GoPro HERO10 Blackはどう進化した?|サイクリスト目線で徹底解説!
はじめに
様々なアクションカムがメーカー各社から発売されていますが、その代名詞とも言えるGoProから最新作HERO 10が発売されました。毎年進化を続けている中、今回の登場により撮影性能が大幅に向上。その大きな進化としては、HERO6 BLACKから採用されていたGP1プロセッサーがGoPro HERO 10では”GP2″へと刷新された事によりフレームレートが5.3Kでは60fpsまで、4Kでは120fpsまで、2.7Kでは240fpsまで対応可能になったのです。綺麗な画質でより滑らかな映像を撮りたいという方には嬉しいポイントですね。
また、僕自身一番の注目ポイントが高感度性能の向上。これにより暗所撮影でのノイズ軽減も実現したという事です。僕自身のYouTubeチャンネルでは都心の夜景を映し込みながらライドシーンを撮影する事が多いので、実際のライドでどう影響して来るのか、ここもしっかり注目してみたいと思います。
さて、今回の記事ではロードバイクなどでサイクリング動画を撮っている、もしくはこれから撮ってみたいと思っている方へ向けて、HERO 9とHERO 10を比較しながら、どの様に進化しそれがサイクリング動画を撮る際どんなメリットがあるのか、徹底検証します。すでにHERO 9を愛用している方にはHERO 10に買い換えるべきか?参考になれば幸いです。
外観とフロントディスプレイ
GoProロゴと側面の10 BLACKのロゴがブルーになった以外に見た目の変化はほぼありません。 HERO 9で大好評だったフロントディスプレイもそのまま引き継がれています。フロントディスプレイは、自撮り撮影の多いYouTuberに特に好評な様ですが、サイクリング動画を撮影する際にもメリットがたくさんあります。例えば絶景ポイントで自分と景色を一緒に撮りたい場合、構図を確認しながら簡単に撮影出来てしまいます。そしてライドシーンの撮影では、HERO 8まではチェストマウントを装着した場面で構図を確認しようとすると、GoProアプリを開いてスマホで確認するしかありませんでしたが、フロントにディズプレイがある事で構図を確認出来るので瞬時に角度を決められる様になりました。
完成されたGoProらしいルックスはあえて変える事なく、中身の進化が物凄い事になっている様ですので撮影しながらのライドでどれだけの効果を発揮するのかしっかり検証して行きましょう。
電源の立ち上がりの早さ
同時に電源ボタンを押した場合の立ち上がりの早さを観て行きましょう。
一秒ほどHERO 10の方が早く録画待機状態になっているのがわかります。ライド中に突然目の前に絶景が広がって、すぐにでも撮影したい場合一秒でも早く録画を開始したいので、立ち上がりが早くなったのは嬉しいポイントです。例えばロードバイクで36km/hで走行する場合、一秒間で進む距離は10mにもなります。立ち上がりが数秒早くなるだけで絶景ポイントの一番撮りたいシーンを撮り損ねるという事が少なくなるのでは、と思います。映像を撮り続けている身として、”撮りたい”と思った時にすぐ撮影を開始出来るというのは大事なポイント。立ち上がりの早さは、後にご紹介する暗所撮影時の進化と同じレベルで評価出来るポイントです。
手ブレ補正機能がHyperSmooth 4.0に
ロードバイクなどでのライド動画撮影では、車載マウントでの細かい振動やボディマウントでの激しく身体を動かす場面など、どうしてもブレが発生しやすいもの。そんな時手ブレ補正機能が優秀なGoProは最高の相棒ですが、今回の進化により手ブレ補正機能のHyperSmoothが「HyperSmooth 4.0」へとバージョンアップし、従来より手ブレ補正がさらに強化されました。
まずはGoProの手ブレ補正機能”HyperSmooth”というものがどの様なものなのか理解して頂ける様に、HERO 9の手ブレ補正をoffに、HERO 10のHyperSmooth 4.0を標準に設定し比較動画を撮影しましたので観て頂きましょう。
やはり手振れ補正をoffにした映像ではロードバイクで起こる振動やブレがありのままに撮影されており、映像酔いしてしまいそうですね。比べてHyperSmooth 4.0で撮影した映像では驚くほどにスムーズで観やすい映像になっています。
では次にHyperSmooth 3.0から4.0になりどの様に進化しているのか比較しながら観て頂きましょう。
HERO 9のHyperSmooth 3.0も十分過ぎるほどに安定した映像を撮影出来ていますが、HERO 10のHyperSmooth 4.0では、そこからさらにもう一段階手ブレ補正機能の効きが強くなりました。
ロードバイクのハンドル周りは細かい振動が付き物ですが、車載マウントの振動もより綺麗に消し去ってくれていて、ボディマウント時に下ハンダンシングで激しく身体を動かす場面でもより安定した映像を撮影出来ています。
特にチェストマウントでの比較動画を見て頂くと、画面左上に映る土手下の部分の揺れがかなり抑えられているのをご確認いただけると思います。
HyperSmooth 3.0の完成度が高過ぎた故に劇的な進化とまでは行っていない印象ですが、確かな進化を確認する事が出来ました。
SuperViewにて4K/60fpsでの撮影が可能に
4K/60fpsで撮影する際、HERO 9の画角は一番広くて”広角”になる仕様でした(4K/60fpsにした状態でSuperViewを選択すると自動的に4K/30fpsに設定が変わります)が、HERO 10の場合は4K/60fpsでSuperViewでの撮影が可能になりました。より広い画角で、しかも高画質で撮影したいという方には非常に嬉しいポイントですね。参考動画ではどちらも、4K/60fpsにて撮影していますが、HERO 10ではより画角の広い映像を撮影出来ています。高画質で、しかも一番広い画角で景色を撮影しながらライド動画の撮影を出来るというのは、映像にこだわる方にはとても嬉しいポイントですね。
