てるものを探していたら丁度良く鹿の壁画を見つけて、それらを組み合わせる事でクリスマスにあった写真がつくれました。
神社の前にかまえる狛犬さんをハーフフレームを使って1枚で表現してみました。同じレトロのフィルムエフェクトで仕上げていますが、上の狛犬の周辺にある葉には光があたっていて生き生きした様子に写り、下は全体的に色素が少なく記憶の中の狛犬に見えて面白い画がとれました。
instax mini Evoでは従来モデルよりも撮影性能が向上し、露出補正、マクロモード、フラッシュ、ホワイトバランス(オート / 晴れ / 日陰 / 蛍光灯1 / 蛍光灯2 / 蛍光灯3 / 電球)の調整が出来るようになっていますので、イメージ通りの撮影を楽しむことが出来ますので、これらの機能も積極的に使って行きたいですね。
色彩豊かなプリント“instax-Rich モード”
従来モデルのチェキの画質(instax-Natural モード)に加えて、今回はお店プリントに近い色彩豊かな風合いの“instax-Rich モード”での撮影ができるようになっています。
プリントの解像度は、従来モデルの約600×800ドットから約600×1600ドットの2倍の露光密度でプリントできますので、見比べてみると解像度が上がった事が見てとれます。
スマホ連携でSNSへのアップが可能に!
スマホをリモコンがわりに使うことが出来るので、自分も含めた集合写真もバッチリ撮る事ができます。撮影する時はスマホに撮影画面を映し出して構図を確認してシャッターを切ることができます。またこの写真を見てお気づきかもしれませんが、一番左にいる私がスマホでシャッターを切っているのですが手にスマホはありません。これはスマホをリモコンとして使う時でも2秒もしくは10秒のタイマーをかける事が出来るので、タイマーをかけたらスマホを机に置いて両手でピースをつくり撮影しています。
今回のinstax mini Evoでは撮った写真は“チェキ”のプリントデザインのままスマホに送る事が出来ますのでSNSでの共有も簡単にできます。まわりに縁が付いたチェキらしい写真のままの表示となりますので、SNSへアップした時でも“チェキ”らしさを残せます。
また従来モデル同様にスマホで撮影した写真や保存されているイラストをinstax mini Evoをプリンターとして活用してフィルムにプリントすることがで来ます。
まとめ
今回のinstax mini Evoはチェキの中で最上級モデルとなっていますので、デジタルカメラとしての性能も高く、100種類の撮影エフェクトを使えるなど思い通りの撮影を楽しむ事ができます。外観はいつも持ち歩きたくなるクラシカルなデザインになっていて、操作ダイヤルやプリントレバーは遊び心があります。またプリントして人に渡す時は色味に深みのある少し“Rich”になった写真をプレゼントする事ができますし、遠く離れた友人にもSNSを使って思い出をシェアする事が出来るのも嬉しいですね。instax mini Evoは実際に手に取って触ってもらうと更に魅力が伝わると思いますので、是非お近くのカメラのキタムラで試してみてください。プリントした写真を使ってコミュニケーションをとられる方が増えていったらいいなと思います。
■写真家:片岡三果
北海道三笠市出身、絵画を描く気持ちで写真を表現する写真画家。FUJIFILM X photographer。漫画家の両親、大叔父が油絵画家という家庭環境で育ち、幼い頃から美術、デザインを学ぶ。写真を通して一期一会を忘れないよう、自分史を提案し撮った写真をプリントして楽しむことを大切にしている。
「instax mini Evo」はこちらの記事でも紹介されています。
富士フイルム“チェキ”「instax mini Evo」が登場!|100種類の撮影エフェクトが楽しめるシリーズ最上位モデル
https://www.kitamura.jp/shasha/fujifilm/instax-mini-evo-3-20211123/