富士フイルム「XF16-55mmF2.8 R LM WR II」と楽しむ・神戸まちあるき
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はじめに
2025年1月。私はワクワクする気持ちと一緒に神戸にいた。
なぜワクワクしているのか。それは、とあるレンズと一緒だから。以前から愛用していて絶対の信頼を寄せているレンズ。「いざ」というときに頼りになるレンズ。
そのレンズが、9年ぶりにリニューアルして、さらに使いやすくなったという。
一緒にいるのは、富士フイルム XF16-55mmF2.8 R LM WR II。
XF16-55mmF2.8 R LM WR IIはその名のとおりXF16-55mmF2.8 R LM WRの後継機だ。
XF16-55mmF2.8 R LM WR IIの進化を探る
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XF16-55mmF2.8 R LM WR II (左)と旧型のXF16-55mmF2.8 R LM WR (右)を並べてみた。
まず長さが明らかに異なるのがわかる。XF16-55mmF2.8 R LM WRは全長106mmだが、XF16-55mmF2.8 R LM WR IIは全長95mm。11mm短くなっている。
手にすると、XF16-55mmF2.8 R LM WR IIの軽さに驚く。なんと410g。旧型のXF16-55mmF2.8 R LM WRは約650gなので、持ち比べるとその差は歴然。フィルター径も77mから72mmに。
XF16-55mmF2.8 R LM WR IIは明らかにコンパクトになった。それだけではない。EDレンズが1枚追加になるなど、圧倒的な描写力と機動力を有する「レッドバッジズームレンズ」の1本として確実に進化している。
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■撮影環境:55mm 1/680秒 f/4 ISO500
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■撮影環境:16mm 1/1500秒 f/5.6 ISO500
さて、冬晴れの神戸をXF16-55mmF2.8 R LM WR IIと一緒に歩いてみよう。
三ノ宮駅から神戸旧居留地を目指す
三ノ宮駅から神戸旧居留地までは徒歩13分。
天気も良いので、のんびりと歩きながら撮影することにした。
カメラはX-T5。XF16-55mmF2.8 R LM WR IIとのボディバランスも良い。
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■撮影環境:55mm 1/2200秒 f/4 +1EV ISO500
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■撮影環境:29mm 1/320秒 f/8 +0.7EV ISO500
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■撮影環境:34mm 1/2200秒 f/8 -1EV ISO500
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■撮影環境:40mm 1/6000秒 f/2.8 +0.3EV ISO500
公園の入口で咲き誇るモクビャッコウ
見上げた先の形になぜ意味を見出したくなるのか
窓が無機質なビル群に新しい景色を作る
朝の光でキラキラと輝く街路樹
その描写力のおかげで、街のあらゆるシーンが生き生きと切り撮れる。
XF16-55mmF2.8 R LM WR IIは35mm判換算で24-84mm相当。ズーム全域で絞り開放F2.8。防塵防滴。風景、スナップ、ポートレート、テーブルフォト・・・ありとあらゆる場面で活躍すること間違いなしの1本だ。
もっと見つめたい、に応えるAF性能
高速でかつ静音なAF。似たような要素が多くピントが迷いそうなシーンでも、スマートにピントをあわせてくれる。
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■撮影環境:55mm 1/7000秒 f/2.8 +0.3EV ISO500
さらに進化したのが、最短撮影距離。なんとズーム全域で0.3m。
だからえいっと寄って撮ることができる。
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■撮影環境:51mm 1/20秒 f/5.6 +0.7EV ISO500
これから咲く、その姿に期待を込めて。望遠側でギリギリまで近づいて撮影した。
むむむ、これはすごい。今手元にあるズームレンズはどれも、広角側と望遠側で最短撮影距離が異なる。だから「ああそっか、ここまでは無理か・・・」と残念に思う経験も正直に言うとあった。でも、ズーム全域で最短撮影距離が変わらないということは、それだけ撮影が自由になって、表現の幅が広がることにつながる。これはすごい進化。
そしてもうひとつの進化。それは、「絞りクリックスイッチ」が搭載されたこと。