また、HERO 9は4Kで撮影する際のフレームレートは60fpsまででしたが、HERO 10になり4K/120fpsにて撮影可能になりました。解像度とフレームレートだけで言えばSONY α7 SIIIと同等というスペックです。高画質のままフレームレートを上げて撮影出来るので、より滑らかな映像を撮影出来るようになりました。
色味が3パターンから選択可能に
色味に関してですが、HERO 9は”GoProカラー”と”フラット”の2択でしたが、HERO 10ではデフォルトが”ナチュラル”に。そして”フラット”と”鮮明”の3択から選べる様になりました。”鮮明”というのはHERO 9でいう所の”GoProカラー”と同じ設定です。使い分けについては好きな色味を選択すれば良いと思いますが、例えば色鮮やかな映像にしたい時は”鮮明”を選択すれば、所謂”映える”映像を撮りやすいのではないでしょうか。僕自身のYouTubeチャンネルでは、ライド中のシーンで青空をより鮮やかに撮影したいという場面が多いので、HERO 10を使う際には”鮮明”を多用するかと思います。彩度やコントラストが出すぎて不自然だなと思う方は”ナチュラル”や”フラット”を使って撮影すると良いと思います。ここは実際に撮影しながら確認してみて、ご自身の感性に合った設定を選ぶのが良いのではないでしょうか。
水平維持機能を使って撮影
レンズをリニア+水平維持に、手ブレ補正をHyperSmoothブーストに設定し、水平を維持しながら撮影してみました。
ロードバイクなどの二輪車は車体を傾けてコーナーを曲がるので、映像もそのまま傾いた方が臨場感が得られると僕は考えますが、どうしても水平を維持したいという方は使ってみても面白いかもしれません。コーナーで車体を傾けても、ロードバイクと景色を撮影する際にも、水平を維持してくれるので安定感のある映像を撮影可能になります。
TimeWarp 3.0で撮影
GoPro HERO 9で機能が追加になったTimeWarp 3.0はHERO 10でもそのまま引き継がれています。2.0から追加となったポイントとしては、撮影中リアルスピードに戻したときに音声を録音出来るようになった事。これによって緩急を付けた映像の撮影が可能になりました。ただ、それはあくまで手動による操作が必要なためロードバイクでの走行中には使えませんが、ライド先の観光地などでバイクを降りて歩きながら散策する場面などでは大いに使える追加機能だと言えます。ロードバイクは長距離を走るスポーツなので、ライドの記録をサクッと観られる面白い映像をTimeWarp 3.0を使って撮ってみるのも面白いかもしれません。
暗所撮影で検証
高感度性能の向上により、暗所撮影でのノイズ軽減も実現したという事で僕自身一番注目していましたので、夜ライドにて夜間撮影してみました。GoProは夜間の撮影や暗い室内での撮影にはめっぽう弱く、暗い映像しか撮れなかったので、HERO 10になりどこまで明るく且つノイズも少なく撮影出来る様になったのか検証してみました。
見比べて頂ければお分かり頂けると思いますが、同じカラー設定(HERO 9をGoProカラー、HERO 10を鮮明)の場合、残念ながら実感できるほどの違いを確認する事が出来ませんでした。ですが、HERO 10のカラー設定を”フラット”にする事でノイズを目立たせる事なく格段に明るい映像の撮影が可能になりました。HERO 9以前のGoProでは夜ライドの映像は編集段階にて明るさと色味を編集する事で見やすく仕上げていましたが、明るさを上げる事でノイズも目立ってしまうのでノイズが目立たないギリギリのラインで編集する事が必要でした。ですがHERO 10ではカラー設定により撮影段階にてここまで明るく撮影出来ている事もあり、今までよりノイズを気にする事なく明るさの調整が可能になったと言えます。記録映像として残すだけで特に編集はしないという方に取っても、これは嬉しいポイントではないでしょうか。
操作がサクサクに
ライド先で設定変更などをする際、操作がモッサリしているとそっちに気を取られてしまいがちですが、HERO 10にて刷新されたGP2プロセッサーによりタッチ操作の反応が格段にUPしています。例えばHERO 9では設定画面でスクロールする際、画面の動きがカクカクしていて所謂これがモッサリ感に繋がっていましたが、HERO 10では非常に滑らかにスクロール出来る様になりました。フロントディスプレイでのモニター時も、HERO 10では映像の滑らかさが格段に向上しています。こうした細かい部分が使い込んで行く毎に気になって来る要素のひとつだと思いますので、何もストレスが無いというのは小さいながら大きな進化と言えるでしょう。
最後に
今回、検証動画を撮りながら感じたのはHERO 10はHERO 9の正当進化版だという事。ロードバイクなどでの走行動画を撮影する際、映像にこだわりたいという方に取ってHERO 9では物足りない部分もしっかりアップデートされました。HERO 9でも安定した美しい映像を撮影出来ますが、より映像にこだわりたいという方はHERO 10を導入する事で、より高い満足度を得られるのではないかと思います。今回の記事が走行動画撮影に興味のある全てのサイクリストの方の参考になれば幸いです。
▼今回の記事で紹介した内容は総編集した動画からもご覧頂けます。是非こちらもご覧ください。
■執筆者:WATARU
東京を中心にロードバイクでのライド動画をはじめガジェット系・パーツなどのレビュー動画を配信しているYouTuber/動画クリエイター。ロードバイクのある風景をお洒落に映し出す事を得意とし、ミラーレス一眼・GoProを駆使し大自然の絶景や美しい都心の夜ライド動画を季節感のある映像に仕上げる事に定評がある。