ライカSL2 シルバーとともに楽しむ浜の祭典
朝4時20分。ライカSL2 シルバーと浜降祭へ
「どっこいどっこい!」独特の掛け声が聞こえてくる。
祭り用のダボに着替えて家を出たのは4時20分。手ぬぐいを首に巻き、ライカSL2 シルバーをたすき掛けにして浜沿いの道を自転車で飛ばす。日の出時刻をわずかに過ぎたばかりだから、太陽が昇ってくるには多少の猶予はあるだろう。
祭りが好きだ。
夏生まれだから、というのは関係ないかもしれないが、花火に神輿、盆踊りといった夏ならではの行事が近づいてくると、どうにも血が騒いで仕方がない。4年ぶりとなる浜降祭。個展の初日と重なったため、一瞬見合わせようかと考えたが、地元の祭りに参加しないなどあるまじきことである。
頼り甲斐のある美女のような存在
ライカSL2 シルバーはトップカバーとボトムカバーにシルバーアルマイト加工が施されたクラシカルなモデル。愛用のライカSL2-Sは黒づくめなのに対し、ライカSL2 シルバーは軽やかな印象を受ける。浜降祭はその名のとおり、神輿ごと海に入る祭。撮影に使用するカメラには防塵防滴が施されていることが必須だ。その点、ライカSL2 シルバーのボディはIP54に準拠しているため安心して持ち出すことができる。美しい見た目だけでなく堅牢性と保護機能まで備えているとは、頼り甲斐のある美女を思わせるカメラである。
レンズはライカ ズミクロンSL f2/50mm ASPH.をチョイス。はじめて手にしたライカレンズがライカ ズミクロンM f2/50mmだった私にとって、ライカのボディにはどうしても50mmという画角を使いたくなるもの。また、370gというコンパクトかつ軽量モデルであるため、「撮る」と同じくらい「楽しむ」ことが重要な祭の場面では最適だろう。当然、防塵・防滴仕様だ。
やわらなかグラデーションを描く空
浜降祭の式典が行われる浜へ到着すると、すでに到着した神社ののぼりが朝陽に照らされはじめた頃だった。やわらかなグラデーションを描く朝の空は湿気の多いこの時期ならではの光景。気温こそまだ高くないものの、浜へ続々と集う神輿の熱気は4年ぶりということもあってか、蒸気が立ち上るように感じられるほどである。神輿甚句(みこしじんく)の朗々とした歌声に聞き惚れていると、うっかり人波にさらわれそうになる。
進化を止めないライカの精神性
いよいよ太陽が昇り始めてきた。式典がはじまるまでの間、所定の場所で待機する神輿の鳳凰が黄金色に輝き出す。安堵したような担ぎ手の表情をライカSL2の自然なファインダー越しに確認して、私もほっと息をついた。ハイライトから暗部までしっかりと描き出してくれるこのラチチュードの広さは、進化を止めないライカの精神性まで感じさせるようだ。
神輿とともに海へ
海へ向かう一基について行き、神輿とともにざぶざぶと海へ入ってゆく。ここまでくると担ぎ手も撮り手も一緒くたになって、もうしっちゃかめっちゃかである。私もいつのまにか見知らぬ人に肩を組まれ、「どっこいどっこい」の掛け声にあわせ軽く跳ねながらも撮影を続けた。内心、こりゃ大変だと思いながらもこれほど楽しい撮影もないだろう。すでに日差しは強く感じられるほどだったので照度には問題なかったものの、5軸手ブレ補正搭載というのは安心感があるものだ。
清々しい空気と暑い一日のはじまり
朝陽を浴びる担ぎ手たちは、老若男女関係なく清々しい空気を纏っている。4年という年月を待ちわびた思いが、強い輝きを持って身体から放たれているようなイメージだろうか。体力も振り絞るほどであろうに、驚くほどその足取りは軽やかだった。
神輿が竹でしつらえられた三之鳥居をくぐって駐輿所へ向かう。激しく神輿がゆれると、鳳凰が乱舞しているようにも見える。会場全体が写るよう、私もライカSL2 シルバーを上空へ大きく伸ばして最後に一枚シャッターを切った。シルバーボディのライカは、きっと鳳凰にも輝いて見えたことだろう。暑い一日のはじまりである。
■写真家:大門美奈(Mina Daimon)
横浜出身、茅ヶ崎在住。作家活動のほかアパレルブランド等とのコラボレーション、またカメラメーカー・ショップ主催の講座・イベント等の講師、雑誌・WEBマガジンなどへの寄稿を行っている。個展・グループ展多数開催。代表作に「浜」・「新ばし」、同じく写真集に「浜」(赤々舎)など。