富士フイルム XF60mmF2.4 R Macroレビュー|小型なフジフイルムのマクロ入門レンズ!
はじめに~マクロレンズについて~
読者の皆さまは、一眼レフやミラーレス一眼における様々な交換レンズがある中で、「マクロレンズ」をお持ちでしょうか?
知人や友人に聞いてみると、単焦点レンズでも使用シーンの多い焦点距離が50mmや35mm(35mmフルサイズ換算)などのレンズを所有されていることが多く、マクロレンズを使用されているユーザーは比較的少ない印象を受けます。
一方で、花や植物・虫などの接写を試みる際や自宅で物撮りを行う時など、被写体別にみるとマクロレンズが活躍するシチュエーションも多くあります。
主にマクロレンズは最大撮影倍率が1倍以上で、最短撮影距離が短いものを指し、近くで細かな被写体の素材感や色合いを表現できます。
ハーフマクロについて
マクロレンズと切り出した際に出てくるキーワードとして「ハーフマクロ」というものがあります。前述した、カメラのセンサー上で被写体がどれだけの大きさで撮影出来るかを示している「最大撮影倍率」で分類され、一般的に最大撮影倍率が1倍以上のものをマクロ、0.5倍のものをハーフマクロと呼びます。
※メーカーによっては、例えば0.25倍の最大撮影倍率を「1/4倍」や「1:4」のような形式で表すこともあります。
今回レビューする富士フイルムのXF60mmF2.4 R Macroは最大撮影倍率0.5倍・最短撮影距離26.7cmでハーフマクロレンズの中望遠単焦点レンズです。マクロ撮影だけでなく、建造物やポートレート撮影にもオススメな本レンズをレビューしていきます。
XF60mmF2.4 R Macroレンズ概要・外観
はじめに、本レンズの概要とスペックについて見ていこうと思います。
主な仕様
■フジノンレンズ XF60mmF2.4 R Macro
■レンズ構成:8群10枚(非球面レンズ1枚、異常分散レンズ1枚)
■焦点距離:f=60mm(35mm判換算:91mm相当)
■画角:26.6°
■最大口径比(開放絞り):F2.4
■最小絞り:F22
■絞り形式:羽根枚数:9枚(円形絞り)
■ステップ段差:1/3ステップ(全20段)
■撮影距離範囲 標準:0.6m~∞
■マクロ:26.7cm~2m
■最大撮影倍率:0.5倍
■外形寸法:最大径×長さ*1 (約) ø64.1mm × 63.6mm
■質量*2 :(約) 215g
■フィルターサイズ:ø39mm
*1 先端よりマウント基準面まで
*2 レンズキャップ・フード含まず
外観
外形寸法が縦6.3cmということで、4.8インチモデルのスマホを横に置いてスマホの半分くらいの長さに見えます。非常にコンパクト!
コンパクトなXマウントカメラ本体たちとのバランスも良く、重さもこのセットで800gを切ってきます。非常に軽快!
マクロレンズラインナップの中にもう一つ、XF80mmF2.8 R LM OIS WR Macroがありますが、XF60mmF2.4 R Macroは若干F値が低いため、気になっている方も多いはず!
フィルター径は、サイズ感からもお分かりになるように、ø39mmとコンパクトです。各種フィルターを揃える際には、ほかのレンズよりもお財布に優しい設計です
XF60mmF2.4 R Macroの特徴
ここからはXF60mmF2.4 R Macroの特徴についてレビューしていきます。
なんと言っても軽量!
まず、なんと言ってもコンパクトなサイズで持ち運びが苦でないという点です。筆者はX-T3にXF16-55mmF2.8 R LM WRの標準ズームをメインレンズに据えて使用しておりますが、お出かけ先でマクロが撮りたいと思ったときに、やはりある程度寄って撮影ができるシーンに遭遇するときがあります。常にカメラバッグにXF60mmF2.4 R Macroを入れていても重さが苦になりませんので、持ち運ぶようになり、撮影の幅が広がったと感じています。
お買い求めやすいハーフマクロ!