絞りクリックスイッチとは、絞りリング回転時のクリックをオフにできるスイッチで、レッドバッジのとなりについている。「OFF」にすると、スムーズに操作できるようになる。
これは動画撮影時にとても役立つ。
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絞りリングをまわすたびに感じるクリック音と振動がとても使いやすく、個人的に気に入っているのだが、動画撮影ではクリックなしに絞りが変えられるほうが撮影はしやすい。静止画だけでなく動画撮影にも対応した新しい機能、それが「絞りクリックスイッチ」だ。
ちなみに、XF16-55mmF2.8 R LM WR IIのクリックの振動は他のレンズに比べておとなしめの印象。個人的にはXF27mmF2.8 R WRくらいあっても良いけどなぁと思っている。このあたりは好みだと思うので、ぜひご自身で体験してみてほしい。
神戸旧居留地へ
そうこうしているうちに、神戸旧居留地へ到着。
神戸旧居留地は、格子状の街路に石造りのビルディングが立ち並ぶ異国情緒溢れたエリア。
エリアとしてはさほど広くはないが、フォトジェニックな建物が多く、カメラ片手のまち歩きが楽しい。
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■撮影環境:55mm 1/300秒 f/5.6 -0.3EV ISO500
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■撮影環境:42mm 1/220秒 f/5.6 +0.3EV ISO500
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次から次へと現れる「気になる」光景をイメージどおりに撮影できる。
これは焦点距離を変えることができるズームレンズならではの楽しみ。
すこし焦点距離を意識して撮影してみよう。
レトロな電話ボックスを見つける。ちゃんと現役。
スナップ的に周りの様子と一緒に切り撮る。
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■撮影環境:29mm 1/1800秒 f/2.8 ISO500
開店前の扉の横に使い込まれたロープ。描写力が高く質感まで感じられるのが嬉しい。
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■撮影環境:55mm 1/4400秒 f/2.8 -0.3EV ISO500
広角で見上げることで、迫力と重厚感を演出できる。
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■撮影環境:18mm 1/6000秒 f/2.8 +0.7EV ISO500
XF16-55mmF2.8 R LM WR IIは35mm判換算で24-84mm相当。
1本でいろいろ撮れるのが楽しい。
もし使っていない焦点距離があれば、積極的に使ってみてほしい。
新しい視点を得るチャンスになるから。
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■撮影環境:34mm 1/3500秒 f/2.8 -0.7EV ISO500
ぴょんと飛び出した枝をF2.8で狙う。前ボケ・背景ボケのなめらかさ、枝の立体感。繊細な表現にも全幅の信頼を置けるレンズだ。
おわりに「XF16-55mmF2.8 R LM WR IIの魅力にハマる」
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■撮影環境:18mm 1/20000秒 f/2.8 +0.7EV ISO500
気が付いたら、港までたどり着いていた。
XF16-55mmF2.8 R LM WR IIの撮りまわしの良さを体感する時間だった。
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旧型のXF16-55mmF2.8 R LM WRを「描写は良いけど、大きくて重たいから・・・」と躊躇していた人もいるだろう。そんな方にこそ、ぜひXF16-55mmF2.8 R LM WR IIを手にとってもらいたい。この魅力は、触って伝わり、撮って確信になるだろうから。
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■撮影環境:55mm 1/1800秒 f/4 ISO500
さて、次はどんなカメラやレンズと旅に出よう。
きっとたくさんの出会いが待っている。
みなさんも、カメラやレンズと良い旅を。
■写真家:渡邉真弓
札幌在住。日常をモチーフに「時の有限性」「薄れゆく記憶」について考察する作品を制作。「写真と一緒にくらしを楽しむ」をキーワードに、写真教室、写真にまつわる執筆・企画提案、撮影など幅広く活動している。北海道カメラ女子の会代表、フォトフェスCuiCui 事務局代表、京都芸術大学通信教育部美術科写真コース非常勤講師。富士フイルム公認X-photographer。地方自治体と地域振興プロジェクトも展開中。