前述したとおり、マクロレンズよりも標準域の単焦点レンズを購入している方が多いため、あまりフィーチャーされにくいですが、本レンズはコスパが良いと筆者は思います。
後述する作例をご覧いただければ幸いですが、花や植物・物撮りだけでなくポートレートや風景にも汎用的に使用できます。
また、富士フイルムの中望遠単焦点レンズのラインナップは、こだわり抜かれた製品のため、どうしてもややお値段が高い印象を受けますが、本レンズはXFシリーズ当初から発売していることもあり、新品だけでなく中古としても、比較的お買い求めやすく購入することができます。
少し余談ですが、レンズの選択肢の話をします。XFマウントではXF80mmF2.8 R LM OIS WR Macroという、最大撮影倍率1倍のマクロレンズがあります。このレンズとよく比較されがちですが、正直な感想を申し上げると、レンズの構成や機能面で全く別物です。(詳しくは製品ページを御覧ください!)
1倍の最大撮影倍率、防塵・防滴機構、レンズ内手ブレ補正(OIS)が必須の場合(マクロエクステンションチューブを併用する方法を除く)は、XF80mmF2.8 R LM OIS WR Macroという選択になるかと思います。
まずマクロレンズを体験してみたいという方には、軽量コンパクトで気軽に持ち歩けて、お買い求めやすいXF60mmF2.4 R Macroをおすすめします。
コンパクトな筐体に2つの特殊レンズ!
軽量かつコンパクトなサイズの中に、8群10枚のレンズ構成が採用されています。その中でも非球面レンズ1枚、異常分散レンズ1枚が筐体中央部に設置され、像面湾曲や色収差などのさまざまな収差を効果的に制御してくれます。実際に撮影で使用した際も、顕著に気になる収差は見受けられませんでした。
XF60mmF2.4 R Macro実写作例
実際に撮影した作例をいくつか紹介していきます。
日陰に咲いていた、咲き始めのアジサイを真上から日の丸構図で撮影しました。
中央部の解像度は言うまでもなく綺麗で、絞り開放での撮影も目立った周辺光量落ちも、日中の撮影ということもあってか気になりませんでした。
曇天の窓際で、愛猫の寝姿を撮影しました。
AFの迷いはボディ側のAFポイントを絞ってあげればさほど気にならず、しっかり表情にピント合わせしてくれています。
遠くの被写体に合わせて、中望遠らしく圧縮効果を狙ってみました。
構図内のベンチのみ日なただったということも相まって、ドラマチックな描写になったのかなと思います。
最近SNSで良く話題になっている「無機質な写真」もお見せしたく、ご紹介します。
F値を上げて撮影することで、周辺の描写もシャープな印象です。
できればポートレートを撮影したかったですが、なるべく人と行動を共にしない撮影を心掛けていたので、水道をモデルに撮影。
中望遠らしく背景のボケは綺麗ですが、この撮影はハーフマクロを活かし近距離で撮影しています。モデルとの距離が近い撮影はコミュニケーションやポーズ指示もしやすいですね。
さいごに
様々な撮影シーンで大活躍してくれるXF60mmF2.4 R Macroですが、強いて弱点を挙げるとすれば、若干AFに迷いがあるのでは?という点です。
富士フイルムの製品サイトによると
(前略)さらにXシリーズのラインアップで最高レベルのシャープネスを実現するために、すべてのレンズグループがフォーカス中に一緒にシフトします。
と記載があるように、AFフォーカス中にレンズが前後にシフトすることによって、どうしてもピント合焦が遅いように感じるユーザーも、少なからずいらっしゃるようです。
とはいえ、ボディ側のAF性能が向上するに合わせて、気にならないレベルのスピード感になっていると私自身は感じています。弱点を凌駕する、便利なハーフマクロレンズを是非試してみてください。